パーソルキャリアが運営する公式YouTube「キャリアコンパス」やVoicy「はたらく応援ラジオ」でMCを務める、フリーアナウンサーの福田典子さん。RKB毎日放送、テレビ東京、そして歯科医療の企業で広報職も経験し多彩なキャリアを築いてきた福田さんに、「自分でキャリアを切り開く」ためのヒントを伺いました。
「話すこと」が苦手だった福田さんがアナウンサーを目指した理由
――アナウンサーを目指すようになったきっかけは何だったのでしょうか?
福田:
実はもともと、話すことは苦手で人前に立つのも得意ではなかったんです。小学生のころは、黒板の前で発表するだけで泣いてしまうような生徒でした。
でも、大学時代のプレゼン授業で、「伝え方ひとつで、こんなに印象が変わるんだ」と衝撃を受けて、“人への伝え方”に興味を抱くようになりました。そんな中、たまたま友人に誘われて行ったアナウンススクールの説明会で、受講料が割引になるクーポンが当たったので、「話がうまくなりたい」という軽い気持ちで通い始めたんです。

福田: その後、アナウンサーを本気で目指したのは就活が本格的に始まってからでした。当時別業界から内定を既にもらっていたのに、「やっぱりアナウンサー試験を受けたい」と考えている自分がいたんです。同時に、自分はそれまで「伝えること」や「言葉の力」を軸に人生の選択をしてきたことにも気が付いて、アナウンサーを目指す決意をしました。
――「言葉の力」はどういった経験から感じていたんでしょうか?
福田: 母が就職アドバイザーだったので、母の下に相談に来る学生たちが母の励ましの言葉で前向きになっていく姿を見て、言葉の力を実感していました。そんな影響もあって、高校時代は生徒会、大学時代はミスコン運営に携わるなど、「伝えること」を楽しんで選んでいました。
「できない自分」を受け入れた、福田さん初めての挫折
――その後、RKB毎日放送に入社しアナウンサーになられて、いかがでしたか?
福田: 地元ではたらけることがうれしかった半面、全国で活躍する同世代のアナウンサーと比べて自分の能力不足を痛感していました。そのうち、ニュース原稿を読むことに対する責任感から、原稿を読むこと自体が怖くなってしまった時期もあったんですが、周りの人に、「できない自分を受け止めなさい」と言われて。本当に悔しかったですね(笑)。でもそれをきっかけに、周囲に頼るようになって、教えてもらったことを毎日練習しました。あの挫折があったからこそ、今は後輩に寄り添えますし、無駄じゃなかったと思えています。

――その後スポーツ取材を経験されたんですよね。
福田:
最初はスポーツに関して詳しくなかったので、現場に足を運びながら学ぶ毎日でした。そんな中で、プロ野球・福岡ソフトバンクホークスが日本一になったとき、優勝の瞬間を伝えることだけでなく、継続して取材してきたからこそ、それまでの積み重ねや人間模様といった軌跡も含めて伝えられる喜びを知りました。その経験から、さらに大きな舞台であるオリンピック取材ができるようになりたいと考えるようになりました。
そんな時に、テレビ東京から中途採用の募集が出たんです。テレビ東京であれば、オリンピックのメインの取材ができる。同期にも背中を押されて応募したところ、750倍の倍率の中、幸運なことに入社することができました。
アナウンサーから企業広報へ。福田さんの新たな挑戦
――行動したからこそつかみ取ったキャリアですよね。テレビ東京時代はどんな経験をされたのでしょうか?
福田: 当時のテレビ東京では情報番組の中継リポートが少なかったので、RKB毎日放送での中継経験を活かして、後輩に教える側へ回ることもできましたし、新しい挑戦も多くさせてもらえて、本当にありがたい時間でした。

