PROJECT

地方には
日本の可能性が隠されている。

地方創生事業立ち上げプロジェクト

2060年代に日本の人口が1億人を下回ると予測されている*。そんな中、労働力人口が減り続けることを避けるため、大都市から地域への人材還流を促し、地域活性化を図る内閣府のプロジェクトが動き出している。地方の中小企業に質の高い雇用を生み出すため、パーソルキャリアは人材不足に困る地方企業の採用支援を開始した。事業立ち上げをひとりで任されたのは、当時法人営業・個人営業のいずれも経験をしていた伊藤。グループでも前例のないプロジェクトをいかに推進していったのか、その軌跡を追った。

*内閣府 平成30年版高齢社会白書(概要版)

伊藤 鑑

人材紹介事業部
アライアンス推進部
地域活性支援グループ
マネジャー

地方で暮らすということは、
そこで働くということ。

—地方創生事業が生まれた経緯を教えてください。
きっかけは、内閣府が推進している「プロフェッショナル人材事業」です。プロフェッショナル人材とは、企業の経営判断を担えるような経験豊富な人材のこと。大都市圏から地域へと人材の流れを生み出すことを目指したこの事業に、パーソルキャリアも参画し、その主担当として私が選ばれました。会社としても全く新しい取り組みでしたが、任せてもらえると決まったときは嬉しかったですね。
—もともと地方創生に関心があったのですか?
妻が愛媛県出身で、自分もいつか地方で暮らす可能性が大きいと感じていました。暮らすということは、そこで働くということですから、地方の求人情報をチェックしてみたんです。そこで地方の求人が、全国チェーン店の支店長募集など大企業ばかりということに課題を感じました。
—そこで感じた課題について詳しく聞かせてください。
よく調べてみれば、100年続く老舗の菓子メーカーや、日本一の加工技術を持つ機械メーカー、地場の特産品や工芸品を守り続ける企業など、地域性を活かした魅力的な企業がたくさんあるんですよ。そういった企業の求人があれば、もっと地方での暮らしも魅力的になるのではないかと。
—魅力的な企業をもっと紹介していきたいという気持ちが強かったのですね。
だからこそプロジェクトへ高い関心をもって臨めました。パーソルキャリアは、全国の求人動向を把握できる「dodaプラス」というサービスを運営しているので、あとは自分が地方企業と連携する仕組みをつくることができれば、相乗効果を生み出すことができる。自由なプロセスで試行錯誤できる環境だったので、最初はひたすら情報収集し、ゴールへの筋道を自分なりに描くことができました。
—ひとりで立ち上げを任されたことへの不安はありませんでしたか?
会社に行っても決まった仕事がないという不安はありました。でもそれよりも、自分の手で地方を活性化できるというワクワク感が勝っていましたね。日本を隅々まで元気にする。そのために地方の希少な企業に光をあてる。自分がやらなければと、決心していました。

どんな大義も、
想いだけでは届かない。

—実際にはどのようにプロジェクトを進めていきましたか?
営業コストを考慮すれば、大都市圏に自社拠点を置き、周辺地域でマッチングを行う方法が一般的ですが、全国各地に存在する外郭拠点とコンタクトをとることにしました。パーソルキャリアが持つ全国の求人情報を活用すれば、遠隔でも高い確率で採用を成功できると判断したのです。加えて、営業組織の日々の頑張りのおかげで、発信する求人情報も魅力的なものにフォーカスし、採用の精度を上げていきました。
—魅力的な求人情報というのは?
例えば、世界でもニッチトップになれる高い技術力を持つ中小企業で、新製品の開発やマーケティングなど、経営を左右するポジションの募集です。実力ある企業の未来を切り開いていける。それは地方の中小企業だからこそのやりがいです。
—プロジェクトで困難だったことを教えてください。
全国の外郭拠点とのコネクトは簡単ではありませんでした。担当の方たちに「地域の社会課題を解決したい」と突然言っても、すぐには動いてもらえません。協力していただくためには、熱い想いと同じくらい、定量的な事実も重要だと気がついたのです。そこで、採用競合が少ない地方採用は、都内よりもマッチング率が高くなるというメリットや、プロフェッショナル人材を採用した場合に期待できる効果を、数値も交えて丁寧に説明することにしました。その結果、現在は全国46拠点のうち44のプロフェッショナル人材拠点とつながりを持てています。最初はひとりでも、想いと事実を伝えていけば協力者を増やせる。そう実感できました。

働き方の自由は、
生き方の自由だ。

—プロジェクト開始時と比べ、状況はどのように変わってきましたか。
地方創生事業部は、全国の求人情報を横断的に束ねることができる組織になってきました。それは国の取り組みも、個人の働き方もサポートしているということ。本事業における当社実績として地域採用数は年間400人弱に上っていますが、まだまだ足りません。多くの隠れた企業や求人に光を当て、2020年には年間1000人程度まで採用人数を増やすことが目標です。
—プロジェクトに対する将来の展望を教えてください。
世の中で働き方が多様化している現代だからこそ、地方創生が担うべき役割があると考えています。いまや、新卒で大企業に就職して定年まで、というケースはスタンダードではなくなってきました。地元・地方にも魅力的な選択肢があることを示していければ、子育てや介護、家賃とのバランスなどを考慮し、大都市から移住するという選択をする人も増えてくるでしょう。私たちは、そこにさまざまなサンプルを提示できると信じています。働き方の自由度を高め、選択肢を増やしていく。それが、人生そのものの選択肢を増やすことにもなるはずですから。