パーソルキャリアでは、2023年1月20日(金)にキャリアアドバイザーが多く在籍する部署の管理職向けに生理・PMS(月経前症候群)に関する「ヘルスリテラシーセミナー」を実施した。キャリアアドバイザー職はパーソルキャリア内でも女性の比率が高いが、生理に悩んでいても管理職に言い出せないというメンバーは多いという。管理職が生理やPMSに関する知識を持つことで、部下への理解を深めて配慮し相談したいと思える環境にしていきたい。今回はこのセミナーに参加し、部下のヘスルケアについてどう感じ、またどう意識が変わったかを4人の管理職に聞いた。
座談会の参加者
左上)炭 沙織
| 右上)梅原 孝浩
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左下)末廣 聖子 エージェント事業部 SP経理第2グループ マネジャー | 右下)髙野 智正 エージェント事業部 RA岐阜・三重・長野グループ マネジャー |
- 管理職向け生理&PMSに関する「ヘルスリテラシーセミナー」とは…
- 1/20(金)に実施され、前半は生理・PMSの体験談、後半は助産師による生理・PMSについての講義があった。前半では、女性ホルモンバランスプランナーの金藤美樹穂氏とパーソルキャリア DI&E推進部マネジャーの松尾れいが、自身の生理・PMSの経験を伝えた。特に、松尾からは「PMSが重く、毎月1回は高熱がでてしまっていた」、「生理やPMSで仕事のパフォーマンスが落ちていた」「生理中の会議で椅子を汚してしまいつらい思いをした」など、自身の生理・PMSで苦労したことも含め赤裸々に話した。後半は助産師の岸畑聖月氏から、なぜ生理・PMSが増えているのか、管理職がどうコミュニケーションを取るべきなのかをお話しいただいた。
セミナー受講前は「生理」についてどう思っていましたか。また受講後の率直な感想を教えてください。
梅原: 女性には「生理」という現象があるということはもちろん知っていましたが、それが日常生活や仕事に向き合うモチベーションなどに影響するということまでは正直知りませんでした。だから、今まで配下メンバーから「生理痛で仕事を休みます」と言われてもピンとこない部分があったんです。ですが今回のセミナーを受講したことで、なんていうか、今まで女性に申し訳なかったなと思ってしまうくらい、生理やPMSについて知識を得ることができて本当によかったなと感じています。
髙野: 基本的には梅原さんと同じで、生理やそれにまつわる女性の働き方については正しく理解できていませんでした。過去に、一緒に働いてくれたメンバーの中にも生理・PMSの重い人がいて、適宜休暇を使うように伝えていましたが、こちらから積極的に働きかけることに二の足を踏んでいました。でも生理って決して秘め事なんかじゃなく、体に起きる現象のことだよなっていうことを再認識して。もっとオープンに、生理休暇制度(※)の活用などを促すことができるフラットな環境が作れたらいいなと感じました。
炭: 私は今回のセミナーを受ける前まで、自分の生理や体調について上司に「理解してもらいたい」と思ったことすらありませんでした。私自身、生理がかなり重いほうで薬を飲みながら業務をこなすということもよくあります。でも病気ではないから、我慢するのが当たり前というか、社会人の日常として「そんなもんなんだ」という思い込みでやり過ごしていました。でも今回のセミナーで赤裸々かつ具体的な生理・PMSの症状やつらさを広く開示してもらい、管理職が学び、理解を深め、それによって部下が上司に相談しやすい環境が生まれていく予感がしました。
末廣: 私は炭さんと違って生理が軽いほうで、周りの女性で生理痛がひどいとか薬を飲んでいるとか聞いても結構他人事だったんです。ただ、女性管理職ということもあって、配下メンバーから生理による体調不良について相談されることはありましたが、すべての人がオープンにできているわけではないと思います。でも今回、男性管理職も全員出席でセミナー受講の機会を作ってもらえたのはすごく良かったと思います。メンバーも、男性を含む管理職全員が生理の知識を共有していると知れば、これまで生理でつらいと言い出せなかった人も、今よりも安心して相談することができますよね。
梅原: 確かにそうですよね。特に男性上司には相談しにくいことではありますから。
- ※生理休暇は月経時の体調不良に対して、休暇を取得できる制度。パーソルキャリアでは、生理日で就業が困難な場合、同月内で2日(内1日は有給)の生理休暇を取得できる。
炭さんと末廣さん、実際に生理中の勤務で困ったこと、改善してほしいと思っていたことはありますか?
