パーソルキャリア株式会社が運営する転職サービス「doda(デューダ)」(編集長:喜多 恭子)は、1,500人のITエンジニアの方を対象に、IT業界の技術トレンドや環境変化の捉え方、現在の業務でのやりがいや不安、およびキャリアに関する意識について調査を実施しましたので、その結果をお知らせいたします。

■ITエンジニアの現状と調査背景
経済産業省がDX化への取り組みの重要性を訴え2018年に提言した「2025年の崖」を背景に、企業のITエンジニアの求人ニーズは高まりをみせています。求人数も、2019年に新型コロナウイルス感染症の影響で一度落ち込むものの、他職種よりもいち早く回復し、以降も右肩上がりに増加しています(【図①】 参照)。また、IT化・DXに取り組む企業の広がりによる産業構造の変化を一因とし、ITエンジニアの異業種/職種転職の割合も年々拡大するなど、転職市場全体の変化も見られます(【図➁】参照)。
さらに、ITエンジニアが求められる領域は拡がりを見せる一方で、中長期な動向として海外からのITエンジニア採用も増えるなど、取り巻く環境も刻々と変化しています。そこで、「doda」では、ITエンジニアは現状をどのように捉え、その上で自身のキャリアについてどのように考えているのかを明らかにするため、本調査を実施いたしました。
また、調査においては、ITエンジニア一般の関心事や意識と併せて、主に法人に対してサービスを提供するB to B領域と、主に一般消費者に対してサービスを提供するB to Cで領域を分け、関わる業務のビジネスモデルによる違いに注目し実施いたしました。

【図①】「doda」に掲載されている技術職(SE・インフラエンジニア・Webエンジニア)と全職種の求人数の推移
(2019年1月の掲載数=100と定義)

【図②】SE・インフラエンジニア・Webエンジニアの転職傾向(2019年~2021年)

■調査結果
◆ITエンジニアが今、関心を寄せるトレンド

現在の技術トレンド・環境変化として提示した20項目に、それぞれどのように感じるかを尋ねたところ、「好ましい」「やや好ましい」のポジティブな回答が多かった項目は、1位「リモートワークの広がり(計75.7%)」、2位「リモートワークの普及など勤務場所の自由度の高まり(計75.5%)」、3位「働き方改革の促進/働き方に対する意識の向上(計67.4%)」と、働き方に関係する項目が3位までを占めました。
4位以降は、「クラウド化の進化(計65.0%)」、「IoTの進化(計61.9%)」、「AI(人工知能)の普及(59.2%)」、「ビッグデータの活用(57.9%)」と技術面の進化を示す項目が続く結果になりました。併せて調査した「今後習得したいプログラミング言語」で最も回答数が多かった言語は、人工知能の機械学習やディープラーニングなどの実装、ビッグデータの活用で利用されることの多い「Python(17.8%)」となり、関心の高いトレンドと相関した結果となりました(【図③】【図④】参照)。
一方、「あまり好ましくない」「好ましくない」のネガティブな回答が多かった項目は、1位「ITエンジニア人材の不足(計43.7%)」、2位「終身雇用制度の衰退/人材流動化の加速(計21.3%)」、3位「能力主義の台頭(計14.2%)」、4位も「エンジニアのグローバル化(計13.4%)」となり、人材にまつわる動向や評価に関連する項目が上位を占めました。続く5位には「ノーコード・ローコード開発の出現・普及(計13.0%)」が入り、技術関連の項目の中では最上位となりました。この1~5位の項目は、人手不足や人材流動化の加速に加えて、新しい技術出現による取り巻く産業構造の変化などとも相関する項目が並びました(【図③】参照)。

【図③】ITエンジニアが今関心を寄せるトレンド (単一回答)N=1,500

【図④】今後、習得したいプログラミング言語 上位10位(複数回答)N=1,500

 

また、主に法人に対してサービスを提供する「B to B領域ITエンジニア」と、主に一般消費者に対してサービスを提供している「B to C領域ITエンジニア」の回答を比較した結果、回答割合や傾向にほぼ違いは見られず、業務のビジネスモデル領域が異なっても、関心の高い技術トレンド・環境変化は同じ傾向にあることが分かりました。

