プロジェクトストーリー

2023.12.12

子どもたちに「はたらく」を考える機会を。未来の大人がキャリアオーナーシップを発揮できる社会

パーソルキャリアでは、小・中学生を対象に「はたらく」ことについて考えるワークショップを提供しています。社内の「MISSION VALUE Award(MVA)」でパーソルグループ全体での最優秀賞を受賞したプロジェクトの歩みとパーソルキャリアがめざすミッション経営について、メンバーに話を聞きました。

このプロジェクトは「MISSION VALUE Award2023」でゴールド賞を受賞しました。

PROFILE

竜田 遼

経営戦略本部
ブランド戦略統括部 ミッション共創推進部 兼 人事本部 人事マネジメント統括部 組織・人材開発部 エキスパート

大学卒業後、ウエディングプロデュース会社に入社。その後、医療系人材紹介会社を経て、2015年パーソルキャリアへ。キャリアアドバイザー、人事部でのHRBP・組織開発・人材育成を経験し、現在は全国の小・中学校でキャリア教育の推進にまい進する。2021年、経済産業省キャリア教育アワード優秀賞獲得。

伊藤 剛

経営戦略本部
ブランド戦略統括部 ミッション共創推進部 キャリア教育推進 兼 ブランド戦略統括部 マネジャー

大学卒業後、大手PR会社に入社。その後、マーケティングエージェンシーのプロデューサーを経て、2018年パーソルキャリアへ。広報やdodaのPRを担当し、2021年6月、ミッション共創推進部のマネジャーに就任。外部セクターとともに非営利領域のミッション推進活動を担う。

木原 ひとみ

採用ソリューション事業部
SS統括部 SS第1営業部
兼 経営戦略本部 ブランド戦略統括部 ミッション共創推進部 エキスパート

大学卒業後、求人広告代理店に入社。法人営業として、企業の女性採用活動を支援する。2007年、経営統合によりパーソルキャリアの前身であるインテリジェンスへ。その後も一貫して顧客企業の採用支援を担当する。2019年、キャリア教育推進プロジェクトに参画。2022年4月より、キャリア教育推進グループと兼務。

子どもたちが「はたらく」に目を向けるきっかけをつくるワークショップ

「“はたらく”を考えるワークショップ」とは、どんな取り組みなのですか?

竜田
全国の小・中学校にパーソルキャリアの社員を講師として派遣し、「はたらく」ことについて考えるワークショップを提供しています。内容や対象年齢によっていくつかのプログラムを用意していますが、キャリア教育の導入編である「動機付けプログラム」では、「仕事ってどれくらいの数がある?」「どんな仕事がある?」などと興味を引くような問いかけやワークを行いながら、子どもたちが「はたらく」ことに目を向けるきっかけづくりをしていきます。

2023年3月までに、ワークショップを実施した学校はのべ158校、受講した子どもたちはのべ1万5,900人、実施回数は295回を数えます。

かなり大規模ですね。どのような経緯で始まったプロジェクトなのでしょう。

竜田
もともと子どものキャリア教育に携わりたいと思っていて。2017年、パーソルキャリアも所属している「全国求人情報協会」の慈善事業のような形で、ワークショップを始めたのがきっかけでした。

参加校がどんどん増えていく中、私だけでは全国の学校を回りきれなくなり、2019年に「キャリア教育ラボ」という社内の部活動を立ち上げました。パーソルグループの社員であれば誰でも参加でき、キャリア教育について学びを深めたり、実際に講師としてワークショップを担当したりする活動です。(木原)ひとみさんと出会ったのもそのころでしたね。

木原
竜田さんが主催する社内イベントに参加して、「おもしろそうだな」と感じたことをきっかけに、ラボに入部しました。

竜田
ひとみさんの「人を巻き込む力」に惹かれ、コミュニティマネジャーとして関わってもらえないかとオファーしたんです。

木原
当初は20人ほどだった部員も、今ではおよそ280人まで増えています。

4年で10倍以上ですね。社内で活動を広げる工夫などもされたのですか?

