ナレッジ・ノウハウ集
2025.10.10
複業(副業)可能な会社とは?特徴や調べ方、副業の注意点について解説
複業(副業)可能な会社について
複業解禁の背景と現状
近年、日本の労働市場において複業可能な会社が急速に増加しています。この背景には、2018年に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定し、モデル就業規則から副業禁止の規定を削除したことが大きく影響しています。さらに、2020年から続いたコロナ禍によるリモートワークの普及が、複業解禁の流れを一層加速させました。
働き方改革の推進により、企業は「複業可能な会社」として柔軟なはたらき方を提供することで、優秀な人材を確保・維持する必要性に迫られています。時間や場所に縛られない、はたらき方が技術的に可能になったことで、複業という選択肢が現実的なものとなりました。
複業可能な会社の種類
複業可能な会社には、その許可範囲や条件によっていくつかのパターンが存在します。
・完全自由型
「完全自由型」と呼ばれる企業では、基本的に複業に関する制限を設けず、社員の自主性に委ねています。このタイプの企業は主にスタートアップやIT企業に多く見られ、イノベーションの創出や社員の成長を重視する文化が根付いています。
・事前承認型
次に「事前承認型」の企業があります。これは最も一般的なパターンで、複業を開始する前に会社への申請と承認が必要です。多くの大手企業がこの方式を採用しており、競業避止や情報漏洩のリスクを管理しながら社員の複業を認めています。承認基準は企業によって異なりますが、本業への影響度合い、競合他社での就業の有無、労働時間の管理などが主な審査ポイントです。
・条件付き許可型
「条件付き許可型」の企業では、特定の条件を満たす場合のみ複業が認められます。例えば、週末のみ、特定の業種・職種限定、収入上限の設定といった条件があります。このタイプは、段階的に複業を解禁していく企業や、リスク管理を重視する企業に多く見られます。
複業(副業)可能な会社の調べ方
求人サイトで探す
複業可能な会社を効率的に見つけるには、大手転職サイトの検索機能の活用が有効です。サイトによって表現は異なりますが、「複業可」「複業OK」「副業可」「副業OK」「Wワーク可」といったキーワードで検索できます。
検索時のコツとして、「複業」と「副業」の両方のキーワードで検索するとよいでしょう。企業によって表記が異なるため、両方で検索することでより多くの求人情報を見つけられます。また、「パラレルワーク」「兼業」「ダブルワーク」といった関連キーワードも併せて検索すると、さらに選択肢が広がります。
企業の公式サイトで確認する
多くの企業では、採用ページの「はたらき方」「福利厚生」「社内制度」といったセクションで複業制度について言及しています。特に、働き方改革に積極的な企業では、複業制度を自社の魅力としてアピールしているケースが多く見られます。
IR情報やプレスリリースも重要な情報源です。上場企業の場合、統合報告書やサステナビリティレポートの中で、人材戦略の一環として複業制度に触れていることがあります。また、複業制度を新たに導入した企業はプレスリリースで発表することが多いため、企業のニュースリリースページをチェックすることも有効です。
社員インタビューや採用ブログからも、複業の実態を把握できます。実際に複業をしている社員の体験談や、複業と本業のバランスの取り方、会社のサポート体制など、リアルな情報を得られます。
パーソルキャリアは、2023年より複業制度を本格的に推進しており、社員の自律的なキャリア形成を支援しています。
検索エンジンやSNSで調べる
GoogleやYahoo!などの検索エンジンを活用すると、複業可能な企業に関する幅広い情報を収集できます。「企業名 複業」「企業名 副業 制度」といったキーワードを使用すれば、その企業の複業制度に関する情報を効率的に見つけられます。また、「業界名 複業 解禁」「複業OK 企業 ランキング」といった検索も、業界全体の動向を把握するのに役立ちます。
近年は各企業もSNSに力を入れているため、X(旧Twitter)やInstagramなどで複業可能な会社を調べるのもおすすめです。「#複業」「#副業OK」「#パラレルワーク」といったハッシュタグをフォローすると、複業を解禁した企業の情報や、実際に複業をしている人の体験談を見つけられます。
