多様性の尊重

LGBTフレンドリー企業とは?
パーソルキャリアの取り組み「事実婚・同性パートナーシップ婚制度」を紹介

社会全体で多様性が注目を集めている昨今、自治体によるパートナーシップ制度の導入や企業による労働環境の整備など、互いの性についての考え方を尊重し合う取り組みが広がっている。

こうした取り組みをLGBTフレンドリーな施策といい、LGBTの人が異性愛者と同様に暮らしやすい労働環境を作る取り組みを行っている企業をLGBTフレンドリー企業という。

今回は、なぜ今LGBTフレンドリーが求められているのか、企業は実際どういった取り組みを行っているのか、パーソルキャリアが独自で行っているLGBTフレンドリーに対する取り組みを紹介する。

LGBTフレンドリー企業とは?

まずLGBTとは、性的マイノリティのことを表す総称で、次の頭文字から取られている。

・Lesbian(レズビアン)
・Gay(ゲイ)
・Bisexual(バイセクシュアル)
・Transgender(トランスジェンダー)

これらに性自認や性的指向が定まっていない、またはあえて決めていない人を指すQuestioning(クエスチョニング)、その他を指す+(プラスアルファ)を含めて「LGBTQ+」と表現することもある。

LGBTフレンドリー企業とは、カミングアウトの有無に関係なく、こうした性的少数者や性自認が定まっていない人たちがはたらきやすい職場環境づくりに取り組んでいる企業のことをいう。

なお、似たような言葉に「Ally(アライ)」があるが、Allyは当事者たちに共感し、寄り添って支援する人たちであり、LGBTフレンドリーよりもさらに一歩進んだ活動や支援運動を行う人たちを指す言葉だ。

また、「Sexual Orientation(性的指向)」と「Gender Identity(性自認)」を組み合わせた総称で「SOGI」という言葉もある。LGBTQ+は「人」を表すのに対し、SOGIは同性愛・異性愛に関係なく、すべての人が持つ「要素」を表している。

LGBTフレンドリーが求められる背景

海外でLGBTQ支援や多様性を受け入れる姿勢が広まっていることを受けて、日本でもLGBTフレンドリーへの関心・需要が高まっている。

特に、2015年に東京都渋谷区で結婚に相当する関係を認める「渋谷区パートナーシップ証明制度」が制定されたことが注目を集め、関心が高まった。
性的少数者をとりまく環境には、「アパートに家族として入居できない」「パートナーが入院した際に家族ではないため、面会を制限される」といった、異性愛者であれば法律上認められていることができない、という問題があった。

これらの問題を解消するために、渋谷区は日本初となるパートナーシップ制度を導入した。渋谷区を皮切りに多くの自治体でパートナーシップ制度の導入が開始され、2022年7月には220を超える自治体で導入されている。

こうした流れは自治体だけにとどまらず、労働環境においてもLGBTQの人がはたらきやすい環境・制度の整備の後押しとなり、多くの企業でLGBTフレンドリーに関する取り組みが進められている。

LGBTフレンドリーへの取り組み評価指標「PRIDE指標」とは

企業のLGBTフレンドリーへの取り組みを評価する一つとして「PRIDE指標」というものがある。PRIDE指標とは、2016年に任意団体であるwork with Prideにより策定されたLGTBフレンドリーへの取り組み評価指標だ。
 
「企業・団体等の枠組みを超えてLGBTQ+が働きやすい職場づくりを日本で実現する」ことを目的に、次の5つの評価指標を設けている。

■Policy(行動宣言)
社会全体で取り組む課題であるとして、企業のLGBTQ+およびSOGIに対する取り組みを明文化し、社内外に広く周知しているか。
■Representation (当事者コミュニティ)
LGBTQ+およびSOGIはもちろん、従業員がLGBTQ+やSOGIに関する意見や要望を伝える機会を提供しているか。
■Inspiration (啓発活動)
従業員に対して、LGBTQ+やSOGIへの理解を促進するための取り組みを行っているか。
■Development(人事制度・プログラム)
ライフイベントや人事異動等に伴う制度をLGBTQ+に対しても適用し、社内外に公表しているか。
■Engagement/Empowerment(社会貢献・渉外活動)
LGBTQ+やSOGIに関する社会の理解を促進するための社会貢献活動や渉外活動を行っているか。

各指標について最大21の評価項目が設けられており、該当する数に応じて評価される。
 
パーソルキャリアは2022年にPRIDE指標最高評価のゴールドを受賞。会社の取り組み状況に加えて、LGBTQ+に関する「アライ(Ally)」コミュニティ、「Rainbow PERSOL」の活動などにより、5つの指標において高い水準の取り組みを評価されている。

パーソルグループの「事実婚・同性パートナーシップ婚制度」

パーソルグループでは、「はたらいて、笑おう。」を実感できる会社を目指して、2017年8月にパーソルチャレンジ(現:パーソルダイバース)が、2019年10月にパーソルキャリアが「事実婚・同性パートナーシップ婚制度」を導入。事実婚・同性パートナーシップ婚をした場合にも異性婚をした人たちと同様の福利厚生を受けられるようになった。

