ナレッジ・ノウハウ集
2025.12.04
未経験転職を成功させるための方法とは?難しいと言われる理由も解説
未経験転職はなぜ難しいのか?
未経験転職の定義
「未経験転職」には大きく分けて3つのパターンが存在します。まず「業界は変えるが職種は同じ」パターン(製造業の営業→IT業界の営業)、次に「職種は変えるが業界は同じ」パターン(金融事務→金融営業)、そして最も難易度が高い「業界も職種も変える」完全未経験のパターン(IT業界の人事→製造業の営業)です。
求人票でよく見かける「未経験可」と「ポテンシャル採用」の違いも重要です。「未経験可」は経験がなくても応募できる求人ですが、実際には経験者も応募してくるため、未経験者が有利というわけではありません。一方「ポテンシャル採用」は、企業が明確に未経験者の潜在能力を評価し、時間をかけて育成する意思があることを示しています。
パーソルキャリアのように、未経験可とポテンシャル採用で厳密に求人を分けていないケースも多くございます。
企業が即戦力を求める背景とその実態
企業が中途採用で即戦力を求める理由は明確です。一人の中途採用にかかる費用は、人材紹介会社への手数料が年収の30〜35%に及びます。年収500万円の人材なら150万円以上のコストがかかる計算です。さらに教育コストも含めると、企業の投資額は膨大になります。
新卒採用では数か月から1年かけて育成することが前提ですが、中途採用では「3か月で戦力化」を期待されることが一般的です。終身雇用制度が崩壊しつつある現在、企業は育成した人材がすぐに転職するリスクを考慮し、既に実績のある経験者を採用したいと考えます。特に深刻な人材不足に悩む企業では、未経験者を一から育成する余裕がないケースが多いのが現実です。
スキル・実績を証明することの難しさ
未経験転職の壁は、スキルや実績の証明です。経験者なら「前職で売上120%達成」「10名のチームマネジメント」といった具体的な成果を提示できますが、未経験者にはそれがありません。
もちろん、現在の職種における実績はあるものの、面接官は「再現性」について懸念を持ちます。異なる環境での成功体験が新しい職場でも再現できるか未知数だからです。

未経験転職を成功させるための5つの戦略
➀業界・職種研究を徹底的に行う
未経験転職の第一歩は、徹底的な業界・職種研究です。業界地図や会社四季報で業界構造や主要企業の特徴を把握しましょう。たとえば、IT業界といっても、SaaS企業、システムインテグレーター、Web制作会社などさまざまな分野があることを理解することが大切です。
さまざまな口コミサイトでは、実際にはたらく人の生の声を聞くことができます。給与水準、労働環境、社風など、求人票だけでは分からない情報が得られます。ただし、口コミは主観が強く投稿する母集団にも偏りがあるという点、くわえて数年以上前の古い情報も含まれている点を理解したうえで、複数の意見を総合的に判断しましょう。
LinkedInやWantedlyを活用したOB・OG訪問も有効です。実際にその業界ではたらく先輩から、仕事の実態や必要なスキルを直接聞くことで、具体的なイメージを持てます。最も重要なのは、「なぜその業界か」「なぜその職種か」「なぜその企業か」という3つの「なぜ」に明確に答えられるストーリーを構築することです。
パーソルキャリアも公式LinkedInを運用しているので、ぜひチェックしてみてください。
▶LinkedIn(パーソルキャリア株式会社)
②転職理由を前向きに言語化する技術
転職理由にはネガティブなものも多く存在しますが、それをそのまま伝えると「うちでも同じ不満を持つのでは」と思われてしまいます。そこで必要なのが、ネガティブな理由を前向きに言い換える技術です。
主な言い換え例
・「人間関係が悪かった」→「チームワークを重視する環境ではたらきたい」
・「給与が低かった」→「成果を正当に評価される環境で挑戦したい」
・「成長機会がなかった」→「新しいスキルを身につけ、より大きな価値を生み出したい」
特に重要なのは、「なぜこの業界で挑戦したいか」「なぜその職種に転換したいのか」を明確にすることです。たとえば「現職では営業として5年間、顧客の課題解決に取り組んできました。その中でITツールを活用した業務効率化の重要性を痛感し、自らプログラミングを学習するようになりました。御社のDX推進事業であれば、営業経験で培った顧客視点と、身につけたIT知識を組み合わせて、より実践的なソリューションを提供できると考えています」といった形で、過去・現在・未来を一本の線でつなげましょう。
③現職スキルを転用可能スキルに変換する方法
未経験でも、これまでの仕事で培ったスキルは必ず新しい職場で活かせます。重要なのは、そのスキルを「転用可能スキル」として適切に言語化することです。
どんな職種でも評価される普遍的スキル(ポータブルスキル ※1)には、コミュニケーション力、課題解決力、数字意識、プロジェクト管理能力、時間管理能力などがあります。これらは業界を超えて活用できる重要なスキルです。
※1:ポータブルスキルとは、職種や業種を問わずどこでも通用する“持ち運び可能な”能力のこと
具体的な転用例を見てみましょう。営業→採用人事なら「顧客ニーズを引き出すヒアリング力」が「候補者の本音を引き出す面接スキル」に転用できます。接客業→カスタマーサポートなら「対面での問題解決経験」が「電話やメールでの顧客対応力」に活かせます。