面接で確認する
募集要項に複業に関する記載がない場合でも、選考過程で直接確認できます。ただし、質問のタイミングと聞き方には注意が必要です。
質問する際は、「御社では複業は認められていますか」と直接的に聞くよりも、「キャリア開発の一環として、業務外での学習や活動についてはどのようなスタンスをお持ちですか」といった、より広い観点から質問するとよいでしょう。これにより、企業の基本的な考え方を理解した上で、複業の可否について確認できます。
パーソルキャリアのように複業を推奨している企業では、面接官から積極的に複業制度について説明してくれることもあります。
複業(副業)可能な会社の特徴
大手企業でも複業可能な会社は多い
従来、複業といえばベンチャーやスタートアップ特有の制度というイメージがありましたが、現在では多くの大手企業も複業を解禁しています。
大手企業が複業を解禁する理由は複数あります。まず、優秀な人材の確保と定着が挙げられます。特に若い世代にとって、複業の可否は就職先を選ぶ上で重要な要素となっており、複業を認めることで人材獲得競争で優位に立てます。また、複業を通じて社員が獲得する新しいスキルや人脈が、本業にも好影響を与えることが期待されています。
パーソルキャリアも、大手人材サービス企業として複業を積極的に推奨しています。当社では、複業を「自律的なキャリア形成の一環」と位置づけ、社員が主体的にキャリアを設計することを支援しています。
比較的自由な社風の企業に多い
複業可能な会社には、共通する組織文化の特徴があります。これらの企業では、社員を管理の対象ではなく、自己管理能力を持つプロフェッショナルとして扱います。出社時間や勤務場所に関して柔軟な制度を持つ企業が多く、フレックスタイム制やリモートワークが広く導入されています。
成果主義的な評価制度も、複業解禁企業の特徴です。労働時間ではなく成果で評価する文化が根付いているため、本業で求められる成果を出している限り、複業に対して否定的な見方をされることはほとんどありません。むしろ、複業で得た経験やスキルが本業の成果向上につながると期待している企業も多いです。
業界によって複業許可の割合は変わる
複業解禁の進み具合は、業界によって大きく異なります。最も進んでいるのはIT・Web業界で、多くの企業が何らかの形で複業を認めています。この業界は技術の進化が速く、常に新しいスキルの習得が求められるため、複業を通じた学習機会の提供が人材戦略上、重要となっています。また、エンジニアやデザイナーなどの専門職では、複業でスキルを磨くことが文化として定着しています。
一方で、金融業界や製造業などの伝統的な産業では、複業解禁の動きは比較的緩やかです。しかし、これらの業界でも徐々に複業可能な会社が増えています。
複業を解禁する会社はここ数年で増えている
複業を解禁する企業数は、ここ数年で急速に増加しています。
まず、労働力人口の減少により、企業は限られた人材をより効率的に活用する必要に迫られています。複業を認めれば、フルタイムでの雇用が難しい優秀な人材を部分的にでも活用できます。また、複業人材を受け入れることで、外部の知見やノウハウを社内に取り込むことも可能です。
テクノロジーの進化も大きな要因です。クラウドツールやコミュニケーションツールの発達により、時間や場所に縛られないはたらき方が可能となりました。これにより、本業と複業の両立が技術的に容易になり、企業も複業を管理しやすくなりました。
社会全体の価値観の変化も見逃せません。「人生100年時代」と言われる中で、一つの会社で一つの仕事だけをするキャリアモデルは過去のものとなりつつあります。個人が主体的にキャリアを設計し、複数の収入源を持つことがリスクヘッジとして認識されるようになっています。
複業可能な会社ではたらくメリット
収入源の多様化と経済的安定
複業の大きなメリットとして、収入源の多様化による経済的な安定性の向上が挙げられます。本業の給与に加えて複業からの収入があれば、生活の質を向上でき、万が一本業の収入が減少した場合でもセーフティネットとして機能します。
