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転職サービス「doda」、
2025年度上期版「年代別 転職時の年収変動レポート」を発表
20代の平均決定年収額は19年度同期比で13%アップ

パーソルキャリア株式会社が運営する転職サービス「doda(デューダ)」(編集長:桜井 貴史)は、2025年度上期版「年代別 転職時の年収変動レポート」を発表しました。本レポートは、2019年度上期と2025年度上期に「doda」エージェントサービスを利用して転職決定した個人(以下、転職者)のデータを分析し、年代別※1に転職時の年収変動や決定年収※2額の傾向について解説しています。
※1:年齢データ集計形式の変更により、2024年4月30日以降の転職者は、年代を社会人歴から推測しています。
※2:決定年収とは、転職者を受け入れる企業が採用決定時に個人に対して提示する年収のこと

2019年度上期と2025年度上期に「doda」エージェントサービスを利用した転職者の数を比較すると、全年代で1.6倍以上に伸長しました【図1】。この背景には、人材不足の深刻化や経済活動の回復に伴う採用ニーズの高まりが挙げられます。doda転職求人倍率※3を見ると、2025年度は昨年に比べてやや一服感があるものの、引き続き2倍以上で推移しており、売り手市場となっています。こうした状況を受け、各社採用を成功させるために年収額を引き上げに動いています。そこで今回、コロナ禍前の2019年度上期と2025年度上期を比較し、決定年収の傾向とその変化について年代別に分析しました。
※3:doda転職求人倍率とは、中途採用市場における需給バランスを表すもので、dodaの会員登録者(転職希望者)1人に対して、中途採用の求人が何件あるかを算出した数値です。https://doda.jp/guide/kyujin_bairitsu/

20代の特徴:平均決定年収額が13%アップ。転職者の51%が決定年収「400万円以上~600万円未満」に。
金融やIT・通信、コンサルティング業界の動きが影響

20代転職者の転職前後の年収変動をみると、2019年度上期は横ばいでしたが、2025年度上期は5%増加しました。平均決定年収額も2019年度上期と比較して13%増加しています【図2】。決定年収の分布では、400万円以上~800万円未満の転職者の割合が増加し、全体の半数以上を占める結果となりました【図3】。
また20代は、金融やIT・通信、コンサルティング業界などにおいて決定年収額が増加傾向にあります。それぞれの要因として、金融業界では大手企業を中心に若手層の離職防止・社員定着策としての賃上げが進んでいること、IT・通信業界では未経験採用から即戦力採用にシフトする傾向があること。コンサルティング業界では実力主義の評価をする企業が増加していること、そして、企業規模を問わず採用競争が激化し提示年収が引きあがっていることなどが影響したと考えられます。
将来の事業成長を担う20代は各社で採用ニーズが非常に高まっています。若手層の獲得競争が激化する中で、企業は賃上げや評価制度の見直しを積極的に進めていることから、決定年収額は今後も緩やかな上昇が続くと予測されます。(doda編集長 桜井 貴史)
30代の特徴:転職時の年収変動がマイナスからプラスに。決定年収600万円以上の割合が11%増加
金融やIT・通信、コンサルティング業界に加え、物流業界でも決定年収額が増加傾向

30代転職者の転職前後の年収変動をみると、2019年度上期は減少しましたが、2025年度上期は微増となりました【図4】。平均決定年収額は2019年度上期比で9%増加しています。決定年収の分布をみると、ボリュームゾーンである「400万円以上~600万円未満」の割合は変わらないものの、600万円以上の割合合計が22%となり、2019年度上期比で11%増加しました【図5】。
また30代では、金融やIT・通信、コンサルティング業界に加え、物流業界でも決定年収額の増加が見られました。物流業界では、団塊世代の大量退職や労働時間削減による人材不足に対応するため、管理職候補や業務効率化を推進できるデジタル人材の需要が高まっています。こうした、比較的年収帯の高いポジションや職種の転職決定者が増加したため、決定年収が引きあがったと推測します。(doda編集長 桜井 貴史)
40代の特徴:転職時の年収変動は減少傾向。一方で、決定年収800万円以上の割合は5%増加
特に、IT・通信、医療系サービス、建設業界で決定年収が増加

40代転職者の転職前後の年収変動は、2019年度上期・2025年度上期ともに減少傾向でした【図6】。一方で、平均決定年収額は2019年度上期比で約4%増加。決定年収の分布をみると、600万円未満は減少。800万円以上の割合合計が10%となり、19年度比で5%増加しています【図7】。
40代の転職者数は19年度上期比で約2倍に伸長していることから、40代においても転職という選択肢がより身近になってきた様子が伺えます【図1】。転職時の平均決定年収額は2019年度上期と変わらず減少傾向にありますが、その減少幅は小さくなっています。
40代では、IT・通信、医療系サービス、建築業界などで決定年収額が増加する傾向がみられます。IT・通信業界では、DX推進や外資系企業との競争激化に加え、さまざまな業界で社内SEの採用が増加したことが、年収水準の引き上げにつながっています。医療系サービスでは、介護事業大手による全国展開や新規施設開設が進み、施設長やケアマネジャーなど経験豊富な人材の採用ニーズが高まっています。建設業界では、高度経済成長期に建設された建物やインフラの老朽化対策、SDGs・ESG推進による省エネ化・脱炭素化への対応が急務となっており、1級建築士や施工管理技士など高度な専門性を持つ即戦力人材の採用が活発化しています。これらの動きにより、各業界で40代の決定年収額が引き上がったと考えられます。(doda編集長 桜井 貴史)
解説者プロフィール doda編集長 桜井 貴史(さくらい たかふみ)

新卒で大手人材会社に入社し、一貫して国内外の学生のキャリア教育や就職・転職、幅広い企業の採用支援事業に携わる。2016年11月、パーソルキャリア株式会社に中途入社。同年、株式会社ベネッセホールディングスとの合弁会社、株式会社ベネッセi-キャリアに出向、新卒オファーサービス「dodaキャンパス」の立ち上げを牽引し、初代dodaキャンパス編集長に。その後、同社 商品サービス本部 本部長として、キャリア講座やアセスメントをはじめとした、大学生向けサービスの責任者を務める。2023年4月、doda副編集長 兼 クライアントP&M本部 プロダクト統括部 エグゼクティブマネジャーに就任し、法人向け採用支援プロダクト全体を管掌。2024年4月、doda編集長に就任。サービスを通じてこれまで60万人以上の若者のキャリア支援に携わり、Z世代の就職・転職動向やキャリア形成、企業の採用・育成手法に精通している。
調査概要
対象:2019年度上期(2019年4月~9月)と2025年度上期(2025年4月~9月)にdodaエージェントサービスを利用して転職した個人
■転職サービス「doda」について< https://doda.jp/ >
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