キャリア図鑑 Vol.2 20代後半の初転職

キャリアの選択

【キャリア図鑑】Vol.2 20代後半の初転職
 20代後半で感じるキャリアのモヤモヤを解消するカギは、“プチ”越境体験?
「キャリアオーナーシップ」発揮のヒントを、自分らしい「はたらく」を
かなえた人たちの事例も交えながら探る

皆さんは、「キャリアオーナーシップ」と聞いて何を想像しますか?「キャリア志向な人」「意識が高い人」、または「成長し続けること」「キャリアアップしていくこと」…… そんなことを思い浮かべるのではないでしょうか。「キャリアオーナーシップを育む社会の創造」を目指すパーソルキャリアは、自分の可能性を信じ、自分の意思でキャリア、そして人生を選択することが、「キャリアオーナーシップ」だと考えています。本連載では、当社のサービスを通じ、自らが望む「はたらく」をかなえた人たちの事例も交えながら、「キャリアオーナーシップ」発揮のヒントを探ります。

今回は、doda桜井貴史編集長が、中部エリアで転職のサポートをしている、dodaキャリアアドバイザー大桃千帆に話を聞きました。

doda編集長 桜井さん

桜井 貴史(さくらい・たかふみ)
doda編集長

大桃さん

大桃 千帆(おおもも・ちほ)
dodaキャリアアドバイザー

現職で経験を積めるのかという不安や友達の転職、 転職するなら20代というネット記事などがキャリアを見つめ直すきっかけに

doda編集長 桜井(以下、桜井):今回は、中部エリアのdodaキャリアアドバイザー大桃さんと、20代後半で初めての転職にチャレンジした人たちが、どのように「キャリアオーナーシップ」を発揮し、自分らしい「はたらく」をかなえたのかを転職事例も交えながら探っていきたいと思います。

Job総研の調査によると、初転職の平均年齢は28.2歳とのことです。確かにこの年齢層が多いイメージはあるのですが、実際のところどうなのだろうと思い、今回は「20代後半の初転職」をテーマに選びました。さて大桃さん、実際いかがですか?

dodaキャリアアドバイザー 大桃(以下、大桃):やはり、27歳、28歳で初めての転職を検討していて相談に来られる方は多いですね。理由は大きく3つあると感じています。1つ目は、このまま現職にいて大丈夫だろうかという「自分のキャリアやスキルへの不安」。2つ目は、友達が転職したこと、転職するなら20代のほうがいいというようなネット記事を読んだことなどをきっかけとした「30歳を目前にして自分のキャリアを考え直したい」、3つ目は、結婚など「今後のライフイベントを見越して」ですね。

桜井:“30”歳という年齢は、人生だけでなく、「はたらく」においてもターニングポイントの1つだと思います。5~6年はたらき仕事に慣れ始めて、ふと周囲の状況や自分の今の立ち位置を認識した際に、自分の将来に不安を感じる。この不安が、自分の今のキャリアと向き合い、今後のありたい姿を考えるきっかけになるわけですね。

実は、わたしは20代のころ、部署異動が多くて…。営業や制作、法務、事業企画等を転々とし、中途半端感がぬぐえなく、営業一筋で経験を積んで成績を残していく同期もいる中、30歳手前で「自分は何ができるんだろう」と不安に駆られていたのを今でも覚えています。客観的な意見が欲しかったこともあり、転職も視野に入れてキャリアアドバイザーにも相談しましたが、さまざまな選択肢を見たことで、最終的に現職で頑張る決意ができました。結果、いろいろな部署で経験を積み、さまざまな視点を身につけられたことで、もともとやりたかったプロダクト開発職に異動になったときに、それらの経験が活きたのはもちろん、ほかの人にはないユニークなキャリアになりました。

今後のキャリアが“不安”…それでも転職することをゴールにしてはダメ

桜井:具体的にどんな転職事例があるのか気になりますね。

大桃:では、3つご紹介したいと思います。1つ目は、「会社の将来性という観点から見たときの、自らのキャリアへの不安」です。つまり、倒産やM&A、事業縮小などにより自分の仕事がなくなってしまうのではないか、という不安から転職を決めるパターンですね。

こういったケースは不安が先行してしまっているので、次の会社でどんなことがしたいのかが明確になっていなかったり、はたらく上での条件の優先順位づけができていなかったりすることが多い傾向にあります。ですから、将来どうなりたいかも含め、「はたらく」の軸を整理することが非常に重要です。

桜井:転職することが目的になってしまっているのですね。状況から察するに、これまで積み重ねてきた経験やスキル、自分の強みや弱み、興味・関心をちゃんと認識していない一方で、それなりに転職先の選択肢はある。このような形で「はたらく」の軸が明確になっていないまま転職してしまうと、後で後悔することになりかねませんよね。

