
社員インタビュー
2023.06.01
知ることから企画は始まる──営業部門への徹底的なヒアリングで生産性向上を実現。
事業戦略本部 事業戦略統括部 事業企画部 兼 doda事業本部 エージェントサービス事業部 エージェント企画統括部 事業企画部
中島 いつみ
中島が在籍するRA企画グループは、人材を採用する法人企業さま向けに営業活動を行う法人営業(RA:リクルーティングアドバイザー)を支援するため、さまざまな施策を立案・実行する部署。これまで手掛けたプロジェクトの中から、とくに印象に残った業務改善プロジェクトについて振り返ってもらいました。
「秒の世界の削減」を求められたシステム開発で、営業現場の業務効率アップを実現
私が所属しているRA企画グループでは、法人営業をバックアップするためのさまざまなプロジェクトが常に並行して進んでいます。直属の配下メンバーは4名で、それぞれが担当しているプロジェクトが合計20本ほど。私は現在、アシスタントマネジャーとしてメンバーにアドバイスをしながら、自身の担当プロジェクト7、8本を進めています。そんな中でもとりわけ印象に残っているのが、「推薦ダッシュボード」の開発プロジェクトです。
パーソルキャリアは、転職を考える個人顧客と人材採用を行う法人顧客の両者にとって最善のマッチングができるよう、橋渡しの役割を担っています。そのため、法人顧客の採用要件に合致するスキル・経歴などを保有する転職希望者様を見つけ出し、法人顧客に「この方の採用を検討されてはいかがですか」と勧めることが、営業メンバーの担当業務の1つとなっています。このプロセスが「推薦」と呼ばれる業務で、推薦業務がスムーズに進むことが、より多くの個人顧客・法人顧客に喜んでいただくことにつながります。実際に推薦業務を行うのは営業担当者。そこで、私たちがプロセス改善に取り組むことになりました。
それまでの推薦業務には、やや非効率な部分がありました。個人顧客の情報が業務システム内のあちこちに格納されているため、営業メンバーが推薦業務を行う際、パソコン上で8個もの画面を開き、必要な情報を得るために行ったり来たりする動作に時間を取られていたのです。そこで「こうした物理的な動作をできるだけ減らし、サービスの品質を落とすことなく所要時間だけを短縮する」という目標を掲げて、新しい推薦ダッシュボードの開発がスタートしました。
この目標は一見地味ですが、大きな意味があります。営業メンバーはたくさんの法人顧客を担当し、多くの推薦業務を抱えているため、1回あたりの短縮時間は秒単位でも、全体として削減できる時間は膨大。こうして時間ができれば、営業メンバーはより創造的な業務に時間を割くことができます。全社的には大きな生産性向上につながる、とても重要なミッションだったのです。
ヒアリングを通して現状を知り、リアルな動きを実際に観察
ダッシュボードを作るとは、これまで8画面に散らばっていた情報を1つに集約した新たな画面を作るということ。そのために私が優先したのは、個々の営業メンバーと接点を持つことでした。まずは業務システム内の複数画面をどの割合で開き、どう活用しているのか、それを数字として把握しようと考えたのです。
営業メンバーにヒアリングを行う中では、Microsoft Teamsで実際の作業画面を共有してもらい、推薦をする際にマウスをどう動かしているのかといった動きをチェックしながら、所要時間をストップウォッチで計測しました。アナログな方法ですが、こうやって実際に見ながら計測するのが一番早く的確に実態を把握できるし、同じ方法で効果検証もできると考えたのです。
ヒアリングを通じてわかったことは、たくさんありました。最終的に私は12人に話を聞いたのですが、その12人の間でも、8画面をどう開くかは人それぞれだったのです。3度も同じ画面を開くことがあると思えば、人によっては全く活用していない画面もある。そうした個人差はありながらも、やはり共通して重要なポイントは浮かび上がってくるので、複数の人に作業を見せてもらうことはとても有意義でした。結果、4カ月の期間を経て、必要な項目を盛り込んだダッシュボードを開発、リリースすることができ、削減できた時間は全体の約3割にものぼりました。
