
プロジェクトストーリー
2022.12.28
国境を越えた人材紹介の火を絶やさぬために。コロナ禍で人流が滞る時期にあえて取り組んだグローバルCAの組織化と中国へのUターン転職支援
パーソルグループ、グローバルキャリアグループは、パーソルグループの海外法人であるPERSOLKELLY(パーソルケリー)と、パーソルキャリアの二国間での人材紹介サービスをサポートするミドル部門として2016年に立ち上げられた組織だ。コロナ禍により国境をまたぐ移動が制限され、海外の求人数も半減という厳しい状況下でも、海外で働きたい、海外と接する仕事がしたいと考える転職希望者は大勢いる。「いつ止むともしれない厳しい向かい風にさらされているときだからこそ、希望の火を灯し続けなければならない。」2020年10月、そんな志を持つ社員が、海外で働きたいと願う転職希望者のため、そして海外転職支援事業の存続のためにはじめた取り組みがある。それこそがグローバルCAの組織化と日本に住む中国人を対象としたUターンを支援するアウトバウンド転職プロジェクトだ。
- ※このプロジェクトは「MISSION VALUE Award2022」でブロンズ賞を受賞しました。
Profile
doda事業本部 エージェントサービス事業部 キャリア支援統括部 グローバルキャリア支援グループ アシスタントマネジャー
新卒で入社したITベンチャーでは企画営業に従事。専業主婦、コールセンター業務等を経て、テンプスタッフ台湾(現・パーソルケリー台湾)に入社。現地企業と転職希望者の双方のコーディネイト業務を経験し帰国。パーソルホールディングスで海外グループ会社との連携業務を担当し、2016年にパーソルキャリアに転籍。現在は日本から海外へ人材を紹介するアウトバウンドの拡大に力を注ぐ。
doda事業本部 エージェントサービス事業部 キャリア支援統括部 CAEMC部 CA(キャリアアドバイザー)兼 キャリア支援統括部 グローバルキャリア支援グループ マネジャー
2016年インテリジェンス(現・パーソルキャリア)に入社。転職メディアの法人営業として、主に小売や商社、サービス業の顧客を担当。2017年からはCA(キャリアアドバイザー)として機械・電機エンジニアの採用支援に携わる。2021年5月からはグローバルCAを兼務するようになり、同年10月からはCAEMC(機械・電機メーカー)チームと、グローバルキャリアグループのマネジャーとして、各組織の運営とCAの育成に従事する。
doda事業本部 エージェントサービス事業部 キャリア支援統括部 グローバルキャリア支援グループ
2004年、大学入学のために来日。卒業後は国内メーカーに就職し中部地方を担当する営業に。帰国後、2012年に日系の大手人材紹介サービス会社に転職し、RA(リクルーティングアドバイザー)、CA(キャリアアドバイザー)を経験。その後、PERSOLKELLY(パーソルケリー)中国を経て、2017年に再来日。IT特化型の人材紹介サービス会社に勤務後、2021年10月、パーソルキャリアに入社。現在は中国での就業を目指す転職希望者向け転職セミナーの開催、オウンドメディアの運営のほか、転職希望者への求人紹介から入社までのサポートを担当している。
中国を中心に、日本からのUターンも含めた幅広い国際転職支援に注力
- 本プロジェクトを立ち上げた経緯を教えてください。
- 小倉
- グローバルキャリアグループは、海外の求人案件を日本の転職希望者に紹介するアウトバウンド型の国際転職をサポートする目的で2016年に立ち上げられた組織です。以来、徐々に国境をまたぐ転職をご支援する機会が増えていたのですが、コロナ禍の逆風で年間500件ほどあった求人案件が半減。各国の入国規制も厳しくなり日本から海外へ出てキャリアを築きたいという方を支援するビジネスが突如として暗転してしまいました。しかし、こうした状況下でも海外で働きたい、海外で働かなければならない事情を抱えた方は一定数いらっしゃいます。二国間での転職サービスを縮小したり、撤退する同業他社が増えるなか、なんとしてもこの苦境を乗り越えなければ、せっかく灯したグローバルキャリアの火が消えてしまう。そんな想いで立ち上げたのが、このグローバルCAの組織化でした。
- 立ち上げにあたってはどんな困難がありましたか?
- 小倉
- 本来、グローバルキャリアグループは、日本と海外拠点をつなぐ企画部門であり、直接、転職希望者の相談にのることのない組織でした。そんななか、グループ内に専任のCAもいない状況でのスタートだったため、組織づくりや業務フローの策定が一番の難題でした。普段は国内の求人案件をサポートするCAから、国際転職を支援するグローバルCAを兼務してもいいというメンバーを募り、2020年10月からようやく支援事業をはじめることができたのです。
- どんな取り組みからスタートしましたか?
