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転職サービス「doda」、ミドルシニアの転職意識調査レポートを発表
~現職での悩み1位は「給料があがらない」。
転職を考えた理由の上位は「給料」や「評価」で、20代よりも約10ポイント多い結果に~

パーソルキャリア株式会社が運営する転職サービス「doda(デューダ)」(編集長:桜井 貴史)は、2025年3月に20~64歳のビジネスマンを対象に、仕事と転職に関するアンケート調査を行いました。そこからミドルシニア(45~60歳)の転職価値観を紐解くべく、ミドルシニアと20代の結果を比較し「ミドルシニアの転職意識調査レポート」としてまとめましたので、お知らせいたします。
【結果サマリ】
・ミドルシニアの現職での悩み「給料があがらない」が37.7%で最多。評価制度への不満も目立つ
・転職を考えた理由の上位は「給料」や「評価」。上司に関する悩みは20代よりも多い結果に
・必要になるまで転職サービスに登録しないミドルシニアは20代より多い傾向
・職場選びにおいて、ミドルシニアは休暇の取りやすさよりも業務内容を重視する傾向
ミドルシニアの現職での悩み「給料があがらない」が37.7%で最多。評価制度への不満も目立つ
ミドルシニアに「現在の仕事での悩み」を聞いたところ、1位は「給料があがらない」(37.7%)でした。2位は「給料が安すぎる」(29.7%)、3位は「評価・人事制度が不透明/不公平だと思う」(23.4%)が続きました。また、20代との回答差が大きかったのは、「尊敬できる上司がいない」(+10.0ポイント)、「給料があがらない」(+9.7%ポイント)、「評価・人事制度が不透明/不公平だと思う」(+9.0ポイント)、でした。これらの結果から、ミドルシニアは20代と比較し、給与・評価面に不満を抱いている傾向が伺えます。

転職を考えた理由の上位は「給料」や「評価」。上司に関する悩みは20代よりも多い結果に
また、直近1年以内に転職した方・現在転職に興味がある方を対象に「転職を考えた理由」を聞いたところ、ミドルシニアは「給料があがらない」(42.2%)、「給料が安すぎる」(38.9%)、「やりがいを感じられない」(31.0%)がトップ3にランクイン。20代もトップ3は同じ項目でした。「給料があがらない」や「評価・人事制度が不透明/不公平だと思う」「尊敬できる上司がいない」と回答したミドルシニアは20代よりも多く、10ポイント前後の差がみられます。

必要になるまで転職サービスに登録しないミドルシニアは20代より多い傾向
転職サービスへの登録について考えを聞いたところ、「転職サービスは、すぐ転職する気がなくても登録するものだ」という考えに「近い」「どちらかといえば近い」と回答したミドルシニアは計13.8%、20代は計28.1%で14.3ポイントの差がありました。また、「転職サービスは、必要になるまでは登録しない」という考えに「近い」と回答する割合がミドルシニアは22.7%、20代の13.9%と比較して8.8ポイントの差がみられました。また、この結果から、ミドルシニアは20代と比べて、必要になるまで転職サービスに登録しない傾向が伺えます。

職場選びにおいて、ミドルシニアは休暇の取りやすさよりも業務内容を重視する傾向
環境・風土に関する職場選びの重視度を「とても重視する」~「まったく重視しない」の7段階でそれぞれ回答してもらい、上位2項目「とても重視する」「重視する」の回答割合をまとめたところ、ミドルシニアは「自分にできる業務であること」(51.2%)が最多となりました。次いで、「経営層が社員を大切にしている」(47.2%)、「年収が下がらないこと」(46.5%)でした。また、20代は休暇の取りやすさや福利厚生の充実に関する項目の回答割合がそれぞれ5割を超えたのに対し、ミドルシニアは4割程度となりました。この結果から、ミドルシニアは休暇の取りやすさよりも業務内容を重視する傾向が伺えます。

