パーソルグループでは、DI&E(ダイバーシティ、インクルージョン&イクオリティ)の取り組みに力を入れています。2022年10月6日に開催されたライブ配信イベント「WORKSTYLE FORUM 2022 -Forbes JAPAN WOMEN AWARD-」に、パーソルキャリアDI&E推進部の松尾れいが登壇し、パーソルキャリアの女性活躍推進の取り組みについて紹介しました。セミナーの内容をレポートします。
<写真中央>
パーソルキャリア株式会社
DI&E推進部 ゼネラルマネジャー 松尾 れい
<写真左>
モデレーター/Forbes JAPAN Web 編集長 谷本有香氏
調査で明らかになった、女性特有の不調とパフォーマンスとの関係性
パーソルグループのDI&Eでは、「属性の多様性を理解」「価値観の多様性の受容」「能力の多様性を活かす」ことで、新たな知恵を生み、既存サービスの強化や新規サービスの創造を進めており、すべての人たちが「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会の実現を目指しています。これは「あらゆる区分ない組織」とその「違い」を未来の可能性にすることであり、その中でも、まずは社員数に占める比率の高い属性である女性向けの施策にも注力しています。
―パーソルキャリアのDI&Eにおける具体的な取り組みの内容を教えてください。
松尾: 私たちパーソルキャリアでは、当社における女性従業員の比率をふまえ、現状の女性管理職比率(22.9%、2022年10月時点)を高めていくことを目標に掲げています。この目標を掲げる中、多くの企業が抱えているであろう「女性が管理職になりたがらない」という課題にぶつかりました。
松尾:
当初、この課題を解消するために、女性社員自身に「管理職になりたい」と思ってもらえるような、意識変革の取り組みやスキルアップの研修など、女性側に変わってもらうための施策を中心に取り組んできました。
しかし、そうした取り組みを進める中で、女性からは「なんで女性ばかりが頑張らないといけないのか」という意見、男性からは「女性ばかりずるい」といった声が一部から聞こえていたのも事実です。
そのため、私たちは「本当にこの施策でいいのだろうか?」といま一度考え直しました。女性に変化を求めるばかりではなく、「女性に寄り添う施策を取り入れていこう」と、現在は少し施策の方向性が変わってきています。
―女性を支えていくのはすごく難しいことだと思います。どんなことから取り組まれたのでしょうか。
松尾: 挑戦している取り組みのひとつが、女性の健康問題の緩和の取り組みです。
松尾:
パーソルキャリアで実施した「女性の働き方とヘルスリテラシー」に関する調査では、女性の約75%が月経痛や月経前のPMS(月経前症候群)などによる不調や、更年期など女性特有の症状に悩まされていることが明らかになりました。さらに、症状がある75%の女性のうちの5割以上が、仕事に支障があると回答しています。
次に、こちらをご覧ください。
松尾: 個人のパフォーマンスへの影響を表したグラフです。体の不調に対して、どう対処したらよいかが分かるなど、ヘルスリテラシーが高い、右側の群(紺色)の人たちは、ヘルスリテラシーが低い左側の群(灰色)の人に比べて、目標の達成度や仕事の満足度、やる気や動機を持って物事に取り組んでいる自己決定感が軒並み高いという結果が出ています。
松尾:
さらに、女性特有の不調を周囲に伝えやすい組織かどうかによって、組織の目標達成度も大きく変わってくることが分かりました。これまで、体や健康については女性個人の問題だと考えて、会社としてはタブー視していたような風潮があったと思います。しかし、これは女性個人の問題ではなく、会社の問題として取り組んでいく必要があるのではないかと考えています。
実際、私たちもここまで明確な結果が出るとは思っていなかったので、非常に驚いています。組織の中に体調の悪い人がいて、パフォーマンスが落ちているのであれば、組織としてしっかり取り組まなければなりません。
松尾:
取り組みとしては、まずは社内の女性たちに対して、具体的にどんな不調があるのか、何に困っているのかをヒアリングし、対応策を考え、セミナーを実施しました。セミナーでは専門家を招き、女性ホルモンのバランスが崩れることによって、どんな不調が起こるのかを解説していただき、対処法も教えていただきました。
すると、参加した人たちからは、「外部のセミナーだったら参加しなかったけれど、社内でやってもらえてすごくありがたかった」という女性側のコメントだけでなく、「女性の不調について、全然知識がなかったので有意義だった。これからは女性のメンバーに配慮したい」といった男性からの声も聞くことができ、会社で取り組むことの意義、そして手ごたえを感じました。
年代ごとに変化する悩みに対して徹底的に寄り添っていきたい
―経営のトップがいかに現場の声に真剣に耳を傾け、活動の重要性を理解するかもポイントになってくると思います。
松尾:
そこは試行錯誤しているところです。女性活躍推進自体は、みんな必要だよね、と思っており、誰も反対しません。しかし、進め方や進める順番に関しては、さまざまな意見がありました。
そのため、経営陣に2人1組でペアになってもらい、意見を整理して、それらをまた経営陣全員でディスカッションした結果、お客さまと接し、はたらく時間や場所の制約を受けやすい営業部門とバックオフィス部門では、それぞれ直面する課題が異なることが分かりました。
このような違いが明確に見えてきたので、それぞれの部門の特性を理解した上で順次着手していこうと、経営層の目線もそろいました。女性を変えようとするだけでは難しい。制度そのものやはたらき方を変える、あるいは寄り添うといった取り組みが必要だよね、と確認しあうことができました。
―これから未来に向けて、取り組んでいかれたいことを教えてください。
松尾:
女性の中でも、年齢やライフステージごとに悩みは変わってくると思うので、一人ひとりの人生に寄り添いながら、それぞれの悩みに向き合って、活躍の阻害要因を取り払うような取り組みをしっかり進めていきたいと思っています。
例えば、女性は28歳から32歳くらいまでの期間に、結婚、出産のライフイベントが訪れたり、キャリアを積み管理職になるかどうかを迫られたりするなど、もやもやの時期に入ります。多くの先輩女性たちが同じ思いを経験しているのであれば、入社3年目のタイミングで、20代後半から真剣にキャリアやプライベートで悩む機会が訪れることを理解し、それに備えて研修などを通じてキャリアプランの立て方を学んでおけば、悩み軽減の一助にすることができるでしょう。
さらに、40代になると、育児に加えて介護と仕事の両立や、更年期による不調に悩む人も出てきます。それぞれの年代、ライフステージによって事情が異なるため、悩みの内容は変化していきます。すべての社員の人生に、徹底的に寄り添っていきたいと考えています。
パーソルキャリアのDI&Eの取り組みの背景には、当社が掲げるミッションがあります。
人々に「はたらく」を自分のものにする力を
この言葉には、「キャリアオーナーシップを育む社会の創造」、すなわち、はたらく人々が自らの意思で自分のキャリア、そして人生を選択することのできる社会の実現を目指すという思いが込められています。
これからも、パーソルキャリアでは、はたらく社員の悩みに寄り添い、社員が自らの意思でキャリアや人生を選択する「キャリアオーナーシップ」を育むための制度や取り組みを拡充させていきます。
※掲載している内容・社員の所属は取材当時のものです。
編集:パーソルキャリア広報部 ライター:尾越 まり恵