先の読めない不確定な時代の常態化
完全自動運転や5Gなどをはじめとする技術革新、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の台頭、経済のグローバル化。さらには新型コロナウイルスのようなパンデミックの発生による社会構造の変動など、世界は現在進行系で目まぐるしく変化し続けています。
「VUCA(ブーカ)」とは、「Volatility(変動性)」、「Uncertainty(不確実性)」、「Complexity(複雑性)」、「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字から成る言葉で、まさしく今「VUCA」が常態化した時代になってきています。わたしたちは、先の読めないこの激動の時代を生き、働き抜かねばならないのです。

「人生100年時代」の到来
医療技術の進歩、衛生環境や食生活の改善により、個人が100歳まで生きることは夢物語ではなくなってきました。それに伴い、超高齢化を前提にした人生設計や、抜本的な社会制度の再設計が必要になります。2020年には「改正高年齢者雇用安定法」、通称「70歳就業法」が可決(2021年4月施行)。定年70歳を義務付けるものではないものの、定年の引き上げは避けられないでしょう。やがては、定年という概念さえなくなる時代が来るかもしれません。
一方で、企業の寿命は短命化に向かっています。2019年の倒産企業の平均寿命は23.7年に。業種別の平均寿命は、最長の製造業でも34.9年、最短の情報通信産業ではわずか16.7年です※1。
このように企業寿命が短命化し、はたらく個人が高齢化している状況下において、生涯を通じて複数の企業で働くということは、今後さらに一般的なことになるでしょう。
※1:東京商工リサーチ、2019年「業歴30年以上の『老舗』企業倒産」調査

「ジョブ型雇用」へのシフトが進む
現在、社会・経済環境の急激な変化によって「日本型雇用※2」の限界や不適合が指摘されています。具体的には、組織の高齢化、グローバル人材や専門人材の採用難などの課題が挙げられます。こうした中、組織に必要な職務や責務をもとに人材を雇用し、処遇する「ジョブ型雇用」への移行が議論されるようになりました。コロナ禍を契機としたテレワークの拡大で、「ジョブ型雇用」への関心はさらに高まっています。
「ジョブ型雇用」への転換が進めば、はたらく一人ひとりが自らの機会と可能性を見つめ直す必要性がさらに増していくでしょう。つまり、自分自身の「はたらく」をそれぞれで描くことが、より重要になっていくのです。
※2:日本の雇用は「メンバーシップ型」とされ、新卒で入社した企業に定年まで勤務、定期異動によりジェネラリストを育成し、給与は年功的に上がっていくという特徴があります。
ジョブ型雇用 | 項目 | メンバーシップ型雇用 |
---|---|---|
仕事に人をつける | 基本原理 | 人に仕事をつける |
欠員補充や新規ポジション中心 | 採用 | 定期採用中心(新卒一括採用) |
主に職務等級制度 | 等級 | 主に職能資格制度 |
オープンポジションがあり、本人 の意向を重視するが、ポジションの 条件を満たすことが必要 |
配置転換 | 会社による定期異動がメイン |
実績重視(年次思想なし) | 昇進・昇格 | 勤続・年齢を重視 |
特別なことではない | 降級、降格 | ほとんど行われない |
職務給 職務により変化 |
賃金 | 職能給 年功的に上昇 |
市場基準 | 賃金の根拠 | 内部基準 |
職務に応じた社内外教育 | 育成 | 年次を考慮した社内教育 |
高い | 人の流動性 | 低い |
弱い | 雇用保障 | 強い |
出典元:パーソル総合研究所
テクノロジーが変える「はたらく」の形
新型コロナウイルスの感染拡大により、「はたらく」の形が急速に変わり始めました。
場所に縛られないテレワーク、オフィスの在り方の見直し、副業の解禁といった動きが一気に加速。オンラインでのやり取りが増えたことで、チームマネジメントや人材育成、評価などの課題とぶつかりながらも、新しい「はたらく」の形が現在進行形で誕生しています。
こうした「はたらく」の進化を支えているのが、インターネットを中心としたデジタルテクノロジー。クラウドによる人事データ管理やAIを活用した採用や人材育成など、「はたらく」の領域ではテクノロジーを活用した新しいサービスが次々と生まれています。これにより、今後は一人ひとりが、より自身の価値観やライフステージに合った「はたらく」を選択できるようになっていくでしょう。

幸せのカギは「はたらく」を自分で選ぶこと
国連の持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)の「世界幸福度ランキング」において、北欧諸国が上位を占める一方、2020年の日本の順位は62位(153カ国・地域において)とG7で最下位。3年連続で順位を下げています。大きな要因の1つに「選択の自由度」があり、「職場での働き方を自由に選択できない」、「表現の自由(報道の自由)が低い」などが指摘されています。
「西村和雄・八木匡「幸福感と自己決定―日本における実証研究」(経済産業研究所 DP18-J-026、2018)」によると、主観的幸福感には、健康、人間関係に次いで、自己決定が強い影響を与えることが分かっています。意外なことに、所得、学歴よりも影響度が大きいのです。これは、自分自身で人生の選択をすることで、行動への動機付けが高まり、満足度も高まる。これにより、幸福感が高まるということが考えられます。
自身で自らの人生を選び取るということ、つまり、自らの手で「はたらく人生」を選択できるか否かが、その人の幸福度を大きく左右するのです。
「はたらく」を自分で決めることが
所得や学歴よりも、その人の幸福度を大きく高める
西村和雄・八木匡
「幸福感と自己決定―日本における実証研究」
(経済産業研究所 DP18-J-026、2018)
人々が「はたらく」を自分のものにしている世界とは
毎日、ワクワクしながら仕事に励む人たち。
夢や目標に向かって、精力的に新しいことを学ぶ人たち。
育児や介護などの状況に応じて、柔軟に「はたらく」を選択する人たち。
「はたらく」には多種多様な形があり、ひとつとして同じ形はありません。人と同じである必要はなく、誰かに強制されるものでもありません。どのような「はたらく」を選ぶかは、一人ひとりの人生の選択です。
さあ、想像してみましょう。
はたらく一人ひとりが、自らの意志と行動で、行きたいと思った道へと自由に進んでいくことができる社会。そして、自らが選び取った「はたらく人生」に、やりがいや誇りを感じている社会。
それはきっと、明るく、活力に満ちた未来であるはずです。
私たちパーソルキャリアは、働く一人ひとりが持つ可能性を誰よりも信じ、人々が「はたらく人生」において輝き続けられる社会の実現に向けて挑戦していきます。

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