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【キャリア図鑑】Vol.4 女性の「はたらく」(Part1)
女性のはたらき方、コツコツ向き合う「はたらく」が将来のキャリアを創る
「キャリアオーナーシップ」発揮のヒントを、自分らしい「はたらく」を
かなえた人たちの事例も交えながら探る
皆さんは、「キャリアオーナーシップ」と聞いて何を想像しますか?「キャリア志向な人」「意識が高い人」、または「成長し続けること」「キャリアアップしていくこと」…… そんなことを思い浮かべるのではないでしょうか。「キャリアオーナーシップを育む社会の創造」を目指すパーソルキャリアは、自分の可能性を信じ、自分の意思でキャリア、そして人生を選択することが、「キャリアオーナーシップ」だと考えています。本連載では、当社のサービスを通じ、自らが望む「はたらく」をかなえた人たちの事例も交えながら、「キャリアオーナーシップ」発揮のヒントを探ります。
今回は、doda副編集長の川嶋由美子が、dodaキャリアアドバイザーの柏木あずさに話を聞きました。
柏木 あずさ(かしわぎ・あずさ)
dodaキャリアアドバイザー
女性の「はたらく」のハードルは下がり、女性がはたらき続けることができる環境に
doda副編集長 川嶋(以下、川嶋):今回は、たくさんの女性たちのキャリア支援をしてきたdodaキャリアアドバイザーの柏木さんと、自分らしい「はたらく」をかなえた転職事例なども交えながら、女性が「キャリアオーナーシップ」を発揮するためのヒントを探っていきたいと思います。Part1では女性の「はたらく」全般を、次回のPart2ではライフイベントを経ての女性の「はたらく」にフォーカスします。
わたしも10年以上個人のキャリア支援に携わり、数えきれないくらい多くの女性たちのサポートもしました。人材不足がますます深刻化し、女性の社会参画がいっそう求められる昨今、男性育休の普及でパートナーが育児参加しやすくなったり、新型コロナを機にリモートワークができるようになったりと、女性にとっては就業環境の選択の幅が広がりましたよね。
ライフステージに関係なく女性ははたらくことを期待され、実際にはたらくことができるようになってきている。女性の「はたらく」のハードルが下がった、ということがここ10年の大きな変化だと感じています。つまり、女性がはたらき続けることは当たり前になってきている。今まさに第一線で転職を支援している柏木さん、どう思いますか?
dodaキャリアアドバイザー 柏木(以下、柏木):わたしも川嶋さんと同じ意見です。加えて、新型コロナが女性のキャリア観を大きく揺さぶったと思っています。新型コロナにより勤務先の店舗が休業になった。仕事が激減し別会社に出向することになった。会社の業績が大きく落ち込んだ。会社が倒産しそうだ。こうした緊急事態を受け、自分の会社は、仕事は安泰だろうと思っていたけれど、もっと力をつけないと、自分のスキルで生きていけるようにならないと…。新型コロナを機にそう考える女性がさらに増えたように感じます。
川嶋:女性は人生においても結婚や出産といった不確定要素が多いからか、キャリアを含む将来に対して不安になる人が多い傾向にありますよね。しかし、将来のキャリアを創るのは今のキャリアだからこそ、先のことに対して必要以上に不安を募らせず、不安を解消するために一歩踏み出してほしいと思っています。
そこで今回柏木さんには、今の自分のモヤモヤと向き合った女性の転職や相談事例を3つ紹介してもらいましょう。
管理職になりたい―なることではなく、管理職として何を目指すかが大事
柏木:まずは、「女性活躍」に関連する転職事例を紹介したいと思います。管理職意向はあるものの、まだまだ男性優位な会社であるため、女性がマネジメント職に就くのは難しそう。そこで管理職として転職したいというケースです。
これまで頑張ってきて、リーダーを任されるまでになったのに管理職にはなれない。でもなりたい。そういった思いが強い女性ほど、管理職になることが目的になってしまっていることが往々にしてあるように感じています。重要なのはなることではなく、管理職になって何を実現したいのか。それが明確になっていなければ、会社の方針に関係なく現職でも、転職先でも管理職に就くのは難しいと思っています。
川嶋:マネジメントという言葉は定義が広く、人によって理解が異なりますよね。例えば、部下の教育と現場の仕事を兼務するプレーイングマネジャーという管理職もいれば、部下のタスク管理と育成をメインで担う管理職もいます。1人組織で管理職を任されるケースもあります。管理職になって何を実現したいのか、つまりはその人のマネジメントの定義にもひも付くと思うのですが、柏木さんが言うようにこれが明確になっていないと管理職として自分が望むキャリアは築けませんね。
ならば明確にした上で転職を試みる。それとも、まずは女性でも管理職を目指せる会社に、または管理職候補として転職を試みるほうが、ミスマッチという本人、そして会社双方にとって不幸な結果を未然に防ぐことができると思います。
