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2025.08.13
アルムナイ採用とは?待遇や注意点、出戻りをするメリットについて解説
アルムナイ採用とは?
アルムナイ(Alumni)の意味
アルムナイ(Alumni)とは、英語で「卒業生」や「同窓生」を意味する言葉です。ビジネスの文脈では、企業を退職した元社員を指します。近年、日本でも「アルムナイ」という言葉が広まり、多くの企業が元社員とのつながりを重視するようになってきました。
アルムナイは、自社の企業文化を理解し、外部での業務経験を持つ貴重な人材として認識されています。退職後も企業との良好な関係を維持しているアルムナイは、時には協力者、また時には再び従業員として企業に貢献する可能性を持つ存在なのです。
「出戻り」のイメージが変わってきた理由
かつて日本では、一度退職した会社に戻ることは「出戻り」と呼ばれ、ネガティブなイメージを持たれることもありました。終身雇用制度が主流だった時代には転職自体が珍しく、元の会社に戻ることには「一度逃げ出した人」といった偏見が付いて回りました。
しかし、現代では労働市場の流動性が高まり、キャリアの多様化も進んでいます。転職がキャリアアップの手段として一般化し、複数の企業で経験を積むことが評価される時代になりました。この変化に伴い、「出戻り」に対する見方も大きく変わってきています。
現在では、アルムナイ採用は「優秀な人材の再獲得」「外部経験を持つ即戦力の確保」といったポジティブな文脈で語られることが多くなりました。企業側も、一度退職した社員が外部で成長し、新たなスキルや視点を持って戻ってくることを歓迎する傾向が強まっています。
また、人材不足もアルムナイ採用への注目を後押ししています。優秀な人材の確保が困難な中、すでに自社を知っている元社員は貴重な人材として再評価されているのです。
パーソルキャリアでは積極的にアルムナイ採用を行っており、多くの元社員が再び活躍しています。詳しくはパーソルキャリアのアルムナイ採用ページをご覧ください。
カムバック採用との違い
アルムナイ採用と似た用語に「カムバック採用」があります。カムバック採用は、主に結婚、出産、育児、介護などのライフイベントを理由に退職した社員を対象とした再雇用制度です。多くの場合、退職時に「将来的に復職の可能性がある」ことを前提としており、企業側も復職を想定した制度設計を行っています。
ニュアンスとしてはやや異なりますが、アルムナイ採用もカムバック採用もほぼ同じ意図で使われているケースが大半です。
アルムナイ採用で元の会社に戻るメリット
1. 仕事内容や社風を理解している安心感
アルムナイとして元の会社に戻る最大のメリットの一つは、仕事内容や社風をすでに理解していることによる安心感です。新しい会社に転職する際には、企業文化への適応、暗黙のルールの理解、社内の人間関係の構築など、多くの負担が伴います。しかしアルムナイ採用であれば、これらの不安要素の多くが解消されます。
企業の価値観やミッション、ビジョンなどをすでに理解しているため、入社後のギャップに悩むことがありません。また、社内の意思決定プロセスや承認フロー、会議の進め方なども把握していることから、スムーズに業務を進められます。
2. 人間関係の構築がスムーズ
新しい職場で一から人間関係を構築することは、多くの人にとって負担となります。しかし、アルムナイ採用で再入社する場合、すでに知っている同僚や上司が複数いることが多く、人間関係の構築が格段にスムーズです。
退職前にきずいた信頼関係は、時間が経っても完全に失われることはありません。むしろ、外部での異なる業務経験を経て戻ってきたことで、より深い関係性を構築できる可能性もあります。また、新しく入社した社員に対しても、「以前この会社にいた人」という安心感を与えることができ、受け入れられやすい傾向があります。
3. 職場・業務への適応が早い
アルムナイ採用の大きな強みは、職場や業務への適応の早さです。新入社員の場合、オンボーディングに数週間から数ヶ月かかるのが一般的ですが、アルムナイならこの期間を短縮できます。
業務システムやツールの使い方をすでに知っているケースも多いため、ITリテラシーの面でもスムーズに業務を開始できます。社内の各種申請方法や経費精算のルール、勤怠管理システムの使い方など、細かな事務手続きについてもある程度理解しているため、これらに時間を取られることもありません。
4. 外部での経験を活かせる
また、外部で得た経験やスキルを再入社時に活かせることもメリットとなります。他社での勤務を通じて、新しい業務プロセス、最新の技術トレンドなどを学んでいることが多く、これらの知見を自社に還元できます。
例えば、競合他社ではたらいていた場合、業界のベストプラクティスや新しいアプローチを持ち込むことも可能です。さらに、外部で構築した人脈やネットワークも貴重な資産となるでしょう。新しい取引先の開拓、パートナーシップの構築、優秀な人材の紹介など、さまざまな形で企業に貢献できます。
このように、アルムナイは単に「戻ってきた元社員」ではなく、「外部の知見を持つ理解者」として、企業の成長に大きく寄与する存在なのです。
アルムナイ採用がうまくいくポイント
円満退社である
アルムナイ採用を転職希望者立場として成功させる条件として、円満退社であることが挙げられます。
