キャリア図鑑 第二新卒のリベンジ転職

キャリアの選択

【キャリア図鑑】Vol.1 第二新卒のリベンジ転職
「はたらく」について考える“癖づけ”が、今後のキャリアの可能性を広げる
「キャリアオーナーシップ」発揮のヒントを、自分らしい「はたらく」を
かなえた人たちの事例も交えながら探る

皆さんは、「キャリアオーナーシップ」と聞いて何を想像しますか?「キャリア志向な人」「意識が高い人」、または「成長し続けること」「キャリアアップしていくこと」…… そんなことを思い浮かべるのではないでしょうか。「キャリアオーナーシップを育む社会の創造」を目指すパーソルキャリアは、自分の可能性を信じ、自分の意思でキャリア、そして人生を選択することが、「キャリアオーナーシップ」だと考えています。本連載では、当社のサービスを通じ、自らが望む「はたらく」をかなえた人たちの事例も交えながら、「キャリアオーナーシップ」発揮のヒントを探ります。

今回は、doda桜井貴史編集長が、25 歳以下の第二新卒の転職をサポートしている、dodaキャリアアドバイザー川畑駿介に話を聞きました。

桜井 貴史(さくらい たかふみ)
doda編集長

川畑 駿介(かわばた しゅんすけ)
dodaキャリアアドバイザー

新型コロナを機に、大きく変わる第二新卒の転職市場

doda編集長 桜井(以下、桜井):今回は、自身も20代半ばで転職した経験を持つdodaキャリアアドバイザーの川畑さんと、25歳以下の第二新卒にとっての「キャリアオーナーシップ」、つまり自らの意思で「はたらく」を選択するとはどういうことなのか、転職事例も交えながら深堀りしていきます。

まずは、第二新卒の転職の実態を理解しておきたいと思います。新型コロナをきっかけに、転職市場は大きく変わりましたが、第二新卒はどうですか?

dodaキャリアアドバイザー 川畑(以下、川畑):コロナ禍の前と後では大きく変わり、第二新卒では「リベンジ転職」の動きが顕著になっていると感じています。2020年から24年卒は、学生時代に緊急事態宣言を経験しました。授業はオンライン化し、サークル活動もできない。アルバイトさえもできない。行動が制限され、人と出会う機会が一気に減ったことで、「はたらく」に関する情報を手にするチャンスや、経験するチャンスも限られてしまいました。

就職活動では、例えばウエディング関連企業や航空会社など、業界によっては採用を中止してしまい、トライすることすらできなかった。そして、インターンも会社説明会も面接もオンライン。状況の変化についていくことに精いっぱいで、就職活動がままならなかった人も多くいらっしゃいました。

本来であれば学生時代に、“自分探し”のために経験できるさまざまなことが新型コロナの影響でできなくなり、閉鎖的な社会の中で何がしたいのかよく分からない、何がやりたいか決まっていないまま就職してしまった。結果、入社前の想像と入社後の現実のギャップを痛感し、これまで以上に多くの第二新卒が、「やっぱりやりたかった仕事をあきらめきれない」、「まだ社会人経験が浅すぎるし、就活でもだめだったんだからきっと難しいだろう。でも…」という思いを募らせ、自らの「はたらく」に再トライしていることが、以前との大きな違いだと思っています。

桜井:希望する企業に就職できなかったから、もう一度就活をやり直す。そんな「リベンジ転職」は前からありますが、今のほうが活発なんですね。もちろん、今の仕事から得られる経験を大事に現職にまずは集中することもそうですが、自分の可能性を信じ、「リベンジ転職」に踏みきることも、自らの手で自分のキャリアのかじ取ることであり、立派な「キャリアオーナーシップ」の発揮といえますよね。

やりたいことの“根っこの部分”を掘り下げることが、自分らしい「はたらく」につながる

桜井:第二新卒では、具体的にどんな転職事例がありますか?

川畑:例えばこんな事例があります。何とか希望の職種に就ける企業への就職を勝ち取ったものの、ふたを開けてみたらまったく異なる業務を担当することに。さらに、当面の間は希望する職種には就けないことが分かり、社会人経験が浅いのに転職しても大丈夫なのだろうか、そもそも転職できるのだろうかという不安もあったようですが、夢をあきらめきれずに「リベンジ転職」したケース。

別の事例ですと、行きたい業界があったけれども、就活が思うようにいかず、タイムリミットが来てしまい内定が出た企業に就職。そもそも興味がある業界でなかったことに加え、就職した企業は教育体制が確立されておらず、成長できるイメージが持てず将来に不安を感じ、「リベンジ転職」したケース。そんな事例があります。