炭: 女性なら誰でも経験があることかもしれませんが、長い会議でトイレに立てず、椅子を汚してしまったことはあります。セミナーでのパネルディスカッションでも登壇者が話していて、公の場で話される内容じゃないと思っていたので驚きました。
末廣: そうそう。会議などでなかなかトイレに行けないとき、すごく困りますね。仕事に集中できなくなるし、席を立つときにモレていたらどうしようっていう不安もあって。
梅原: 戦略会議などで議論が白熱すると、2時間休憩なしで進んでしまうこともありますよね。女性がそういう思いを抱えていたなんて、本当にまったく知りませんでした。申し訳ない気持ちでいっぱいです……。
炭: あとは生理のたびに、痛み止めの薬を飲みながら仕事をしたり、無理して出社したりしていました。今後は、痛みを我慢せずに生理休暇をとったり適宜リモートワークで対応したり、体を楽にはたらけるようになるといいなと思いますね。
梅原:
冷静に考えて、薬を飲むほどつらいのに仕事を休めないって異常ですよね。
日常生活に支障をきたすほど、人によっては生理が重いものだということも今回初めて知りました。無知で申し訳ありませんが、「その痛みって慣れないの? そんなに我慢できないの?」と思っていたことも。ですがセミナーを受け、私の認識はまったく次元が違うものだったんだと気づくことができました。
セミナーから1カ月を経て、ご自身の行動に変化はありましたか。またこれからのマネジメントへどう活かしていこうと考えますか。
炭: 特に若い世代の配下メンバーへは、管理職から働きかけてケアしていく必要があると思いました。部下からは言い出しづらいこともあると思いますし。私の部署は、中途入社のキャリアアドバイザーが多いのですが、入社して早々にこの女性社員向け「ヘルスリテラシーセミナー」を受けた配下メンバーから「この会社は生理やPMSのことを理解してくれる会社なんだ」と安心してもらえたようです。またほかのメンバーからも「今後は相談、報告をさせてください」と言ってもらえるケースが増えました。
末廣: 生理に関する相談を受けるときは、1対1の場が多いと思うんです。ですから、普段からあえてメンバーと雑談をしたり、こちらから積極的に声がけをしてみたりすることで、本音や悩みを引き出せたらいいなと思いました。やっぱり昔からなんとなくある、「生理にまつわる悩みの言い出しにくさ」って、根深いものだと感じるので。意識してフラットに共有していく必要があると認識しました。
炭: 本当にそうですよね。今回のセミナーを男性管理職も受けているってことがとても大きなことだと思いました。メンバーから生理について相談されたときも、上長が男性であっても「生理・PMSセミナーでしっかり学んできてるから安心して相談してみて」っていうアドバイスをすることもできました。
髙野 : 今回のセミナーで学んだことは決して一過性のものではなく、これからずっと継続して会社全体で共有していくべきことだと強く認識しています。ただ、女性を腫れ物のように扱うとか、必要以上に気を使ってしまったりするのも違うと思うので、あくまでもフェアに、生理という現象を理解して受け入れつつやっていけたらと思いました。
炭: そうなんです、腫れ物ではないんです。女性側としては甘やかしてほしいんじゃなく、フェアにオープンにお願いしたいです(笑)。
髙野: そういう意味では、生理に限らずすべてのメンバーの健康を大事にしていきたいっていうのはありますよね。当たり前のことですが。
炭: そうですよね。定年まで、無理しなくても心身ともに健康な状態で働ける会社になったらいいなと思うと、女性に限らず男性の更年期などの問題も出てくることがありますよね。年齢を重ねて、頑張りたくても100%のパフォーマンスが出しにくいときとか、そういった人材のキャリアに対して私たち管理職がどう向き合うかなど、これから考えて強化していきたい部分ではあります。
梅原: 社員の健康第一、それがもう、そこにある当たり前の景色として捉えられるような組織、チーム、会社になっていけたらいいなって思います。本来言いにくい体調のことなども躊躇なく話していける環境を作っていきたいです。
編集:パーソルキャリアnote編集部 ライター:松島由佳