竜田
実は、僕らが積極的にラボの人数を増やそうとしたことはないんです。私は新卒採用の面接官も担当しているのですが、キャリア教育への興味からパーソルキャリアを志望したという学生も年々増えています。中途入社の方で、入社後すぐラボに入部する方も多いんですよ。

木原
ラボの活動は、「根っこ」が強いんです。誰かの指示で動くわけではなく、キャリア教育に関心を持った個人が集まって、主体的に活動していることが特徴ですね。

慈善事業を、会社にとってなくてはならない投資対象に変えていく

伊藤さんが参画したのは、いつごろですか?

伊藤
2020年の後半です。広報部門に在籍中、竜田さんの活動を知って。なぜこんなに“ひっそりと”活動をしているのか、社の内外にもっと伝えていくべき活動だと感じ、サポートを始めたんです。コーポレートサイトに特設ページをつくったり、経済産業省のキャリア教育アワードにエントリーしたり、新しいプログラムを発表したりといったことを仕掛けていきました。

竜田さんと私の関係は、宮崎 駿監督と鈴木 敏夫氏をイメージするとわかりやすいかもしれません。プログラムを創るのは竜田さんで、私はマネジャー兼プロデューサーとしての立ち位置です。

竜田
活動を広げていく上で、(伊藤)剛さんの存在は大きな推進力になりました。広報のプロフェッショナルとして、「見せ方」のプロデュースから、私が実現したいことに対してもどうすればできるのかを一緒に考えてもらい、私が不得意な部分や力及ばない部分を助けてもらっています。

伊藤
「見せ方」とは「価値」のことです。社会や学校にとっての価値と同じくらい重視しているのは事業にとっての価値です。“はたらく”を考えるワークショップを今後さらに多くの学校で開催し、継続していくためには、会社からの投資が必要です。この活動は、「人々に『はたらく』を自分のものにする力を」というパーソルキャリアのミッションに強く結びつくものですが、現状では短期的・直接的な利益を生まない、いわば慈善事業です。

竜田
なので、どうすればこの取り組みを、会社にとってなくてはならない投資対象に変えていけるのかということを、剛さんと一緒にずっと考えてきましたね。

伊藤
この取り組みは、グループビジョン、ミッションを実現するアクションであり、会社にとってのブランディングにつながりますが、より多くの学校に届けるための投資を得るにはまだ足りません。社員の皆さんが講師として参加し、子どもたちからの質問に答えることで、「自分はなぜこの会社ではたらいているのか」をあらためて意識したり、自身の仕事に誇りを持ったりするきっかけになります。ミッションに共感した優秀な人材を惹きつけることにもつながると思います。持続的な事業成長に貢献する価値を見つけていく取り組みは、今後も続けていかなければなりません。

2021年には、正式な部署として設立されましたが、転機となりましたか?

伊藤
正式に組織として承認されたことで、体制の強化も進んでいます。現在は専業の社員が1人、兼務の社員が3人いますが、2024年からはもう1人加わる予定です。

木原
会社から認められ、仕事の一環としてキャリア教育に携われるようになったことは、個人的にも大きな転機になりました。社内の皆さんに活動を知ってもらうきっかけになりましたし、責任も強く感じています。

竜田
部署化してメンバーが増えたことで役割分担ができるようになりましたし、引き受けられる授業数も増えて、活動の幅が広がりましたね。大変な選択をしてここへ来てくれたメンバーに、とても感謝しています。

子どもに「正解」を与えるのではなく、一緒に考える授業

キャリア教育を目的とするプロジェクトは世の中にたくさんありますが、“はたらく”を考えるワークショップがこれだけ多くの共感を呼ぶ理由はどんなことだと思いますか?

木原
大人が子どもに「正解」を与える授業ではないという点は、大きな特徴だと思います。個別の職業を紹介するのではなく、「どう生きていきたいのか」「なぜはたらきたいのか」というキャリアの土台になる問いについて、子どもたちと一緒に考え、問い直し、学び合うというスタンスなんです。

竜田
それに2時間のワークショップで、「はたらく」に対する子どもたちの印象は明確に変わります。最初の問いかけでは、「大変」「つらい」「社会の歯車」などというイメージを語っていた子どもたちが、「誰かのためにすること」「いろいろな人が仕事を通じて支え合う」など、仕事について多様な見方ができるようになるんです。