――そこから、医療業界への転職をされるわけですが、どのようなきっかけがあったのでしょうか?
福田: 産休・育休を経て、子育てや家族との時間、そして自分のキャリアを見つめ直したときに、「もっといろんな世界を見られるチャンスかもしれない」と思うようになりました。テレビ東京を辞めるのはもったいないと悩んだのですが、そのタイミングでフリーアナウンサーをしながら企業広報をやらないか、と歯科医療の企業からオファーをいただき、挑戦しようと決めました。
――まったく異なる業界でのお仕事は、どうでしたか?
福田: 最初は戸惑いました(笑)。でも、広報の仕事を通じてアナウンサーとしての視点が広がりました。ありがたいことにフリーアナウンサーの仕事を多くいただけたので、会社にもご迷惑をおかけするため退職という決断をしましたが、とても貴重な経験でした。
――二足のわらじ生活は大変だったと思いますが、アナウンサーを続けたいという気持ちは変わりませんでしたか?
福田: 私、アナウンサーを辞めたいと思ったことは一度もないんです。自分には向いていないと思ったことは何度もありますし、落ち込む日もたくさんあります(笑) 。でも、「あなたは向いていないです」と仕事が来なくなるまでは、アナウンサーとして頑張りたい。向き不向きって、自分ではよく分からないものだと思うんです。だからこそ、「向いていないから辞める」ではなく、「やりたいから向き合って続けよう」と思っています。

福田さんの考えるキャリアオーナーシップ発揮のヒント
――キャリアの節目節目で常に自分で考え選択し、キャリアオーナーシップを発揮されてきたと思いますが、どんなことを意識されていたのでしょうか?
福田: 学生時代から、やりたいと思ったことは挑戦するタイプでした。やりたいことが2つあったら両方できないか考えてみる。すぐには挑戦できない場合でも、「やってみたい」と思ったことは宝物のように心に持っておいて、挑戦できるチャンスに巡り合ったときにすぐ動けるように準備しておくようにしていました。
――やりたいことや好きなことはどうやって見つけられるでしょうか?
福田: いきなり「私の本当にやりたいことは何?」って大きなことや仕事のことを考えようとすると難しく感じるので、もっと身近なことから考えるのが良いと思います。例えば、「1時間自由な時間があったら何がしたいかな?」って。そうやって、自分の気持ちの引き出し方を練習して、心が動くものを見つけたら、それを大切にすることが大事だと思っています。

――自分らしい生き方・はたらき方をしたいと考えている方や、キャリアに迷っている方へメッセージをお願いします。
福田:
実は私も、“自分らしさ”ってまだピンと来ていないんです(笑) 。でも、人と話す中で「あなたはこんな個性があるよ」って言われて気づかされることが多いので、自分らしさや自分の強みが分からない人は、いろいろな人とコミュニケーションを取ってみると、ヒントが見えてくるかもしれません。
そして何より、人生のオールを誰かに任せないことが本当に大事だと思います。たとえ会社員でも、自分でコントロールできることをキャリアの目標に置く。そのためにも、どんなキャリアを歩んでいきたいか、忙しい中でも立ち止まって考える時間は必要ですよね。
あとは、選択を繰り返していくことで、自分の好みってだんだん分かってくると思うんです。例えばお昼に何を食べるか、とか小さなことでもいいんです。自分で考えて選ぶというその繰り返しが、自分の個性や選択を磨いていくことにつながるんじゃないかなと思います。

――では最後に、福田さんが今後チャレンジしてみたいことをぜひ聞かせてください!
福田: いつか「伝え方講座」や「アナウンススクール」をやってみたいですね。自分が感じてきた“伝えるって楽しい”、という感覚を、いつか誰かに伝える側になれたらうれしいです!
自分らしさが分からなくても、自分の気持ちに向き合い、小さな選択を積み重ねて素直に動いてみる。福田さんの言葉には、そんなキャリアとの向き合い方のヒントが込められていました。
フリーアナウンサー福田典子さんがMCを務める以下番組もぜひチェックしてみてください!
・YouTube「キャリアコンパス」
https://www.youtube.com/@career_compass-pca
・Voicy「パーソルキャリアのはたらく応援ラジオ」
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編集:パーソルキャリア広報部