
プロジェクトストーリー
2025.02.14
「キャリアディスカッションモデル」で、全員が納得してキャリア選択できる未来をつくる
キャリアカウンセリングの際、より高い価値を提供するにはどうすればいいか?そんな理想を掲げ、これまでとは異なる「キャリアディスカッションモデル」という新しいカウンセリングの型を確立したチームがありました。「MISSION VALUE Award 2024」にてシルバー賞を受賞したプロジェクトについて、チームメンバーのうちの2人が振り返ります。
※このプロジェクトは「MISSION VALUE Award 2024」でシルバー賞を受賞しました。
Profile
doda事業本部 エージェントサービス事業部 ハイキャリア支援統括部 ハイキャリアキャリアアドバイザー(CA) アシスタントマネジャー
就職・転職時に都心と地方で情報格差があることを課題と感じ、是正したいという思いから人材業界を志望。2019年にパーソルキャリアへ新卒入社し、キャリアアドバイザーに配属。現在はハイキャリア領域のIT営業職を対象に転職支援に従事。アシスタントマネジャーを務める。
doda事業本部 エージェントサービス事業部 ハイキャリア支援統括部 ハイキャリアキャリアアドバイザー(CA)
新卒でアルバイト求人がメインの人材サービス会社に就職。求人広告営業と人事職を経て、2021年に「中途採用領域を学びたい」という希望をかなえるべくパーソルキャリアへ転職。ハイキャリア領域のキャリアアドバイザーとしてIT営業職の転職支援を担当後、育休を経て、現在は広告・人材業界の営業職を対象に転職支援に従事。
転職希望者さまとも、チーム同士も、さまざまな視点でディスカッションする
- 宇都宮
- はい。2人ともハイキャリア向け転職サービス「doda」のキャリアアドバイザー(CA)です。異動があり現在は別のチームに所属していますが、プロジェクト当時は私たち含め4人のチームでIT業界の営業職の転職支援を担当していました。
- 田村
- 「キャリアディスカッションモデル」とは、「ディスカッションを通して本音を引き出す」新しいキャリアカウンセリングの型です。たとえば従来型のカウンセリングは、どちらかというと「ディスカッション」というより「ヒアリング」でした。
- 宇都宮
- 年収は?業界は?と、一問一答で回答が得られる質問を主に進めるのがヒアリングです。
- 田村
- これをもっと、CAと転職希望者さまが一緒に考え、対話をすることを重視したのが「キャリアディスカッションモデル」です。もちろんこれまでのヒアリングも深掘りを意識されたものでしたが、一問一答がベースにあることで、形式的な質問になってしまい建前の回答しか得られないこともありました。
このモデルでは、意識的に形式的な質問から外れながら、対話を通じて本音を引き出すことを重視しました。また、転職希望者さまが考えている選択肢以外の提案を行い、その反応を聞くことで、本当に望んでいることや真の悩みを探ることをめざしています。
- 宇都宮
- 転職希望者さまとCAだけでなく、CAである私たちチーム4人もディスカッションしたんですよね。
- 田村
- そうなんです。週1回、チーム全員でディスカッションの時間を確保しました。
- 宇都宮
- たとえば1人の転職希望者さまを挙げて、「この人はどのようなことに悩んでいるだろう?」といったことを4人全員で考えるんです。考えたものを発表し合い、4人の視点から提案すべきキャリアを検討しました。
- 田村
- 面白かったのは、自分1人では考えつかない視点が得られることです。さまざまな可能性を検討した上で、転職希望者さまへの提案ができるようになりました。
- 宇都宮
- たとえば「残業が多いはたらき方を変えたいから転職したい」と悩むIT受託開発の方がいたとします。ここに、「残業の少ないIT企業を提案しよう」という人もいれば、「そもそも業界全体で残業が少ないメーカーのIT職種を提案した方が社風とマッチしそうじゃないかな」とアイデアを出す人もいました。
- 田村
- CAが1人で考えていたら、2つめ、3つめの選択肢は出てこないこともあるはずです。しかしチームでディスカッションした上での提案なら、可能性を吟味し、複数の道が提案できる。そうすることで、転職希望者さまも複数の選択肢を十分に検討し、最終的に納得感のあるキャリアを選ぶことができるのではないかと考えました。
全員支援のビジョンを追求するため、新たな型を生み出した
- 田村
- 4人のチームビジョンについて話し合ったことがきっかけです。
- 宇都宮
- 元々売上をはじめ一定以上の成果を出せているチームではあったのですが、他のチームと比べて1番になっている感覚はなかった。加えてメンバーの所属拠点が関東と関西に分かれていたので、チームがより一体感を持てる方法も模索しているところでした。
- 田村
- そこで、チームビジョンを設定することにしました。チームの目標は、どのチームでも定めていますが、売上を指標とする目標だったり、短期的な目標だったりと、通常業務の延長から出ることができていないものが多いです。自分たちのチームはそうではなく、提供すべき価値や顧客体験を改めて考えた上で、理想を掲げるチームビジョンにしようと思いました。
- 田村
- 「転職希望者さま全員を支援しよう」と決めました。
- 宇都宮
- もちろん普段から転職希望者さま全員と真剣に向き合っては来ています。しかし、「どこかスキルマッチだけを考えてはいないか」「どうしても転職が決まりやすそうな方を先に考えてしまう」などの葛藤があったのも正直なところでした。そうではなく、全員に対し全力で向き合い、CAとしての理想的な転職支援を追求しました。