周りから手を差し伸べてくれる組織風土に感謝
推薦ダッシュボード開発プロジェクトは、急遽前任者から引き継いだ案件で、引き継いだ時点で、「リリースまでの準備に使える期間は4カ月」というスケジュールが決まっていました。
過去にも大規模な社内システムの開発に携わったことがあり、一般的なシステム開発にかかる期間の感覚は把握できていましたが、それでも4カ月という短期間でどうできるのかと不安がなかったわけではありません。そんな中でありがたかったのは、私以外のメンバーたちが「私たちも一緒にやるよ」と「自分ゴト」としてとらえてくれたこと。結果、RA企画全体が一丸となって取り組むことができたのです。先ほど「12人にヒアリングをした」と言いましたが、実はプロジェクト全体でヒアリングした営業メンバーは60人超。RA企画グループ内の他のメンバーからの助けがあったからこそできたことですね。
普段の業務では、各案件の担当者が一人で解決する個人商店的な色合いが強かったのですが、このときは個人商店が「組合」になった形で完成した案件となりました。私だけではなく、みんなで取り組むものと解釈して動いたからこそ成功につながったのは間違いありません。
「知りたがり」な人なら、良い企画ができ、自分も向上できる
本プロジェクトはシステムのリリースまでの期間が短かったため、「盛り込めないものは後から追加でリリースする」ことも視野に入れて進めていました。「もっと時間があれば」ではなく「この期間でできること」を優先させたのです。そのためもあるのか、リリース直後のダッシュボード使用率は40%。目標は80%でしたので、まだまだ届いていませんでした。
営業現場のメンバー達にもっと使ってもらうには、的確な改善をしていく必要がある。そこで、法人営業部門のマネジャーにお願いして、使ってみた感想をメンバーから吸い上げていただき、その回答を集約することにも取り組みました。そのために営業マネジャーミーティングにも参加。結果、「現場の声を聞いてくれるのであれば、推進力あげていくよ」とマネジャーのみなさんも乗ってくれて、どんどんと使用率が高まっていったのです。
実際にダッシュボードを使い始めた営業メンバーにもアンケートを取りましたが、こちらがお願いしていた以上に反応があり、「参考になれば」とおすすめの使い方などをシェアしてくれる方も。その情報は私からまた営業のみなさんにシェアしました。こうして、一方通行ではなく情報を共有しあう相互コミュニケーションが生まれたこと、そしてなによりも業務がスムーズになったという声に、大きなやりがいを感じました。面識のなかった営業の方から「快適です!」と直接お礼の連絡をもらったのはとくに嬉しかったですね。
こうした業務をAIなどで自動化できないのか?という議論はもちろんもありますが、実際に開発するとなると実現まで相応の時間が必要になります。でも、その間の業務もなんとか改善していきたい。短期間でできる改善を繰り返すのはそのためです。システムについても、一つ改善したら終わりではなく、改修し続けてより使いやすいものにしていく活動は、これからも進めていきます。
企画の仕事に向いている人はどんな人か?というと、「知りたがり」な人という言葉が当てはまるように思います。企画と言うと、自ら考えるイメージも強いかもしれませんが、推薦ダッシュボード開発のときのように必要なシステム要件を洗い出すには、相手がどう使っているか、どういうものならば使いやすいのか、と相手を知ることがとても重要になります。
そして、知りたいと思っているからこそ、相手に伝わる伝え方や会話力も上がり、必然的にコミュニケーション能力のアップにもつながっていくのだと思います。私自身も好奇心旺盛と自覚しています。これからもこの好奇心が満たされるような仕事の仕方をし続けたいですね。
- ※社員の所属組織および取材内容は取材時点のものになります。
- ※社員の所属事業部名称は、2025年4月時点での名称となります。
監修者:HATARACTION!編集部
"はたらく課題"と"ビジネス"をつなげてとらえ、自分ゴトとして、その解決プロセスを楽しむパーソルキャリアの社員をご紹介します。