桜井:第二新卒を含むZ世代は、個、つまり「自分らしさ」を重んじる傾向が他世代以上に高いというデータもあり、自分らしくはたらきたいという思いが、彼らの意思決定を後押ししているのかもしれませんね。

川畑:自分らしくはたらきたい、自分らしいスキルを伸ばしたいという傾向は、明らかに高いと感じています。しかし、「はたらく」について本当に重要なのは、「自分らしさ」にひもづく、自分のやりたいこと、好きなことの“根っこの部分”をどれどけ掘り下げられるかだと思っています。

まずは、やりたいこと、好きなことをしっかり言語化する。
それがかなう業界はどこで、職種は何か。
希望する仕事に転職で就けたら、その先何がしたいのか。
今後訪れるであろうライフイベントも加味したときに、本当にその仕事はやりたい仕事、できる仕事なのか。

桜井:こういうことについて突き詰めて考えていくことが、自分らしい「はたらく」をかなえることにつながるということかもしれないですね。とはいえ、「はたらく」の経験がまだ浅い第二新卒にとっては簡単ではないはず。だからこそ、一人で考え込んで整理しようとせず、大学時代の先輩や友人、会社の同僚や先輩、上司など、信頼を置ける人とキャリアについて話してみるといいと思います。キャリアコーチやキャリアアドバイザーを活用するのもおすすめですよね。今やっている業務がどのようなスキルやキャリアにつながっているのか、案外自分でも分かっていないことはよくあります。そうしたことが今後どのように活きるのか、第三者から客観的なアドバイスを得ることも大事だと思います。

今後のキャリアの可能性を広げるために、「はたらく」について考える力を養う

川畑:第二新卒の転職サポートをしていて思うのは、自らが認識していなかった可能性、強みや弱み、さらには労働市場の変化や実態を知ること、そしてそれらをアップデートしていくこと、つまりキャリアや「はたらく」について考える“癖づけ”は、長く続くはたらく人生の糧になるということです。

桜井:考える“癖づけ”が、「はたらく」の選択肢を広げる。結果、将来的に自分の意思でさまざまな選択肢の中から「はたらく」を選ぶことができるということですね。

川畑:今後、新卒採用でジョブ型雇用が広がっていくと、従来のようなジョブローテーションでさまざまな部署、仕事を経験することが減ってしまう可能性があります。これまで企業から提供されていた、自分の可能性を発見する機会や自分に合った仕事、はたらき方を知る機会の一つがなくなってしまうということです。しかし、キャリアの選択を迫られるときがいつか必ず来ます。そうなったときに選べる自分でいたいですよね。

桜井:第二新卒の時期は、「キャリアオーナーシップ」を発揮するための種まきをしてほしいなと思います。今の仕事を頑張り続けることも、新しい挑戦をすることも、どちらも正解だと思います。その中で、自分は何に喜びを感じて、何を大事にしているのか。これまでの仕事の経験を踏まえて、自分の価値観を見つめ直したり、考えたりする時間がつくれるとよりよいですね。

doda編集長の「これがキャリアオーナーシップの種」

最後に、対談を通じ見えてきた、「キャリアオーナーシップ」の発揮につながる意思や行動を、「キャリアオーナーシップ」の種として紹介したいと思います。

①選択肢、可能性があることを理解する

今回紹介した事例からも分かるように、自身のキャリアに悩んだとき、「まだ社会人経験が浅いから……」「就活時もうまくいかなかったから……」と感じる第二新卒の方は多いと思いますが、「はたらく」の選択肢と可能性は自分が思っている以上にあるものです。そして、「はたらく」についてさまざま な選択肢、可能性を知ることは、大事なプロセスだと思います。まずはそれを理解するためにも、できることから一歩踏み出すことが重要です。信頼できる誰かに「相談」してみるのもよいですし、普段会わない旧友たちと仕事の話をしてみることもよいでしょう。もちろん、やりたいことがあるのであれば、将来的に希望をかなえるために「学ぶ」ことも、「異動希望」や「リベンジ転職」の可能性を探ってみることもよいと思いますし、今の場所で頑張ることも素晴らしい選択だと思います。

②キャリアについて考える“癖づけ”をする

キャリアについて考える“癖づけ”をし、自分のしたいこと、好きなこと、ありたい姿といった根っこの部分を掘り下げていくこと、そしてそれらを定期的にアップデートしていくことが大事です。今後、人生の節目で「はたらく」の選択を迫られるタイミングが訪れたときに、考える“癖づけ”ができていて、自分の根っこの部分がつかめていれば、さまざまな選択肢の中から自分で選ぶことができます。若いうちにこの力を養っておくと、今後のはたらく人生を自分らしいものにするための大きな武器になり得ると思います。

編集:パーソルキャリア広報部 

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