柏木:おっしゃるとおりです。そういった形で転職をかなえている女性は実際にいます。さらに、管理職候補ならば年収が上がるケースもあり、はたらくモチベーションがより上がったという女性もいますよ。
管理職になったけど何かが違う。管理職を降りるという選択もあり
柏木:次は、1つ目とは逆の転職事例を紹介したいと思います。下積み時代を経て管理職になったものの、上に行けば行くほど自分のやりたいことから遠ざかってしまいモチベーションが維持できなくなってしまった。管理職を降りて、やりたいことにチャレンジするために転職したいというケースです。
このケースは転職するにあたり、チャレンジしたい仕事内容によっては未経験転職になる、それゆえ年収が下がる可能性が高い、そして実際のところやりたいことが明確になっていないことが多いという主に3つの壁があると思っています。よって、どんな業界や職種に通用するポータブルスキルを洗い出すことと、やりたいことの具体化と言語化が肝になります。
川嶋:年収に関しては、ほぼ未経験、メンバークラスでの転職であることや、転職先の業界、会社規模などさまざまな要因が掛け合わさって決まるという現実を理解することが重要です。やりたいことに関しては、要するに自分と向き合うということですよね。社会を知り、自分を知ることが転職成功の鍵になるということですね。
柏木:頭では理解しているし、管理職を降りることを決めたのは自分なのに、年収が下がることや役職がなくなることに対して少なからず抵抗感はあるのですよね。
川嶋:自分自身が否定されたように感じてしまっているのかもしれませんね。「女性活躍」という言葉がそう感じさせてしまっているのかもしれませんが、上に行くことだけが活躍ではないはずです。あなた自身が否定されているわけではないので、自分の「はたらく」を自分で選んでいるのだと自信を持ってもらいたいです。
がむしゃらにはたらくのは限界だけど、仕事は好き。 ワーク・ライフ・バランスを整えることが正解とは限らない
柏木:最後は、ワーク・ライフ・バランスを整えたいという相談事例です。20代はどんなに仕事量が多くても、むちゃ振りされても、力がつくならとがむしゃらに頑張ってきたけれど、さすがに30代を目の前にして、身体的にも精神的にもつらい。でも仕事は好きだし、仕事を通して成長はしていきたいというケースです。
川嶋:仕事は好き、成長したいという思いから察するに、ワーク・ライフ・バランスが整っていないというよりも、任される仕事の範囲や仕事の進め方の問題なのでしょうね。
柏木:そうなのです! 自分の仕事に対してポジティブならばなおさら、現状のはたらき方がつらいからといってワークとライフのバランスを30代手前で決めてしまうと、今後30年、40年と続く「はたらく」を楽しめなくなってしまうかもしれません。成長が止まってしまうかもしれません。それは不本意であり、結果的に、自分の仕事に満足できない状況になりかねないと思っています。
こうした懸念も理解した上で、このタイミングでどんなキャリアの決断ができるとよいのかを一緒に考えながら、「はたらく」の選択をサポートしています。
川嶋:20代頑張ってきて、これからは力任せではなく、もう少し時間にも気持ちにも余裕を持ってはたらきたい。でも、まだまだ頑張りたいし、頑張れる。その気持ち、よく分かります。
仕事の進め方を選べる環境だといいですよね。営業職ならアポ電や訪問といった従来のスタイルだけではなく、今はデータドリブンな営業もあります。インサイドセールスやカスタマーサクセスといった営業もあります。選択肢があれば新しいことを学べて、さらに仕事が楽しくなると思います。
doda副編集長の「これがキャリアオーナーシップの種」
川嶋:ここまで3つの事例を紹介してもらいましたが、柏木さん、女性が「キャリアオーナーシップ」を発揮するために大切なことは何だと思いますか?
柏木:女性は特に、未来が予測不可能であるということが前提にあります。だからこそ「女性活躍」という名の下、キャリアをこうしないと、こうしていかないと、と自分にプレッシャーをかける必要はないと思っています。もっと気軽にいろいろトライしてみたら、きっと楽しいはずです。
川嶋:今この瞬間を積み上げていくことでしか、より良い未来は生まれないですよね。逆に、着実に積み上げていけば、予測不可能なことが起きたとしてもキャリアは切り拓けると思っています。防災的なキャリア志向を捨てることから始められるといいですね。
①“活躍”という言葉に踊らされない
“活躍”とは、役職に就くことや、年収が上がることだけではないはずです。自分で納得して、自分の「はたらく」を選べていることのほうが満足感、幸福感が高いという研究結果も出ています。ですから、今の社会の潮流に流されるのではなく、自分が望む「はたらく」の実現を目指すことが重要です。
②自分でキャリアを選んでいる、という認識を持つ
自分のキャリアは自分のものです。自分で選んでいいのです。社会から女性が管理職になることを求められているのに、管理職から降りた自分はダメだなんて思う必要はありません。これは自分らしくはたらくための決断であり、自分の決断に自信を持ってほしいと思っています。どんなときも他人軸ではなく、自分軸でキャリアを決めることが重要です。
編集:パーソルキャリア広報部