「キャリアオーナーシップ」を育む
社会を創造するために必要なのは、
「はたらく」と「学ぶ」両輪での支援。

取締役執行役員 岩田 亮

自分は社会に対して何を提供できるか

私の「キャリアオーナーシップ」の源泉は、中学生時代にまでさかのぼります。当時、私は勉強が全然できない少年でした。「勉強しなさい」――そう言われても、どうして勉強しないといけないのかが分からない…。そんな私の問いに、まっすぐ答えてくれる大人もおらず、「つべこべ言わずに勉強しなさい」と言われていました。当時の自分には、社会の仕組みにおさまりなさいと言われているようで、とても居心地が悪かったのを覚えています。

なので、自分なりに勉強する意味を必死に考えました。「国語ってなんで学ぶのだろう、数学って、理科って…」と一つひとつ自分なりに学習する意味を見つけにいきました。そして、将来の選択肢を広げて人生を豊かにするために学ぶのだ、という結論に落ち着いてからは、高校受験のための勉強をしっかりとするようになりました。「しなさい」と言われてするのではなく、自ら「したい」と思えることが重要なのだと気づいた瞬間です。

それからも、何かを選択する機会があるたびに、自分なりに「どうして、これをするのか」という理由や意味合いを考え、選択してきました。

就職活動では、「どうしてはたらくのか」について考えました。当時は簡単に答えが見つからず、過去の経営者などの偉人の本を読みあさり、自分なりの答えが出ました。「はたらく」とは、社会への価値の還元であり、価値の創造のための社会参加だと。自分をこれまで育ててくれた社会に対して、自分はどのような価値を還元ないしは創造できるのか。それが、はたらくことだと思うのです。

インフラなら、水をきれいにしてくれる人がいるから、水を飲んで生きることができます。パソコンを製造してくれる人がいるから、パソコンを使って調べものをしたり、動画を見たり、豊かな時間を過ごすことができます。では、自分は社会に対して何を提供できるのか。そこに、キャリアオーナーシップを育む上でのヒントがあるのではないでしょうか。

不安感を振り払うために必要なのは「前進」

私たちのミッションには、人々の可能性を拡げたいという思いが込められています。しかし、自分にどのような可能性があるのか、自分は何がしたいのか、それを見つけるのは、そう簡単ではありません。むしろ、それが明確な方のほうが少ないのではないでしょうか。みな、何かしら「自分はこのままでいいのだろうか」という不安感を持っているのではないかと思います。

キャリアオーナーシップについて、ぼくなりの考えを述べると、ゴールというのは存在しないのではないかということ。人生は一歩ずつ進んでいくしかありませんから、一歩先が見えていればいいはずです。その一歩を踏み出す過程で、また新たな景色が見えてくる。そういうものだと思います。

あとは、オーナーシップという単語に縛られすぎて、何もかもを自分で決めなければと考えている人もいるかもしれませんが、そうある必要はないと思っています。可能性というのは、第三者が広げてくれるものでもあります。時に「委ねる」というあなたの判断自体が、「選択」になり得るのではないでしょうか。

誰かにとっては、その第三者が、パーソルキャリアのキャリアアドバイザーになるはず。いえ、そうなることに、私たちの存在意義があると思っています。

世の中がどう良くなるのかを考えたい

パーソルキャリアと聞くと、転職支援サービスの「doda(デューダ)」を思い浮かべる人が多いはずです。これまで、職業選択の機会を提供するにとどまっていた私たちが、2019年に「人々に『はたらく』を自分のものにする力を」というミッションを発表しました。平たく言うと、キャリアオーナーシップを育む社会を創造する。そのためには、「はたらく」と「学ぶ」を結びつけていくことが重要だと考えますが、結び付けたサービスは世の中を見てもまだまだ少ない。これが課題だと感じています。「この仕事をしたい」と思ったときに、どういうスキルが必要なのか、そのために何を学ばなくてはならないのか。しっかりと、両輪で支援することが、私たちが介在する価値になるはずです。

私たちの価値という点では、展開する事業についてもよく考えることがあります。それは、自分のやりたいことと、世の人々が求めるものがズレていないか、ということです。そこをしっかり捉えていないと、誰のためのサービスか分からなくなってしまう。
この事業をすることで、世の中がどう良くなるのかを考えていかなければなりません。「はたらく」だけではなく「学ぶ」も支援すること。それは世の中が求めていることだと考えていますので、これから、この領域でも価値を生み出していきたいです。

  • 掲載している内容・肩書・社員の所属は取材当時のものです。