キャリアの対話/自己理解

「管理職」のリアルを知る!
女性管理職×女性社員の座談会を継続実施

「女性は男性と比べて管理職昇格意向が低い」 
これは多くの企業が直面している現状であり、女性管理職の比率が22.9%(2022年10月1日現在)のパーソルキャリアも同様だ。そこでパーソルキャリアでは、管理職のリアルを知ることを目的に、働き方や悩みなどについて、現役の女性管理職とフラットに話をすることができる「女性管理職座談会」を実施している。座談会の概要や成果、参加した社員の声について、DI&E推進の高木絢子、國分真里奈に話を聞いた。

課題は管理職に対するネガティブなイメージ

パーソルグループのDI&E(ダイバーシティ・インクルージョン&イクオリティ)では、「属性の多様性を理解」「価値観の多様性の受容」「能力の多様性を活かす」ことで、「はたらいて、笑おう。」を実感できる社会の実現を目指している。パーソルキャリアでは、まずは社員比率の高い女性*に注力し、2019年からさまざまな施策を行っている。その一つが、2021年から実施している「女性管理職座談会」だ。
*パーソルキャリアの女性社員比率は53%(2022年3月時点)

この座談会を開いたきっかけの一つが、「管理職への昇格意向の男女差」だったという。

國分: 女性社員の昇格意向が高くないことは、社内で定期的に実施している社員エンゲージメントサーベイの結果からも明らかでした。その理由は大きく2つあり、1つ目は自分自身の中で100%の自信がないと、管理職へ手をあげにくいことでした。2つ目は、管理職の働き方にネガティブな印象があるということ。昇格を期待される女性社員の多くが、労働時間や業務量の観点で、ハードな働き方が求められると強く感じていたと思います。

そこで、現役の管理職やメンバーとディスカッションし、管理職に関するネガティブな印象の原因は何なのかを見つめ直した。

高木: 結果、実際の仕事内容よりも『管理職』というものが大きく見えてしまい、等身大の管理職像が正しく伝わっていないのではないか?という仮説にたどり着きました。そこで、女性管理職とフラットに話してもらうことで、キャリアの選択肢に『管理職』が増える機会になればと、この座談会を企画しました。

管理職はあくまで選択肢の一つ。参加自体も自由意思=キャリアオーナーシップを尊重

座談会は、女性管理職1名と非管理職の女性社員1~3人がグループとなり、オンラインで実施している。

國分: 女性管理職には、管理職を目指したきっかけ、経験して初めて分かったこと、やりがい、働き方の工夫、苦労など、良いことも悪いことも含めてありのままの姿を開示してもらうようにお願いしています。その話を聞くことで、『管理職になった人も自分と同じように悩んでいたんだな…』『自分にもできるかもしれない、やってみよう』と、管理職をもっと身近に感じられるようになるのではと思っています。

座談会は2021年から複数回実施され、これまで累計約100人の社員が参加しているという。

座談会に参加しているのは、女性社員とひとくくりに言っても、働く部門やはたらき方、専門性や家庭状況など千差万別だ。そこでポイントとなるのが、管理職と参加社員の組み合わせ(マッチング)だという。

國分: 参加者に『自身の環境や状況と近く参考になる』『昇格後がイメージしやすい』と思ってもらえるように、マッチングには時間をかけています

こだわっているのは、参加者の希望にも配慮しつつ、4つの条件を満たす組み合わせだという。

國分: 1つ目は、管理職と参加社員が同じ職種であること。例えば営業職の社員には営業職の管理職、ミドルバックの社員にはミドルバックの管理職、という形です。日々行う業務ができるだけ近いほうが、管理職の働き方も想像しやすいのではと思います。
2つ目は、同じ職種でも事業部が異なることです。同じ営業でも、同じ事業部の管理職とマッチングさせることは原則ありません。これは、業務の状況や背景を深く知っている間柄ではないほうが、より俯瞰的に自身について話せることも増えると思っているためです。
3つ目は、社員の希望に応じて子どものいる管理職との組み合わせも考慮します。出産や育児と仕事のバランスなど、メンバーと管理職で、働き方などにどのような変化があるかを聴きたいという女性社員が多いからです。
そして最後に、以前の座談会で話した管理職とは異なる人物とのマッチングです。

こうして、ていねいにマッチングすることで、自分が管理職になるイメージがより具体化しやすくなるという。

「完璧な管理職像」はなく、自分のやり方でやればよい

これらのマッチングの効果もあり、座談会参加者のうち、約半数の社員の管理職への昇格意向が上がったことが、事前事後のアンケート結果から明らかになったという。

國分: 当社に限ったことではないかもしれませんが、管理職に必要な能力が一つでも欠けていると感じる場合、「完璧ではない私に管理職は無理」と考えてしまう傾向がありました。しかし座談会を通じて、「自分のやり方でいい、ありのままの自分でいいんだ」「昇格後、万が一自分には合っていないと思ったら別の道もあることを知り、もっと気軽に挑戦してもよいと思えた」などの感想がありました。管理職になることへの心理的ハードルが少し下がったのだと思います。

座談会参加後、管理職への昇格意向が上がった社員からは、「リアルを知ることができ、やってみようと思った」という感想が数多く届いたという。

<座談会事後アンケートから抜粋した参加社員の感想>

  • 「マネジャー業への漠然とした不安がありましたが、いくつかのTipsを聞けて不安をかなり解消することができた」
  • 「管理職になろうと思った背景について話を聞くことができ、自分も同じ思いだったため、一歩踏み出そうという気持ちになれた」
  • 「管理職になるということは、自身のライフイベントと天秤にかけて選択するものだと考えていたが、痛みは伴いながらも変えていける可能性があると感じることができた」
  • 「自分のスキルに不安を感じていたが、自分のやり方でやればよいと聞いて、心理的なハードルが下がった」

一方で、座談会に参加した管理職からは、参加メンバーがどう感じてくれたのかを知りたい、との声も複数寄せられたと國分は語る。

國分: 管理職からは、「参加しているメンバーがどう感じたのか知りたい」という声がありました。これは、常に自身のキャリアに真剣に向き合っている管理職だからこそ、後に続くメンバーのキャリアについても真摯に考えたい、応援したい、という気持ちの表れだと分析しています。また、「より早期にこのような話をする必要があると思うので、入社3年目ころのメンバーにも場の提供をしてはどうか」「年次が近いほど共感できる部分があるので、参加メンバーの年代は近いほうが進めやすく、満足度も高まるのではないか」など、今後の座談会をよりよい形にするための提案も数多くありました。

現時点では一部の社員から案内を開始しているが、参加は社員の自由。いまは専門性を極めたい、家庭を優先したいなど、社員自身が描くキャリアプランはさまざま。将来的には座談会の対象範囲を広げることを検討しているという。

高木: パーソルキャリアでは、「人々に『はたらく』を自分のものにする力を」をミッションに掲げています。今後会社としても社員一人ひとりに寄り添い、社員のキャリアオーナーシップ発揮を支えるための取り組みを進化、充実させていきたいです。

「キャリアの選択肢」を提示し、社員がキャリアオーナーシップを発揮して意志ある選択を応援できる環境を作りたい。この管理職座談会はその環境への第一歩といえるだろう。

 

※掲載している内容・社員の所属は取材当時のものです。

 

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