【解説】ミドルシニア労働市場スペシャリスト 石井 宏司
今回、ミドルシニアの転職価値観にフォーカスを当て、調査レポートをまとめたところ、結果から大きく2つの傾向が伺えました。1つは、「給与や評価の悩みが大きく、転職を検討する理由になっていること」(Q1、Q2)。2つめは「熟慮したうえで、現実的な目線で転職を考えていること」(Q3、Q4)です。
まず1つ目の給与や評価への不満について。今年のミドルシニア(45~60歳)の多くは氷河期世代であり、バブルや大幅な賃金アップを経験していない世代です。昨今、新入社員の初任給引き上げのニュースが目立つ一方で、なかなか給与が上がらないことから、評価制度への不満を抱きやすい状況にあったと推測されます。実際に、大手企業出身者で、役職定年や60歳以上の雇用継続時の職種変更による給与低下などが、転職活動のきっかけとなるケースが増えています。また、昨今の晩婚・晩産化傾向により、50代で家のローンや子どもの教育費の負担がピークを迎える人も少なくありません。不動産価格の上昇や物価高がさらに家計を圧迫しており、結果、現在の給与や評価への不満に目が向き、転職を検討する引き金になっている構造が見てとれます。
次に2つ目の転職への考え方について。調査結果から、一定の転職意向を持った状態で転職サービスに登録する傾向や、休暇や福利厚生の手厚さよりも、自分にできる業務内容であること、経営層の姿勢や会社の安定度などを重視する傾向が伺えます。これは前述の理由にも連動しますが、転職後も即戦力として活躍し、はたらき続けることで安定して収入を得たい、という意向の表れでもあると考えます。ライフステージ的にも、ミドルシニアの転職は配偶者や子供の生活にも影響するため、転職は慎重に進めるものだととらえていると推測します。今後、転職サービスの活用目的が多様化すれば、情報収集のために登録する個人も増え、多様なキャリアプランを描きやすくなるのではないでしょうか。
他方、企業側の観点では、他社で経験を積んだ即戦力のベテラン人材を必要とする場面が増え、ミドルシニアを採用するケースがここ数年で徐々に増えてきています。しかしながら、中途採用の現場では依然として「ミドルシニア=はたらかないおじさん」という年齢バイアスを抱えていることによるミスマッチも見られるのが実態で、課題が残ります。
これから、はたらく人の高齢化は着実に進みます。2025年4月に改正された高年齢者雇用安定法の対策を機会に、企業はミドルシニアにとっても選ばれる人事制度や給与制度に切り替えていくことが求められ、中長期的な自社の採用力につなげていく重要な節目になるはずです。
今後も私たちは、人的資本経営のための先行投資を早期に行っている企業事例、先行事例などの調査や分析にも取り組み、情報発信をしてまいります。
解説者プロフィール ミドルシニア労働市場スペシャリスト 石井 宏司(いしい こうじ)

2023年パーソルキャリアに中途入社、ミドルシニア事業企画部のゼネラルマネジャーに就任。就労人口が平均50歳を超える2030年を見据え、転職市場におけるミドルシニア層のキャリア支援体制の強化やミドルシニアが活躍できるキャリアパスの開発に従事。2025年4月から、企業のミドルシニアやハイキャリア人材活用の推進を担うdoda事業本部 法人マーケティング統括部 領域開発部のゼネラルマネジャーに就任。
自社の事例やデータに基づく転職市場動向の解説に加え、大手コンサル会社での勤務経験を活かし、アカデミックな視点から多角的な分析や課題の特定を得意とする、ミドルシニアの労働市場のスペシャリスト。
調査概要
期間…2025年3月14日~18日
対象…全国 20-64歳の男女、正社員・契約社員・派遣・会社役員・代表取締役・公務員・団体職員へのアンケート結果から、20代(20~29歳)とミドルシニア(45~60歳)の回答を抜粋
転職サービス「doda」について< https://doda.jp/ >
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