複業による収入増加の可能性は、個人のスキルや取り組み方によって大きく異なりますが、月に数万円から数十万円の収入を得ている人も少なくありません。特に、専門性の高いスキルを持つ人材は、時間単価の高い案件を獲得しやすく、効率的に収入を増やせます。
スキルアップとキャリアの幅の拡大
複業では、本業で得られない経験ができることも魅力です。異なる業界や職種での経験は視野を広げ、新しい視点を得る絶好の機会となります。例えば、大企業ではたらく人がスタートアップで複業をすれば、スピード感のある意思決定や、限られたリソースでの課題解決を学べます。
複業を通じて構築される人的ネットワークも、キャリア形成において重要な資産となります。異なる業界や企業の人々との交流は、新しいビジネスチャンスやキャリアの転機をもたらすことがあります。
モチベーションの向上につながる
複業は、仕事に対するモチベーションを大きく向上させる効果があります。情熱を注げる分野で活動することで、本業も含め仕事全体に対する満足度が高まります。
本業と複業の相乗効果も見逃せません。複業で得た知識やスキルが本業で活かされれば、本業でのパフォーマンスが向上し、それがさらなるモチベーション向上につながるという好循環が生まれます。
複業を始める際の注意点
就業規則を確認しておく
複業を始める前に最も重要なのは、勤務先の就業規則を詳細に確認することです。就業規則には複業に関する規定が明記されており、許可の要否、禁止事項、申請手続きなどが定められています。特に注意すべきは競業避止義務に関する条項で、同業他社での就業や会社の利益に反する活動が禁止されているのが一般的です。
秘密保持義務にも十分な注意が必要です。本業で得た機密情報を複業で使用すると、法的な問題に発展する可能性があります。顧客情報、技術情報、経営戦略など、業務上知り得た情報の取り扱いには最大限の注意を払う必要があります。
多くの企業では、複業を始める際に事前申請が必要です。パーソルキャリアのような複業推奨企業でも、複業申請の手続きが定められています。申請書には、複業の内容、予定労働時間、期間などを記載し、上司や人事部門の承認を得る必要があります。この申請プロセスを怠ると、就業規則違反として処分の対象となる可能性があるため、必ず所定の手続きを踏む必要があります。
本業とのバランスと時間管理
複業を行う上で、本業とのバランスを適切に保つことが不可欠です。本業のパフォーマンス低下は複業の最大のリスクであり、場合によっては複業の禁止や本業での評価低下につながる可能性があります。そのため、本業の業務時間、締切、重要な会議などを最優先で管理する必要があります。
また、過重労働を防ぐためには、自己の限界を認識し、無理のない範囲で複業を行うことが大切です。厚生労働省のガイドラインでは、本業と複業を合わせた労働時間が法定労働時間を超えないよう注意喚起しています。週40時間の本業に加えて複業で20時間はたらくといった過度な労働は、健康を害するリスクが高く、長期的には持続不可能です。
確定申告が必要になる
複業で得た収入については、税務上の義務が発生すると理解しておく必要があります。給与所得者が複業で年間20万円を超える所得を得た場合、確定申告が必要です。
確定申告の準備として、複業に関する収入と支出を適切に記録しておくことが重要です。請求書、領収書、振込明細などの証拠書類は確定申告時に必要となるため、整理して保管しておく必要があります。また、複業に必要な機材の購入費、交通費、通信費などは経費として計上できる可能性があるため、これらの支出も記録しておくことをおすすめします。
複業可能な会社を選ぶポイント
複業可能な会社はここ数年で急速に増加しており、もはや特別な制度ではなく、標準的なはたらき方の選択肢となりつつあります。大手企業からスタートアップまで、幅広い企業が複業を解禁し、社員の自律的なキャリア形成を支援しています。
複業というはたらき方は、これからの時代においてますます重要性を増していくでしょう。個人にとっては変化の激しい時代を生き抜くためのリスクヘッジとスキル開発の手段として、企業にとっては優秀な人材を確保しイノベーションを促進する手段として、複業は欠かせない選択肢となっています。
監修者:HATARACTION!編集部
"はたらく課題"と"ビジネス"をつなげてとらえ、自分ゴトとして、その解決プロセスを楽しむパーソルキャリアの社員をご紹介します。