◆現在の業務に対する満足度や不安感
「仕事のやりがい」トップ3※1は、「高い給与」「自分のスキル向上」「顧客からの感謝」
現在の業務への意識を調査するため、「現在の業務への満足度」を尋ねたところ、「満足」「やや満足」の回答が半数弱(46.9%)となりました(【図⑤】参照)。また、「勤続の意向」についても、半数以上(計52.2%)が継続希望の意思を示す結果となりました(【図⑥】参照)。※1:その他を除く

【図⑤】現在の業務への満足度(単一回答 N=1,500)

【図⑥】現在の業務の勤続意向(単一回答 N=1,500)

続けて、現在の仕事における「やりがい」を尋ねたところ、1位「高い給与を得る(38.0%)」、2位「自分のスキルを向上する(37.4%)」、3位「顧客から感謝される(31.0%)」という結果になりました*1(【図⑦】参照)。
やりがいの1位となった「給与」について別設問で尋ねた結果、最も多い年収帯は「400~500 万円未満(25.0%)」ということが分かりました。一方で、500万円以上の年収帯も約半数(計47.5%)を占めていることが分かりました(【図⑧】参照)。 ※1:その他を除く
なお、この設問においても、「B to B領域ITエンジニア」と「B to C領域ITエンジニア」の回答割合や傾向に大きな違いは見られませんでした。

【図⑦】仕事のやりがい(複数回答 N=1,500)


【図⑧】回答者の年収帯(単一回答 N=1,500)

給与面、自身のスキル停滞に不安を感じている
続けて、現在の業務において最も不安に感じていることを尋ねたところ、1位「今の会社でどこまで給与が上がるか(13.4%)」、2位「自身のスキルが停滞しているように感じる(7.8%)」、3位「いつまで今の業務負荷をこなせるか(6.7%)」となり、給与面、スキル面、業務量面に不安を感じていることが分かりました*2(【図⑨】参照)。*2:特にないを除く

【図⑨】最も不安に感じること 上位5位(単一回答 N=1,500)

また、【図⑩】で示すように、不安に感じていることを複数回答で尋ねると、上位10位内の5つが「自身のスキルが停滞しているように感じる(25.7%)」「多様化するIT人材の中で勝ち抜けるか(23.5%)」「将来のIT関連の新技術や変化に適切に対応できるか(20.1%)」などとスキルに関連する回答が集まり、【図③】で示した「関心を寄せるトレンド(ネガティブ)」項目の3位に挙がっていた「能力主義の台頭(計14.2%)」を裏打ちする結果が示されました。

【図⑩】不安に感じること(複数回答 N=1,500)

また、「B to B領域ITエンジニア」と「B to C領域ITエンジニア」を比較すると「自身のスキルを正当に評価してもらえるか(B to B領域:1.8%、B to C領域:3.3%)」と「いつまで今の業務負荷をこなせるか(B to B領域:7.2%、B to C領域:5.3%)」の項目で約2ポイントの差があったものの、回答割合や傾向に大きな違いは見られませんでした。

自己啓発活動
スキルアップを目的としておこなっている自己啓発活動を尋ねたところ、1位「IT関連の資格取得のための自主学習(31.2%)」、2位「ITスキルアップのための読書(21.9%)」、3位「IT以外のスキルアップのための読書(18.3%)」となりました*3(【図⑪】参照)。*3:特にないを除く
【図③】で示した「関心を寄せるトレンド(ネガティブ)」で挙がった「能力主義の台頭(計14.2%)」「ノーコード・ローコード開発の出現・普及(計13.0%)」などは、この自己啓発活動の動機となっていると考えられます。
また、【図⑨】で示した「不安に感じている」項目でも述べたとおり、上位10位のうち半数がスキル面についての内容が並び、この表裏としての積極的な自己啓発活動の実情がうかがえます。
併せて、【図③】「関心を寄せるトレンド」でポジティブな関心項目の10番目に「リスキリング」が挙がっていることは、上述の「不安に感じる要素」や「自己啓発活動」との相関と推測できます。
また、この設問においても「B to B領域ITエンジニア」と「B to C領域ITエンジニア」の回答で大きな違いは見られませんでした。

【図⑪】自己啓発活動状況(複数回答 N=1,500)

