セミナーレポート 2022/6/30 公開

「現役パパ・ママ1万人の失敗から学ぶ~親のがっこう プレパパ・プレママクラス」開催【後編】

「現役パパ・ママ1万人の失敗から学ぶ~親のがっこう プレパパ・プレママクラス」開催【後編】 「現役パパ・ママ1万人の失敗から学ぶ~親のがっこう プレパパ・プレママクラス」開催【後編】

これから出産を迎えるプレパパ・プレママにパーソルキャリアが提供した、出産事前準備プログラム「親のがっこう」。前回のレポートでは、「夫婦で対話し、一緒に子育てのスタートラインに立つことの大切さ」をお伝えしました。

家族全員が幸せにすごせることはもちろん、個々の人生をも豊かなものにしていくためにはどうすればいいのか。2日目のプログラムでは、ワークを通じて夫婦が「対話」する具体的な方法について学んでいきました。レポート後編で、その内容の一部をご紹介します。

→前編はこちら

「対話が大事」とわかっていても……具体的な方法がイメージできない方へ

「親のがっこう」1日目のプログラムでは、夫婦が対話していく第一歩として、家族のミッション、ビジョン、バリューを考えるワークの時間が設けられていました。参加者のみなさんからは、「これからの家庭のあり方について、はじめてパートナーと話した」などといった声が多数寄せられました。

しかしこの段階では、あくまでもスタートラインに立ったにすぎません。「夫婦の対話が大事」だといわれても、具体的にどんなことをいつまでに話し合い、何をどのレベルで決めておいた方がいいのか、検討がつかないプレパパ・プレママもいるのではないでしょうか。

ジェンダーバイアスに囚われず、自分たちにとってベストな「役割分担」を

実際に参加された夫婦で取り組んだワークは、「夫婦の家事分担」。家族として日常生活を送るうえで、大切な役割分担です。ここでまず、前提としてジェンダーバイアスについての説明がありました。

子育て世代にありがちなジェンダーバイアスの例

男女の役割分担への思い込み

ジェンダーバイアスの多くは、人の潜在意識から生まれてしまう無意識なもの。そのためそれを発する個々人に悪気があるわけではなく、社会的、時代的な問題です。子育てをする際は男性も女性も、こうしたジェンダーバイアスに引っ張られて、周囲と自分たちを比較したり、罪悪感や無価値感などを感じることがないようにしたいものです。

パパ・ママが捨てていいもの

パパ・ママが捨てていいもの

こうした前提を共有したうえで、上条さんは、家事分担を整理する目的について次のように話してくれました。

――「家事の分担を見直す目的は、時間を捻出することにほかなりません。特に共働きの家庭では、子どもが生まれると、これまでと同じような役割分担、同じクオリティの生活を維持することに無理が生じます。話し合って何かを削っていかない限り、夫婦共に時間的な余裕は生まれないのです。

分担を行う際は、共働きだから分担を半々にすべきだとか、男だから・女だからこうあるべき、といった押し付けあいではなく、お互いが得意なこと、苦手なことをうまくすり合わせていくことが大切です」(上条さん)

いきなり家事分担をするのではなく、最初に「やらなくてもイイ家事を捨てる」

実際のワークでは、4つのポイントをもとに家事の整理を行っていきました。いきなり役割分担からはじめるのではなく、1つ目のステップとして提示されたのは「やらなくてもイイ家事を捨てる」こと。

家事を整理していくための4つのステップ

家事を整理していくための4つのステップ

どの家事を捨てる選択をするかは各家庭によりますが、例としては「何もしなくても食べられるパンやシリアルを用意し、『朝食づくり』を捨てる」「水回りのカビ取りなどを家事代行に定期的に依頼し、『面倒な掃除』を捨てる」「ネットスーパーを利用し、『日用品や食品の買い物』を捨てる」などといったことが挙げられます。

また夫婦で分担するだけではなく、ステップ3で「外注」を選択し、自治体・民間のさまざまなサービスを利用することもできます。身近で使えるサービスなどをあらかじめ調べてリストアップしておき、「時間を生み出す手段」を一つでも多く知っておくとよさそうです。

「夫婦ふたりの時間」「それぞれのひとり時間」どちらも大切

家事分担を整理して時間を捻出するにあたり、2つの視点で考える必要があります。1つは「夫婦ふたりでキャッチボールする時間をつくる」こと、もう1つは「パパ・ママそれぞれひとりの時間をつくる」こと。

「ふたりの時間」と「ひとりの時間」を定期的につくることが大切

プログラム2日目の後半では、子育ての先輩に対するインタビューパートが設けられました。今回は、2児の子育てをしながら、夫婦の「キャッチボールタイム」を実践し続けている先輩パパです。

どのくらいの頻度で夫婦ふたりの時間をつくっているのか、実際はどんな風に対話を行っているのか、気をつけていることは何か、それが子どもが成長するにつれてどう変化しているかなど——。

リアルな実体験についてのお話に、参加者のご夫婦全員が真剣な表情で耳を傾けているのが印象的でした。まだまだ貴重な父親目線でのお話に、男性参加者からは「先輩パパのお話の説得力がとても大きかった」という声が寄せられました。

1週間(1か月)のどこにこの時間つくるか決めましょう!

夫婦そろって「子育てのスタートライン」に立つために

「親のがっこう プレパパ・プレママクラス」1日目・2日目のプログラムへの参加は、出産・育児をはじめて迎えるご夫婦にとって、家族のあり方や自分たちの生き方、働き方について改めて考える良い機会になったようです。

参加者のみなさんからは、次のような声が寄せられました。――「(出産後の)実際の生活をイメージすることができ、出産までに準備が必要なことがクリアになりました」「具体的に準備、行動した方がいいことのイメージがわき、夫婦で動き出すきっかけになりました」(女性)

――「夫婦2人のキャッチボールタイムを取ることの重要性を感じました」「出産後の夫婦間の役割分担の方法だけではなく、関係性の質を向上させるためにどう動けばいいのか、ヒントをいただきました」(男性)

2日間にわたるプログラムを通じて、夫婦が揃ってスタートラインに立つことができたでしょうか。今回学んだことを念頭におき、夫婦が“共同経営者”として対話を繰り返しながら、出産後も幸せな家庭を築いていただけたらと思います。

上條 厚子さん

上條 厚子Atsuko Kamijo

ママライフバランス株式会社 代表取締役

2016年より母親向けセミナーを開始し、2018年にオンライン子育て支援を実施する市民団体「ママライフバランス」を設立。後に株式会社化し、2021年より子育て支援事業を提供する中で関わったのべ1万人の現役パパ・ママの悩みをもとにしたプログラム「親のがっこう」を立ち上げた。

※掲載している内容・肩書・社員の所属は取材当時のものです。

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