ナレッジ・ノウハウ集
2025.12.10
社内転職とは?制度のメリット・デメリット、成功させるコツについて解説
社内転職とは?
社内転職について
社内転職とは、同一企業内において、部署・職種・勤務地などを変更することで新たなキャリアを構築していく仕組みです。従来の人事異動が会社主導で行われるのに対し、社内転職は従業員自身が主体的にキャリアチェンジを希望し、応募・選考を経て実現する点に大きな違いがあります。
たとえば、営業部門で数年間経験を積んだ社員が、マーケティング部門への転職を希望する場合、社内公募制度を利用して応募し、面接などの選考プロセスを経て、新たな部署での業務をスタートすることができます。これは単なる配置転換ではなく、本人の希望によるキャリア形成を目的とした制度であり、社員のモチベーション向上や能力開発の観点から重要な位置づけとなっています。
パーソルキャリアでも「キャリアチャレンジ制度」という社内公募制度を設けています。パーソルキャリアだけでなく、約150社あるパーソルグループのさまざまなポジションへ申請できる制度なので興味がある方は下記リンクからご確認ください。
社内転職が注目される理由
社内転職が企業・従業員双方から注目を集めている背景には、現代のビジネス環境におけるさまざまな変化があります。
まず、企業側の視点から見ると、人材流出防止とスキルシェア促進という大きなメリットがあります。優秀な人材が「新しいことにチャレンジしたい」という理由で転職を検討する際、社内に魅力的な選択肢を用意することで、貴重な人材を組織内に留めることができます。
また、異なる部署で培われた知識やスキルが組織内で共有されることで、イノベーションの創出や業務改善につながるケースも多く見られます。たとえば、IT部門から営業部門に異動した社員が、デジタルツールを活用した新しい営業手法を導入し、部門全体の生産性向上に貢献したという事例や、営業部門から企画部門に異動した社員が、顧客視点を活かした新サービスの開発に成功したという事例などがあります。
社内転職のメリット
新しいキャリアに挑戦しやすい
社内転職のメリットとして、同じ企業文化・人間関係の中で安心してスキル転換ができることがあげられます。外部転職では、新しい会社の文化や価値観、暗黙のルール、人間関係など、ほぼゼロから構築する必要がありますが、社内転職であれば、馴染みのある環境の中で新たな挑戦ができます。
また、他社への転職よりもハードルが低いことがあるという点も見逃せません。転職市場における求人では「即戦力」が求められることが多く、未経験の職種への転職は非常に困難です。一方、社内転職では、これまでの社内での実績や人物評価が考慮されるため、未経験の職種であっても「この人なら新しい部署でも活躍できるだろう」という信頼をベースに採用されるケースもあります。
企業理解を活かして即戦力になれる
社内転職のもう一つのメリットは、会社の制度・文化・業界理解を活かした早期活躍が可能な点です。新しい部署に異動しても、会社全体の事業構造や競合環境、顧客基盤などはそのまま活かすことができます。
たとえば、製造部門から品質管理部門に異動した場合、製造プロセスの詳細な知識があることで、より実践的な品質管理基準の策定や、製造現場と連携した改善活動を効果的に推進できます。また、営業部門から商品企画部門に異動した場合、顧客のニーズや競合他社の動向を熟知していることで、市場に受け入れられる商品開発に貢献できるでしょう。
実際のビジネスシーンでは、部門横断的なプロジェクトが増えており、複数部署の経験を持つ人材の価値は高まっています。営業と企画の両方を経験した社員が、顧客視点と事業視点の両方を持って戦略立案に携わることで、より実現可能性の高い計画を策定できたという事例もあります。
評価・キャリアパスの継続性
社内転職では、勤続年数・評価履歴が引き継がれるという大きなメリットもあります。外部転職の場合、どれだけ前職で高い評価を得ていても、新しい会社では一から信頼をきずき直す必要があります。しかし、社内転職であれば、これまでの評価や実績がそのまま引き継がれるため、キャリアの連続性を保つことができます。
たとえば、10年間の勤続できずいてきた信頼や評価は、新しい部署でも「実績のある社員」として認識されます。また、管理職への昇進を目指す場合も、複数部署での経験が評価され、より幅広い視野を持った管理職候補として期待されることもあります。
福利厚生を維持できることも重要なポイントです。企業独自の退職金制度、確定拠出年金、ストックオプション、各種手当など、長期勤続によって得られる利益をそのまま享受できます。外部転職の場合、これらの福利厚生がリセットされることも多く、経済的な損失につながる可能性もありますが、社内転職ではそうした心配がありません。

社内転職のデメリット
必ずしも選考に合格するとは限らない
社内公募制度の多くは、書類選考や面接などの正式な選考プロセスが設けられているケースが多いです。希望部署に複数の応募者がいる場合は競争となり、外部転職と同様に不合格となる可能性があります。
特に人気部署や専門性の高いポジションでは、応募者の中から最も適任と判断される人材が選ばれるため、現在の実績や保有スキルによっては選考を通過できないことも少なくありません。
