誰よりも一人ひとりの可能性を信じ、世の中を変えていきたい。

取締役執行役員 喜多 恭子

生まれた年や性別によって人生が左右される違和感

私は就職氷河期世代を生きてきました。そして、4つ年上の姉は最後のバブル世代。縁故採用であっさり就職先が決まった姉とは逆に、その4年後に就職活動を開始した私は、私大の女子学生というだけの理由で、行きたい企業にエントリーシートすら出すことができませんでした。「生まれた世代や性別という自分にはどうしようもない事実によってこんなにも容易く閉ざされてしまう世界があるんだ」と思ったことを、今でもよく覚えています。これが私の原体験。最初に感じた憤り、そして課題認識です。

一方で、姉のように就職活動に苦労しなかった人が、恵まれていたのかといえば、そんなことはありません。運よく就職できたとしても、その後、自身の働く目的や存在意義などを見失い、居場所を見出せずに思い悩む人もいる。まさしく私の姉がそうでした。同じ親から生まれ、同じ環境で育った私たち二人は、4年の歳月、そして働く環境の違いだけで、その後の人生を大きく左右することになったのです。

高い志を持ち、エネルギーとなる憤りや展望を持っているにも関わらず、機会が不足して埋もれてしまっている人はたくさんいると思います。でも、間違いなくすべての人に可能性がある。私は、自分自身の経験も踏まえて、そう信じています。

可能性を信じ、伴走してくれる人がいれば、誰もが輝ける

入社直後の私の営業成績は下から2番目でした。自分なりに努力しているつもりでしたが、なかなか目標達成できない・・・。あまりのできなさ具合に、1年で上司が3回も代わるほどでした。そんな中でも、4人目の上司は私を見放すどころか、可能性を信じて見守ってくれました。私のすべての営業先を抜き打ちで訪問したうえで、感謝してくれている企業様の声などを集めてくれていたんです。そして、「大丈夫、君はできないわけではないよ。一緒に頑張ろう」と、寄り添い続けてくれました。そうやって、自分を見守ってくれている人がいることを胸に奮起して、2年目にはハイパフォーマーと言われるような成績を残すこともできました。

また事業部長になって間もない頃、しっかりしなければと背伸びをするがあまり、私は人を寄せ付けないオーラを放ってしまっていました。そんな私に、「君はそのままでいい。喜多ちゃんらしくいていいんだよ」と声をかけてくれた上司もいます。それから今までの7年間ずっと、同じ言葉をかけ続けてくれて。幾度となくその言葉に救われてきました。その上司とは、何を隠そう、今の社長、瀬野尾さんです。

こうやって可能性を信じ、伴走してくれる人たちがいたからこそ、今の私があるのです。

青臭い思いを胸に、社会の価値をも変えていく

私が入社したときの当社(インテリジェンス当時)のミッションは、「日本の人事部になる」というものでした。そのあと、「社会に価値ある何かを残す」に変わりましたが、この「社会に価値ある何か」の「『何か』とは何なのか」について、会議室に8時間こもってみんなで考える。そんなことをやるような青臭い会社、それが当社です。私は20年間この会社に在籍し、その青臭い思いを形にしていく姿を見てきました。

心に深く刻まれているのは「第二新卒」の採用のこと。今でこそ、当たり前に普及していますが、昔は第二新卒という言葉はありませんでした。90年代後半の就職氷河期を経て、2002年ごろから徐々に採用状況が回復してきた頃。大手企業を中心に、同業界経験者か親和性の高い業界を経験している、社会人3~5年目くらいの若手を採用したいという依頼がありました。でも、採用したいとおっしゃっている層は、就職氷河期でやっとの思いで就職できた人たちなので、簡単に転職をしてはくれません。

そこで提案したのが、「時代が違えば採用されるチャンスがあった方たちに目を向けてみませんか?」。たまたま時代のせいで採用に至らなかった「才能ある若手」に価値を見出してもらう。新たな価値創造へのチャレンジが始まりました。採用ターゲットの変更、最終選考で意思決定をされる経営層の意識改革、業界未経験の方のオンボーディングの仕組みの構築などを行ったうえで、私たちは「第二新卒」と銘打って、新卒3年目の採用を大々的に謳い、採用支援をしていきました。そうして、徐々に「第二新卒」の採用が浸透していったのです。

社員数260名の小さな会社が、世の中の価値観を変えた瞬間でした。

そして今、私たちのミッションは、「人々に『はたらく』を自分のものにする力を」になりました。人の可能性を信じて、自分の仕事、ひいては自分の生き方を、自らの意思で選択しハンドリングできる、キャリアオーナーシップを持った人であふれる社会を築く。「第二新卒」のように、青臭い思いとともに世の中の価値観などを変える、一つひとつの軌跡を見てきたからこそ、そして、私自身が可能性を信じて成長させもらった経験があるからこそ、このミッションも必ず達成できると信じています。

  • 掲載している内容・肩書・社員の所属は取材当時のものです。