- 小倉
- 海外での転職を希望される方を、一旦グローバルキャリアグループに集約することからはじめました。とりわけ力を入れたのが、日本に住む中国人のなかでUターン転職を希望する方のサポートです。なぜ中国に注力したのかといえば、中国は他国よりも市場規模が大きく、日本と取引のある中国企業や現地でビジネスを展開する日系企業から、日中両国の文化や言葉に通じている中国の方への引き合いが多いためです。また、 コロナ禍の渡航制限で実際に海外に就業するのが難しい時期もあり、その際には将来的に海外就業につながるような国内での転職を支援するなどの取り組みも積極的に取り組みました。
限られた人数で最大の効果を出すために、できることはすべてやる
- それぞれの役割について聞かせてください。
- 小倉
- 私はグローバルキャリアグループの企画職として、各国間の業務調整や進捗管理、業務フローの確立など、グループのマネージメントおよびプロジェクト全体の推進役を担っています。
- 池田
- 私はこのプロジェクトが立ち上がった翌年、2021年5月にグローバルキャリアグループに加わりました。グローバルCAのひとりとしてキャリア支援業務に従事し、2022年10月以降は、首都圏の機械・電機メーカーのエンジニアを対象としたCAチームのマネジャーとグローバルCAチームのマネジャーを兼務し、それぞれの組織運営と人材育成に携わっています。
- 姚
- 私は小倉さんと同じくグローバルキャリアグループの企画職として、PERSOLKELLY Chinaの営業担当者との業務調整や、各種採用セミナーの主催、採用オウンドメディアによる集客などをメインに担当しています。また、グローバルCAと協力して転職希望者の相談に直接のりながら転職活動をサポートする場合もあり、幅広い業務に携わっています。
- 池田
- 日本で暮らす中国人のUターン転職を支援するプロジェクトを牽引しているのが、まさにここにいる姚さんです。転職希望者の希望勤務地が中国の場合、必ず姚さんに連絡を入れて現地の採用マーケットの動向や具体的な求人案件の有無を確認するのが通例になっているほど、姚さんはこのプロジェクトにはなくてはならない存在です。大半の求人案件は姚さんありきで回っていると言っても過言ではないほど、とても頼りにしています。
- 姚
- 私は日本と中国の架け橋になりたくてパーソルキャリアに入社しました。そのため中国で働きたい日本人や母国である中国に戻って再就職がしたいと願う転職希望者のサポートのためなら、できるだけ努力したいと思って取り組んでいます。だからこそ集客だけでなく、実際にサービスを申し込まれた転職希望者への支援や求人案件の取りまとめにも積極的に取り組んでいるんです。
- このプロジェクトにおける難しさはどこにありますか?
- 小倉
- 国ごとに異なる法律や労働慣行に対応しなければなりませんし、各国でマッチングに利用しているシステムが異なるため、どうしても手作業で業務フローを補完しなければならない点が出てきてしまいます。その点については、業務フローが完成している国内の人材紹介サービス領域の現場にはない苦労でしょうね。またグローバルCAは、グローバルキャリアグループ以外に主務を持つ兼任者で構成されており、人数も限られています。この少ないメンバーで、すべての業界・職種に対応するのは決して容易ではありません。業務を円滑に進める上で努力を強いられる部分は多いと言えます。
- 池田
- グローバルCAを束ねる立場から申し上げると「海外で働きたい」という言葉ひとつ取ってもその意味は人によってさまざま。「2、3年ほど海外で暮らしてみたい」という方もいれば、「現地に骨を埋める覚悟でキャリアアップに挑戦したい」という方もいるからです。CAが転職希望者ひとりひとりの思いを深掘りし、正確に言語化した上でご紹介していかないと、まとまる案件もまとまりませんし、その方の人生に取り返しがつかないダメージを与えてしまうかもしれません。その方にとってベストな選択はどこにあるのか、きちんと解きほぐした上でご紹介するのは非常に時間がかかりますが、人生に関わる大事なことですから、決して疎かにできないポイントです。
- 姚
- 池田さんの言う通りだと思います。転職は人生の大切な節目。転職先選びにはリスクも伴います。それが国境をまたぐ転職であれば、なおさらです。転職希望者の不幸につながるかもしれない可能性が少しでもあるなら、きちんとメリットとデメリットを並べて、解決策を示すなり、また別の手段をお勧めすることも必要でしょう。安易な転職は後悔のもと。私はその方の人生のパートナーになるつもりでご支援しています。
グローバルCAの手厚いサポートにより、倍々ゲームで伸びる紹介実績
- グローバルCAは当初3名からスタートしたそうですが、現在は何名で運営していますか?