■キャリアデザインについて
転職回数について尋ねたところ、「0回」が54.9%となり、これまで転職を経験したことのあるITエンジニアの割合は全体で45.1%となりました。また、その回数は「1~2回」が32.8%、次いで「3~5回」が10.3%、「6回以上」が1.9%という割合となりました(【図⑫】参照)。
この転職回数には「B to B領域ITエンジニア」と「B to C領域ITエンジニア」で差が見られ、「0回」と回答した割合は「B to B領域」で59.3%、「B to C領域」で44.7%、「1~2回」においても「B to B領域」で30.7%、「B to C領域」で37.8%、「6回以上」でも「B to C領域」の方が多い結果となりました(【図⑫】参照)。
同時に、「転職経験がない」若しくは「1年以内及び当面の転職意向がない」以外の方へ、転職の理由を尋ねたところ、上位3位に挙がった要素は、全体と「B to B領域」で、⑪給与・賃金に対する不満 ③キャリア形成目的や異なる職種/業種での就業意向 ④スキルへの要望と現状の不一致 が並びました。一方、「B to C領域」では、③キャリア形成目的や異なる職種/業種での就業意向 ⑪給与・賃金に対する不満 ④スキルへの要望と現状の不一致 の順となり、③の要素は「B to C領域」でより強く転職の動機や理由にあらわれていることが分かりました(【図⑬】参照)。

【図⑫】転職回数(単一回答 N=1,500)

【図⑬】転職の動機・理由(複数回答 N=900)

 

転職検討・活動状況を尋ねた設問でも、「すでに転職が決定している」「内定には至っていないが、今後1年以内の転職のためにすでに活動を始めている」および「今後1 年以内の転職を考えている」という回答の合計が、「B to B領域」は29.7%、「B to C領域」では38.9%と、「B to C領域」が約10ポイント上回り、キャリアデザインに転職という手法を活用する意向が強い傾向が見られました(【図⑭】参照)。なお、各領域を合わせたITエンジニア全体では、「すでに転職が決定している」「内定には至っていないが、今後1 年以内の転職のためにすでに活動を始めている」および「今後1 年以内の転職を考えている」の回答合計が、3割を超える割合となりました(32.5%)。

【図⑭】転職検討・活動状況(単一回答 N=1,500)

■解説(doda編集長 喜多 恭子)
ITエンジニアの求人は、新型コロナウイルス感染症の影響で一度落ち込んだ転職市場の中で最も早く回復し、2022年2月時点の求人数は、コロナ前の最も求人が多かった月(2020年3月)と比べて約1.6倍に増えています。さらに、産業のIT化を背景とした昨今の産業構造変化の影響を受け、事業の改変や新たな事業創造に取り組む企業も増えていることから、今後も、IT/通信業界だけにとどまらず多様な業種で求人ニーズはますます高まっていくことが予想されます。
実際に、ITエンジニアの異業種への転職や同職種内での領域を超えた転職は増えており、この傾向は、この先も続くことが見込まれます。また、今回の調査からは、「B to B領域ITエンジニア」と「B to C領域ITエンジニア」の間で、感じるやりがいに大きな差異は見られないことが分かりました。これらのことから、人材の流動化を『現状に閉じる必要のない変化の可能性』と好機に捉えることが、これからのキャリア形成における足掛かりとなるでしょう。

■調査概要
<図①、②>
・対象:「doda」に掲載された求人・応募データをもとに算出
・集計期間:2019年1月~2021年12月
<図③~⑭>
・対 象 者:20~39歳、従業員数10名以上の民間企業・政府機関・自治体・団体に勤務するITエンジニア
・集計対象数:1,500人
・調査手法:インターネット調査
・調査期間:2022年2月10日~2月13日

■解説者プロフィール doda編集長 喜多 恭子(きだ きょうこ)
1999年、株式会社インテリジェンス(現社名:パーソルキャリア株式会社)入社。
派遣・アウトソーシング事業で法人営業として企業の採用支援、人事コンサルティング等を経験した後、人材紹介事業へ。法人営業・キャリアアドバイザーのマネジャーとして組織を牽引。その後、派遣事業の事業部長として、機械電子系の派遣サービス立ち上げやフリーランス雇用のマッチング事業立ち上げなどを行う。アルバイト求人情報サービス「an」の事業部長を経て、中途採用領域、派遣領域、アルバイト・パート領域の全事業に携わり、2019年10月、執行役員・転職メディア事業部事業部長に就任。2020年6月、doda編集長就任。

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