職務経歴書では「新規開拓営業において、独自の顧客管理システムをExcelで構築し、訪問効率を30%改善。結果として成約率を15%向上させ、チーム内売上1位を達成」といった形で、プロセスと成果を明確に示しましょう。
④転職先候補の企業を戦略的に選定する
未経験転職では、応募先の選定も戦略的に行う必要があります。自身が志望する企業群に集中するのも良いですが、実は選定軸やマッチングが適切ではなかったといった事態も起き得ます。そのため、未経験転職では幅広く企業を選定していくのがおすすめです。
たとえば、慢性的な人材不足に悩む業界は、未経験者の採用に積極的なケースも多く見受けられます。そういった業界では、入社後の研修制度も充実していることが多く、未経験からでもキャリアを築きやすい環境が整っています。
⑤転職エージェントを最大限活用する
転職エージェントの活用は、未経験転職において非常に有効です。まず最大のメリットは、自分の市場価値を客観的に把握できることです。転職エージェントは日々多くの転職希望者と企業を見ているため、あなたのスキルがどの程度評価されるか、現実的なアドバイスをもらえます。
また、転職市場では実は多くの非公開求人が存在します。 企業が一般に公開していない求人の中には、未経験者歓迎のポテンシャル採用枠が含まれていることがあり、これらは転職エージェント経由やスカウトなどでしか応募できません。
未経験でも転職しやすい業界・職種の具体例
成長産業や人材不足業界について
たとえば、IT業界は、DXの推進やAIの急激な進歩により今後も継続的な成長が見込まれています。経済産業省の調査では、2030年には最大79万人のIT人材が不足すると予測されています。ITエンジニアだけでなく、営業、マーケティング、カスタマーサポート、プロジェクトマネジャーなど、さまざまな職種で人材が求められています。
介護業界も深刻な人材不足に直面し、2040年には約69万人が不足すると予測されています。未経験でも介護職員初任者研修を受講すれば、すぐに現場で活躍できます。実務経験を積みながら介護福祉士などの上位資格を取得することで、キャリアアップも可能です。
EC市場の拡大により、物流領域は今後も安定した成長が見込まれています。特に倉庫作業・配送・在庫管理などは慢性的な人手不足が続いており、未経験から挑戦しやすい職種です。基礎業務から始め、フォークリフトなどの資格を取得すれば業務の幅が広がり、将来的には管理者やセンター運営など上位ポジションへのキャリアアップも可能です。
小売・サービス分野は、店舗数の多さや人材の流動性の高さから常に採用ニーズがあり、未経験者でも比較的転職しやすい業界です。接客・売場づくり・商品知識などを身につければ、店長候補やエリアマネジャー、SV職など管理系職種へのステップアップも可能です。コミュニケーション力や顧客理解力といったポータブルスキルが評価されやすい点も特徴です。
企業のDX推進により、オンラインで顧客対応を行うカスタマーサポートの需要も高まっています。問い合わせ対応や課題解決など、業務プロセスが体系化されているため未経験でも始めやすく、研修制度が整っている企業も多い領域です。対応スキルを磨くことで、より専門性の高いカスタマーサクセス職やオペレーション改善領域へキャリアを広げることができます。
ポテンシャル採用を積極的に行う企業の特徴
ポテンシャル採用は、未経験者にとって最も現実的な転職の道です。特に第二新卒や20代向けのポテンシャル採用では、現在のスキルよりも将来の可能性を重視します。
求人票に「人物重視」「やる気重視」「未経験者歓迎」「第二新卒歓迎」といった文言が明記され、適性検査や複数回の面接を実施する企業は、人物を多角的に評価しようとしています。選考では「熱意」「学習姿勢」「素直さ」など人柄やスタンスが重視されます。
パーソルキャリアでは未経験歓迎の求人を多数扱っています。あなたに合った求人が見つかる可能性があるので、ぜひチェックしてみましょう。
▶パーソルキャリアの求人はこちら
また、パーソルキャリアでは未経験で転職してきた人も多く活躍しています。星 敦美さんは、テレビ番組制作会社から転職し、マネジメント未経験ながら入社半年でマネジャーに昇格してブランドマーケティング組織を立ち上げました。諏訪 彩花さんは、アパレル販売職から営業未経験で転職し、契約社員から1年でリーダーに昇格、9年間で複数回昇進してアシスタントマネジャーとして活躍しています。
▶パーソルキャリアの社員インタビュー一覧はこちら

未経験転職を成功させるために
未経験転職は確かに簡単ではありません。しかし、適切な戦略と準備があれば道は開けます。
まず現実を正しく認識し、企業が即戦力を求める理由を理解した上で、それを乗り越える戦略を立てましょう。徹底的な業界研究と自己分析を行い、転職理由は前向きに、現職スキルは転用可能な形で表現することが重要です。
成長産業、人材不足業界、ポテンシャル採用企業など、未経験者に門戸を開いている分野を幅広く探しましょう。最後に、諦めないことが何より重要です。未経験転職は時間がかかることが一般的ですが、改善を重ねて挑戦し続けることで、必ずキャリアの扉は開きます。
パーソルキャリアが運営する転職エージェント「doda」では、未経験転職を検討している方向けに気軽にキャリア面談を実施しています。専門のキャリアアドバイザーが伴走しますので、ぜひご登録・カウンセリングをご予約ください。
▶doda転職エージェントはこちら
監修者:HATARACTION!編集部
"はたらく課題"と"ビジネス"をつなげてとらえ、自分ゴトとして、その解決プロセスを楽しむパーソルキャリアの社員をご紹介します。