- 池田
- 当初3名からスタートし、その後、私が加わったタイミングで4名となり、現在は11名体制で運営しています。2022年10月に社内公募を行ったところ、多数の応募があり、海外への転職支援に高い志のあるメンバーを新たに募ることができました。今後はさらに多くの転職希望者へのご支援が叶うと願っています。
- プロジェクトの本格稼働から約1年が経ちました。プロジェクトの成果はいかがですか?
- 小倉
- 2021年10月から1年間の実績をお伝えすると、転職希望者向けにオンライン開催した「アジアキャリアセミナー」へのエントリー数は計36回で3054名ほどでした。2020年度下期の半年間は、ご紹介からご入社に至った方の数はわずか2名でしたが、今期の第1四半期は4名になり、続く第2四半期は10名、第3四半期は20名と倍々ゲームの割合で伸びています。ご紹介先もコロナによる渡航制限解除後は、中国をはじめシンガポール、マレーシア、ベトナム、タイ、フィリピン、インドネシアなどにも拡大しており、今後に期待が持てますね。
- 仕事のやりがいを感じるのはどんなときですか?
- 姚
- やはりご希望通りの転職が叶ったときが一番やりがいを感じる瞬間ですね。感謝やねぎらいの言葉をもらうと、それまでの苦労が一気に吹き飛びますし、この仕事に携わってよかったとつくづく感じます。
- 小倉
- 私はこの仕事に思いを持って取り組んでくれるメンバーそれぞれが、自分の得意分野を活かし、創意工夫を重ねながら転職希望者支援に取り組んでいる姿を見ると、このプロジェクトを立ち上げてよかったと心から思いますし、やりがいを感じる瞬間でもあります。グローバルキャリアグループをいまよりもよりよい組織にしようというモチベーションの源泉でもあります。
- 池田
- 海外への転職支援の可能性を最大化するためにいろいろなことにチャレンジすること自体が、私にとっては大きなやりがいです。まだまだ道半ばですが、これからもひとりでも多くの転職希望者の夢や目標を叶えるお手伝いができたら嬉しいですし、そのために必要な努力は惜しみません。
私たち自らが場所にとらわれない働き方を体現する。そんな未来を切り拓きたい
- 今後、どのような取り組みを通じて転職支援を拡大したいと考えていますか?
- 小倉
- 意欲ある人に就労の機会を提供するのがグローバルキャリアグループの使命です。しかし、まだまだご紹介できる国と地域は限られており、アジア・パシフィック以外のエリアでの転職支援を自信を持ってできる体制を整えるのが、これからの課題です。
- 池田
- グローバルCAが増えれば、転職希望者に対して、いま以上に手厚いサポートができるようになり、対応できる案件数も増え、より多くの方の転職を叶えられるはずです。そのためには、やはりグローバルCAの専任化は不可欠です。人員規模の拡大と併せて、ぜひ実現したいと思っています。
- 姚
- 中国でのビジネスに関して言うと、いまはまだ日本から中国へのアウトバウンド型の支援しかできていないので、将来的にはインバウンド型の転職支援にも取り組みたいですね。いつゴーサインが出てもいいよう中国側で支援にあたっている現地担当者とは日々情報交換をしています。
- 池田
- 少し先の目標を挙げるなら、私たち自身が海外で暮らしながら国内外の転職希望者をサポートできるようにできたらと思います。グローバルCAが場所に囚われないはたらき方を体現してこそ、求人企業や転職希望者に伝わるものがきっとあると思うからです。
- 姚
- それは素晴らしいことですね。私たちは国境に囚われないはたらき方を求める方を支援しているわけですから、とてもいいアイデアだと思います。私もぜひ挑戦してみたいです。
- 小倉
- このプロジェクトを通じて、チームメンバー全員が、逆風が吹くなかでも知恵を絞ってチャレンジすれば、困難な道も開けることを体感できたはずです。今後、日本でも海外でキャリアを築くことが当たり前になれば、池田さんの話も決して夢物語ではありません。そんなはたらき方を実現できるようこれからも力を合わせグローバルキャリアグループを盛り上げていきたいと、改めてそう思います。
- ※社員の所属組織および取材内容は取材時点のものになります。
- ※社員の所属事業部名称は、2025年4月時点での名称となります。
監修者:HATARACTION!編集部
"はたらく課題"と"ビジネス"をつなげてとらえ、自分ゴトとして、その解決プロセスを楽しむパーソルキャリアの社員をご紹介します。