- 田村
- それで先程挙げた「キャリアディスカッションモデル」の採用により、徹底して複数の視点から考えることでより検討と吟味を重ねられるようにしました。転職希望者さまともディスカッションを行いますし、その手前にはチーム内のディスカッションもある。
- 田村
- はい。複数の道を転職希望者さまとCAがともに検討し、納得感を持って意思決定をする。これこそが、キャリアオーナーシップなのだなと改めて感じました。納得した状態で入社するのでその後のミスマッチも起きにくく、企業さまにとってもメリットになったのではと考えています。
改めて感じる、人生を左右するCAの奥深さ
- 宇都宮
- チームに田村 春仁というスーパースターがいたからじゃないでしょうか(笑)。
- 田村
- いやいや、チームみんなでの成果ですよ!週1回のチームミーティングでディスカッションすると決め、きちんと時間を取り続けたのがよかったと思います。
そこで出た内容はOneNoteに記録して共有。ノウハウを蓄積できたこともよかったですよね。カウンセリング力や面談力って、CA個人の力量によるものだと思っていたのですが、チームとして力を底上げすることができたと感じています。
- 宇都宮
- 成功のポイントというか、個人的な気持ちのターニングポイントなのですが、途中でブレイクスルーの瞬間がありました。プロジェクトを始めた最初は、ハイプレイヤーといえどチームで最年少の田村さんに、私たち「オジサン」は負けてたまるかと思っていました。
でもどこかのタイミングで、競うのではなく、田村さんから学べることを学ぼうというマインドに切り替えたのです。素直に学び、一方で自分たちならではの知識や視点は活かそうと。そうすることでチーム全体の視座が揃っていったし、CAという仕事の奥深さも感じられるようになったかな。それが、プロジェクトの成功にもつながったのかもしれません。もちろん、今でも負けてたまるかって気持ちは持っていますけど(笑)。
- 田村
- 今お話を聞きながら、感動して泣きそうです(笑)。
- 田村
- 私はやはり、キャリアオーナーシップとは何か改めて考え、解像度が上がったと感じています。入社直後の私は転職希望者さまのキャリアを考えようとしながらも、どうしても転職がゴールだと捉えてしまっていた。そうではなく、転職して終わりではないからこそ、転職希望者さま自身が考え、納得感を持って前に進むことが大切なのだと思えるようになりました。
- 宇都宮
- 改めてCAの仕事って奥深いんだなと思いますよね。本当に、相手の人生へ影響を与える仕事です。
- 田村
- そうなんです。たとえば年収1,500万円の方に、年収700万円の求人を提案しても意味がないと普通は思いますよね。でも実は、その年収700万円の求人が、転職希望者さまにとって長年の夢で本当にやりたかった仕事という場合もある。キャリアにとって意味のあるディスカッションを通して、転職希望者さまが自分の本音と向き合い、年収だけでははかれない決断をすることだってあるんです。
年収を下げることが良いというわけではないですが、この例のように、世の中の価値観にとらわれず、自分の尺度でキャリアを判断することこそがキャリアオーナーシップです。CAの仕事は転職という一時的なサポートだけではなく、人生やキャリアそのものに影響を与えるサポートができるのだと感じました。
医者や弁護士へ相談するみたいに。キャリア相談を通してすべての人に意義のある未来を
- 田村
- まずこの「キャリアディスカッションモデル」という型を確立できたことそのものが、大きな成果だと思います。数字的な面でいえば、2社以上の選考が進んでいる方の割合が以前よりも10%増加しました。これは、転職希望者さまが複数の提案に納得し、比較検討しながら選考を進めているためです。
複数の道を吟味したキャリア支援の積み重ねが、MVAのシルバー賞受賞につながっています。また、当時中途入社1年目だったチームメンバーの1人が、150名を超えるハイキャリア統括で個人MVPを受賞しました。
- 宇都宮
- 今後はこの「キャリアディスカッションモデル」を社内で広めていきたいですよね。
- 田村
- はい。MVAでの受賞を機に社内でキャリアディスカッションについて興味を持ってくれる人が増えたと実感していますし、他のチームの人にもこのモデルを実践してみてほしいですね。
ディスカッションによって顧客体験をより良くできるのはもちろん、チームメンバーが互いにさまざまな視点を学ぶことができるため、提案力の底上げといったCAの教育面でも役立てると思います。
- 宇都宮
- CAのあり方について、田村さんは人一倍アツい想いを持っているなと日々感じます。
- 田村
- そうですね。CAの価値や信頼性が広く社会に認知され、医師や弁護士のような士業となり、キャリアの相談をするのが当たり前の世の中になることをめざしています。そのための手段の一つとして「キャリアディスカッションモデル」に再現性をもたせ、業界全体に浸透させることで、面談力や提案力の底上げを図りたいと考えています。
CAのサポートを通じて、すべての人がキャリアオーナーシップを発揮し、意義のある人生やキャリアを歩んでいける未来を望んでいます。
- ※社員の所属組織および取材内容は取材時点のものになります。
- ※社員の所属事業部名称は、2025年4月時点での名称となります。
監修者:HATARACTION!編集部
"はたらく課題"と"ビジネス"をつなげてとらえ、自分ゴトとして、その解決プロセスを楽しむパーソルキャリアの社員をご紹介します。