木原
ワークショップでは仕事のいい面だけでなく、つらいことや大変なこともありのままに伝えます。プラスの意見に変えることが目的ではなく、子どもたちの中で視点が変容したり、多面的に物事を捉えられるようになったりすることが理想だと考えているからです。

竜田
「まさにこういう授業を探していました」「私たちもプロとして腕を磨かなければ、と刺激を受けました」などと言ってくれる先生も珍しくありません。パーソルキャリアのメンバーはコミュニケーション能力が高く、しかも「はたらく」ことについて自分自身の思いや「軸」を持っているので、子どもたちの心に響くワークショップができるんだと思います。また、当初は積極的な広報活動はしてこなかったのですが、剛さんに参画いただいて、プレスリリースの配信や、外部団体でのイベント登壇などに出ることでも認知が広がりました。ワークショップを導入いただいた先生方の口コミや紹介も含めて、加速度的に全国へ広がっている感覚がありますね。

派遣される講師は、どのように決まるのでしょうか?

木原
ワークショップを行う学校と日時が決まった段階で、キャリア教育ラボのメンバーに向けてアナウンスをし、希望者を募ります。いつもラボのメンバーの立候補で決まるんです!それから学校と打ち合わせをして、具体的な内容を提案するのもメンバーの役割になりますね。

ラボには主体的に関わってくれるメンバーがたくさんいますが、参加を強制することはありません。業務が忙しかったり、家庭の事情があったりして積極的に参加はできないという人もあたたかく受け入れられる、サードプレイス的なコミュニティをめざしたいと思っています。

“はたらく”を考えるワークショップが、社内表彰で最優秀賞に選出

ミッションやバリューを体現した社員を表彰する「MISSION VALUE Award(MVA)」でパーソルキャリアのゴールド賞を受賞、さらにグループ全体の最優秀賞にも選出されています。

竜田
目に見える形で利益を生んでいるわけではないプロジェクトが受賞したことに、正直、私自身がとても驚きました!意外すぎて、表彰式でも、初めは私たちが呼ばれていることに気づかなかったくらいです(笑)。この賞はパーソル社員が投票権を持って選ぶものなので、多くの方が応援・支持してくれていることが実感できてとてもうれしかったです。

伊藤
「人々に『はたらく』を自分のものにする力を」というミッションが社内に浸透していることを、あらためて実感する良い機会になりましたね。そうでなければ、社員の投票によって決められるMVAで、このプロジェクトが選ばれるはずがありません。

パーソルグループの魅力については、どう感じていますか?

木原
私たちのミッションやビジョンに共感できる方にとっては、とにかく「仲間」が多い環境だと思います。やりたいことを声に出せば、同じ志を持つ人たちとつながることができます。私自身も、これから社内外のさまざまな人や組織と協力し、「はたらく」ことに幸せを感じる人を増やしていきたいです。

竜田
とくにキャリア教育については、社内でやりたいことを実現できる環境が整ってきています。場所も、知識も、スキルも提供しますし、仲間もたくさんいるので、思う存分自分がめざすことに挑戦してほしいですね。

今度、活動を通じて実現したいと考えていることを教えてください。

伊藤
まずは、さらに多くの社員の方に、キャリア教育ラボの活動に参加してほしいですね。子どもたちの変化、そして自分自身の成長を体感できると思います。そして、当たり前のように企業が積極的に出前授業を無償で行い、多くの社員が積極的に参加している社会を創りたいです。パーソルキャリアがそのロールモデルになると思っています。

竜田
10年後、20年後の日本が、「はたらく」ことを前向きにとらえられる人があふれる社会になっているといいなと思います。「キャリア教育」という言葉が語られ、学校から私たちに問い合わせがあるということは、キャリアについて考えることが子どもたちの日常に溶け込んでいない証拠です。「はたらく」ことに関わる機会が、子どもたちにとってごはんを食べるのと同じくらい当たり前になり、いつかキャリア教育という言葉そのものが必要なくなることが、私たちにとって究極の目標かもしれません!

  • 社員の所属組織および取材内容は取材時点のものになります。
  • 社員の所属事業部名称は、2024年4月時点での名称となります。
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