現在までにパーソルキャリア内での利用実績もあり、社内でLGBTフレンドリーの輪が広がっている。

制度利用における配慮

制度を利用することで、職場の同僚にも知られてしまうのではと不安に思う方もいるかもしれない。しかし、パーソルグループの事実婚・同性パートナーシップ婚制度は、職場にカミングアウトをする必要は一切ない。

手続きの関係上、福利厚生を承認するために必要な一部の人事担当者への共有はされるが、関係者以外に情報が漏れないよう、次のように情報管理を徹底しているからだ。

【制度利用における情報管理】
情報を口外しない
ほかの社員に聞こえるところで話をしない
メール等の転送は避ける

当事者であってもカミングアウトしたいかどうかは人それぞれ。そのため、情報の共有は制度利用のために必要な最低限の範囲のみにとどめられている。事実婚においても同様の措置が取られる。

制度利用により受けられる福利厚生

事実婚・同性パートナーシップ婚制度を利用すると、次の福利厚生を受けられる。

事実婚・同性パートナーシップ婚制度により受けられる福利厚生
慶弔金(お祝い金・お見舞い金)
慶弔休暇(結婚休暇)
休業(育児・介護)
転勤・転居費用(ただし、会社都合に限る)

つまり事実婚や同性婚をした社員も法律婚をした人と同様の福利厚生を受けられる、ということだ。LGBTQや婚姻制度に関係なく、すべての従業員が平等に福利厚生を受けられるようにするための制度内容となっている。

制度利用に必要な証明書類

「事実婚・同性パートナーシップ婚制度」の利用には、次の書類のいずれかの提出が必要となる。

制度利用に必要な証明書類
自治体の証明書
公証役場の書類
戸籍抄本+住民票(世帯同一のもの)

証明書を発行する自治体は増加しているが、居住地域によっては証明書が手に入らないケースもある。パーソルキャリアの「事実婚・同性パートナーシップ婚制度」では制度利用の公正を期すため、公証役場の書類や戸籍抄本+住民票(世帯同一のもの)でも制度を利用できるようにしている。

LGBTフレンドリー実現に向けたその他の取り組み

「事実婚・同性パートナーシップ婚制度」以外にも、パーソルキャリアではLGBTフレンドリーの実現のため、グループビジョンである「はたらいて、笑おう。」が社会全体に広がるよう、社内外に向けて活動している。その一環として、LGBTQ当事者とAlly(アライ/理解・支援をする人)で構成される「Rainbow PERSOL」を発足。LGBTフレンドリー実現のための活動を行っている。

Rainbow PERSOL(レインボーパーソル)

Rainbow PERSOL(レインボーパーソル)とは、LGBTQの当事者とAllyで構成される社内コミュニティだ。

2019年に1人の社員が「LGBTQの当事者だけでなく、アライ(理解・支援をする人)も含めてコミュニティを作って、グループビジョンの『はたらいて、笑おう。』 につながる活動がしたい」という声を上げたことをきっかけに発足した。

Rainbow PERSOLでは多様な人の「はたらいて、笑おう。」実現に向けて、以下のようなさまざまな活動を行っている。

  • 社内のLGBTQに対する理解促進を目的とした基礎知識ガイドブック「Do You Know LGBTQ?」を発行
  • 東京レインボープライドのイベント出展
  • ゲストを招いてのトークライブ

「PRIDE 指標 2022」で、最高評価の「ゴールド」を受賞できたのは、企業としての取り組みはもちろん、上記のような有志による活動が認められたことも大きな要因として挙げられるだろう。

イベント“Do you know LGBTQ?”~セクシュアルマイノリティに関する基礎知識を学ぶ会~

“Do you know LGBTQ?” ~セクシュアルマイノリティに関する基礎知識を学ぶ会~とは2020年末に開催されたRainbow PERSOLによる取り組みだ。「セクシュアルマイノリティについて正しい知識を持つことは、多くの人の心理的安全性や企業・個人の信頼を守ることにもつながる」という思いから、企画された。

「世界や日本の動向からみる、なぜいまLGBTQ?」「性を構成する要素」「性のグラデーションとは?」といったテーマに沿って、LGBTQに関する基礎知識を共有。ケーススタディを元に、無意識に誰かを傷つけないために日常で意識できることについての紹介を行った。

多様な「違いを尊重しあえる」企業を目指して

多種多様な人がはたらく企業においては、考え方も人それぞれだ。お互いの考え方を否定するのではなく、違いを尊重し、認めあう。パーソルキャリアではLGBTQの人を含め、一人でも多くのはたらく人が笑顔になれるよう、「事実婚・同性パートナーシップ婚制度」の導入や「Rainbow PERSOL」での活動を支援している。パーソルキャリアでは、マイノリティもマジョリティも関係なく、社員が楽しくはたらける環境作りをこれからも進めていく。

 

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