円満退社の具体的な要素として、まず喧嘩別れをしていないことが重要です。また、退職理由についても、前向きなキャリアアップや新しい挑戦といったポジティブな理由であることが望ましいでしょう。
退職前の業務評価が良い
アルムナイ採用では、退職前の業務評価が重要な判断材料となります。これは単純な成果だけでなく、仕事への取り組み姿勢、チームワーク、リーダーシップ、問題解決能力など、総合的な評価が考慮されます。
高い業務評価を得ていた社員は、再入社後も同様のパフォーマンスを発揮することが期待できます。また、過去の実績があることで社内での信頼も得やすく、重要なプロジェクトやポジションを任される可能性も高くなります。
元同僚や上司と関係が維持されている
アルムナイ採用の成功には、退職後も元同僚や上司との関係を維持していることが影響する可能性があります。
定期的な連絡や情報交換、時には仕事上での協力関係を保っていることで、お互いの現状や成長を把握できます。また、元同僚からの推薦や紹介は、アルムナイ採用において強力な後押しとなります。内部の人間からの信頼できる情報は、人事部門にとっても貴重な判断材料となるのです。
多くの企業では、アルムナイとの関係維持のために交流会やネットワーキングイベントを開催しています。パーソルキャリアでも定期的にアルムナイ向けのイベントを開催し、元社員との関係を大切にしています。詳しくはこちらをご覧ください。
外部での経験が業務で活きる
アルムナイ採用では、外部での経験が再入社後の業務にどう活きるかも評価されます。単に「別の会社ではたらいていました」というだけでなく、具体的にどのような経験を積み、それが自社でどのように活用できるかを明確に示すことが重要です。
例えば、マーケティング部門ではたらいていた人が、他社でデジタルマーケティングの最新手法を学んだ場合、その知識を自社のマーケティング戦略の改善に活かすことができます。また、営業部門の場合は、新しい業界や顧客層での営業経験が自社の新規開拓に役立つかもしれません。
アルムナイ採用応募の注意点
円満退社でない場合はネガティブになる
アルムナイ採用を検討する際、最も注意すべき点の一つが「退職が円満でなかった場合」です。トラブルや対立を経て退職した場合、再入社は困難になる可能性があります。
具体的には、業務上の重大なミスや規則違反、会社の方針への強い反発などがあった場合、これらの記録は情報として残されており、再入社の障害となります。また、退職時に会社や上司、同僚に対してネガティブな発言をしていた場合も、それが社内で共有されている可能性があります。
在籍時の業務評価は一定考慮される
アルムナイ採用では、過去の在籍時の業務評価が参照されます。人事部門は、過去の評価記録、勤怠状況、プロジェクトでの貢献度などを確認し、再入社の可否を判断する材料とします。
しかし、過去の評価が全てではありません。退職後の成長や新たに獲得したスキル、外部での実績なども重要な評価ポイントとなります。むしろ、過去の評価が「普通」だった人が、外部で大きく成長した結果、企業に新しい価値をもたらすケースも少なくありません。
待遇は再検討される
アルムナイ採用においては、待遇面での調整が入る可能性が高いです。アルムナイとして再入社する場合、必ずしも退職時の待遇がそのまま保証されるわけではありません。待遇は、退職後の経験、取得したスキル、現在の市場価値、再入社時のポジションなどを総合的に考慮して決定されます。
また、退職時と同じ部署やポジションに戻れるとは限りません。組織変更や事業戦略の変化により、新しい役割や部署への配属となることもあり得ます。
再入社して活躍している方の例
パーソルキャリアでは、多くのアルムナイが再入社し、さまざまな部門で活躍しています。ここでは実際に再入社を果たし、現在活躍している3名の事例をご紹介します。
CA(キャリアアドバイザー)として活躍する山内さんは、他社での経験を活かし、より深い転職希望者への理解と的確なアドバイスができるようになりました。外部での多様な経験が、キャリアカウンセリングの質を大きく向上させています。
PE(プロダクトエンジニア)の前田さんは、他社で最新の技術スタックを学び、それをパーソルキャリアのプロダクト開発に活かしています。外部での技術的な成長をもとに、組織全体の技術力向上に貢献しています。
企画職の山中さんは、異業種での経験を通じて得た新しい視点を事業企画に活かしています。業界の常識にとらわれない斬新なアイデアで、新規事業の創出に取り組んでいます。
アルムナイ採用で転職を希望する方へ
アルムナイ採用は、企業と個人の双方にメリットをもたらす採用手法として、今後ますます重要性を増していくでしょう。企業にとっては即戦力となる人材を効率的に獲得でき、個人にとっては慣れ親しんだ環境で新たなキャリアをスタートできる機会となります。
成功のポイントは、円満な退職、良好な関係性の維持、そして外部での成長を自社でどう活かすかを明確に示すことです。過去の実績に加えて、退職後の成長と新たな価値提供の可能性を評価されることを理解し、準備することが重要です。
一度退職した会社への再入社を検討している方は、この記事で紹介したポイントを参考に、自身のキャリアプランを考えてみてはいかがでしょうか。
監修者:HATARACTION!編集部
"はたらく課題"と"ビジネス"をつなげてとらえ、自分ゴトとして、その解決プロセスを楽しむパーソルキャリアの社員をご紹介します。