仕事内容が想定と異なるリスクもある
また、異動後の仕事内容が想定と異なるリスクもあります。募集要項や事前の説明では魅力的に感じた業務でも、実際に配属されてみると、想定していた業務内容と異なっていたり、期待していたような裁量が与えられなかったりすることがあります。
大きな変化が期待できない可能性がある
部署変更によって昇給が見込めないケースもあげられます。外部への転職であれば、転職を機に大幅な年収アップを実現できる可能性がありますが、社内転職の場合、給与体系は基本的に同じ会社のルールに基づくため、劇的な収入増加は期待しにくいのが現実です。
たとえば、営業部門から企画部門に異動した場合、営業インセンティブがなくなることで、むしろ年収が下がるケースもあります。外部の同業他社に転職すれば30%以上の年収アップが見込める場合でも、社内転職では5〜10%程度の上昇にとどまる、もしくは年収は異動前と変わらないことが多いのが実情です。
社内転職を成功させるコツ
事前リサーチを徹底する
社内転職を成功させるためには、異動先部署の業務内容・求められるスキルを把握することが重要です。まずは、社内の情報システムや人事部門が提供する資料を活用して、希望部署の組織構成、主要業務、直近のプロジェクト、求められる成果などを詳細に調査しましょう。
具体的には、希望部署の事業計画書や部門方針を入手し、その部署がどのような目標を掲げ、どのような戦略で事業を推進しているのかを理解することから始めます。また、その部署で使用されているツールやシステム、必要な資格や知識についても事前に把握し、不足しているスキルがあれば、異動前から準備を始めましょう。
スキルアップの準備を怠らない
異動希望先で求められるスキルの学習は、社内転職成功の鍵となります。資格取得、研修受講、さらには複業(副業)での経験など、さまざまな方法でスキルアップを図ることができます。たとえば、マーケティング部門への異動を希望する場合、Google Analyticsの認定資格を取得したり、デジタルマーケティングに関する外部セミナーに参加したりすることで、意欲と準備の両方をアピールできます。
社内研修プログラムの活用も効果的です。多くの企業では、部門横断的なスキル研修や、次世代リーダー育成プログラムなどを提供しています。これらのプログラムに積極的に参加することで、新しい部署で必要となる知識やスキルを身につけるとともに、他部署の社員とのネットワークを構築することもできます。
制度を正しく理解して活用する
社内公募制度・キャリアチャレンジ制度などの詳細確認は必須です。企業によって名称や仕組みは異なりますが、多くの場合、年に1〜2回の募集期間が設定されています。
選考では、志望動機などを含めた応募書類の作成が求められることが一般的です。なぜその部署を希望するのか、どのような貢献ができるのか、将来的にどのようなキャリアを描いているのかを、具体的かつ説得力のある形で表現することが求められます。また、面接では、現在の上司の推薦状が必要な場合もあるため、事前に上司との調整を行っておくことも重要です。
パーソルキャリアの社内公募制度について
パーソルキャリアでは、社員の主体的なキャリア形成を支援するため、 キャリアチャレンジ制度を設けています。この制度は、社員が自らの意志で新しい部署や職種にチャレンジできる仕組みで、年2回の公募期間を設定しています。
キャリアチャレンジ制度の詳細については、以下でチェックできます。
実際にこの制度を活用して、キャリアチェンジに成功した社員の事例も多数あります。
中島 明日香さん
たとえば、中島明日香さんはコンテンツグループのメルマガ担当から、編集部のデスクへの異動を実現しました。メルマガの企画・配信業務で培った「読者目線でコンテンツを設計する力」を活かし、現在は編集部で記事の品質管理やライターのマネジメントを担当しています。
▶インタビュー記事はこちらから
林 咲希さん
また、林咲希さんは求人広告営業からキャリアアドバイザーへの異動を実現しています。営業時代に培った「企業の採用課題を深く理解する力」を武器に、求職者と企業双方の視点を持ったキャリア支援を行っています。異なる職種への転職がもたらすキャリアの可能性について語っています。
▶インタビュー記事はこちらから
パーソルキャリアでは部門や職種の垣根を超えた柔軟なキャリア形成が可能であり、社員一人ひとりの成長意欲を大切にする文化が根付いています。

社内転職をキャリア成長のチャンスに
社内転職は、現在の職場環境を維持しながら新たなキャリアの可能性を探る、バランスの取れた選択肢です。企業文化や人間関係という基盤を保ちながら、新しいスキルや経験を積むことができるため、リスクを最小限に抑えながらキャリアアップを図ることができます。
社内転職制度は、企業と社員の双方にメリットをもたらす仕組みです。この制度を最大限に活用し、自身のキャリアを主体的にデザインしていくことで、より充実した職業人生を送ることができるはずです。今こそ、新たな一歩を踏み出すタイミングかもしれません。
監修者:HATARACTION!編集部
"はたらく課題"と"ビジネス"をつなげてとらえ、自分ゴトとして、その解決プロセスを楽しむパーソルキャリアの社員をご紹介します。