大桃:選択肢が多いことは、自分らしいキャリアをかなえられる可能性が高まるということです。でも、数ある選択肢の中から自分の軸で選ぶことができないと、最終的に年収などの条件面で選んでしまうことになりかねず、自分らしいキャリアを歩んでいけなくなる恐れがあると思っています。

スキルを身につけたい、経験を積みたいから転職する? 転職する以外の選択肢があることも念頭に

大桃:2つ目は、「スキルや経験という観点から見たときの、自分のキャリアへの不安」です。つまり、現職にいてもスキルが身につかないのではないか、経験が積めないのではないか。結果、このままでは自分自身の視野や、キャリアの選択肢が狭まってしまうのではないかという不安から、転職活動を行うパターンです。

実はこういうケース、転職すべきか迷っている人も多いのです。わたしのアドバイスとしては、迷っているなら転職活動してみる。わたしたちキャリアアドバイザーや企業の人事・採用担当と話すことで、自分では気がついていなかった強みを知ったり、想像以上にスキルが身についていることを知ったりするきっかけになるかもしれませんから。

そして同時並行で、今後現職で異動の可能性がないか、異動希望を出すことはできないのか、他部署だとどんな経験を積めるのかを人事や先輩、同期に聞いてみるといいと思います。両方やってみて、最後に自分が納得できるほうを選べばいいのです。そのほうがスッキリすると思いますし、結果、転職しないという決断をした人も、もちろんいます。

桜井:迷っているということは、転職したら後悔するかもしれないと思っているということですよね。今後スキルが身につくか、経験が積めるかは不安だけど、会社のことは好き、仕事内容も好き、一緒にはたらく仲間のことも好き。同じように転職先で思えるかは、残念ながら多くの場合、転職してみるまで分からないものです。ならば、今の環境で何ができるか、できることはないかを模索するのも1つの手ですね。

プライベート重視で自分の「はたらく」を決めたっていい

大桃:最後に3つ目として、最近ではこんな転職事例もあります、というのを紹介したいと思います。これは、「仕事は好きだけど、趣味も楽しみたいから残業を減らしたい」というパターンです。具体的には、海外旅行に行きたい、推し活したいなど理由はさまざまです。

とはいっても、転職できればどこでもいいというわけではないですよね。ですから、強みや得意なこと、これまで積み重ねてきた経験やスキルを活かせる、かつプライベートにも時間が割けるようなキャリアチェンジができると、私生活でも仕事でも自分らしくいられると思います。例えば、PR代理店の広報担当から事業会社の広報であったり、営業企画から営業であったり。

桜井:プライベートを楽しむためにはたらき方を変える。わたしもすてきだと思います。転職エージェントへの相談の際には、「自分本位な考えを受け入れてくれる会社はあるのだろうか」と半信半疑で相談に来る人が多そうなイメージがありますが、実際どうですか?

大桃:そういう方もいらっしゃいます。しかし、個人の趣味に対して柔軟な企業も多くなってきていると思いますし、実際にこういった転職がかなっていますよ!

桜井:「これはキャリアオーナーシップなの?」と思った人もいるかもしれませんね。ありたい姿は、決して仕事だけと結びつける必要はないと思っています。例えば、海外旅行を満喫している自分、推し活を楽しんでいる自分。そんな自分でいられるはたらき方を、自分で決める。これはまさに「キャリアオーナーシップ」の発揮ですよね。やはり、プライベートが充実すると仕事も頑張れますよね。

doda編集長の「これがキャリアオーナーシップの種」

桜井:ここまで3つの事例を紹介してもらいましたが、大桃さん、「20代後半の初転職」というテーマにおいて、「キャリアオーナーシップ」を発揮するために大切なことは何だと思いますか?

大桃:そうですね、初めての転職だからこそ、「自分はこういう価値観を持っている」「自分にはこんな強みがある」という内側からの気づきを得ることがとても重要だと思います。これまで腰を据えて自分と向き合う機会は実はあまりなかったと思いますし、自分のことを分かっていないと自分らしいキャリアは築けないですよね。

桜井:20代後半になると、仕事もだんだん分かってきて、職場でも信頼を得ていきますし、新人に教えたり、チームリーダーとして活躍したりしている人も出てくると思います。一方で、日々頑張っている中で、どうしても世界が広がらなくなってしまうこともあります。転職活動を通じて、キャリアアドバイザーや社外の人、古い友人たちとキャリアについて話すことで、いろいろな世界を垣間見られますよね。そういった意味で、転職活動は“プチ”越境体験だと思うのです。普段とは異なる環境に身を置くことで、自分と他人との違いを感じ、自分のこだわりや価値観を改めて見直すことができると思います。そして、個人的には、いろいろ体験し考えた上で、今は転職をしないという選択肢を持つことも、初転職だからこそ重要だと思います。

①    “プチ”越境体験してみる

所属する企業を離れ、これまでと異なる外部環境に身を置くことで、広い視野や新たな視点を得る。転職活動を通じ、そんな“プチ”越境体験ができます。社外、そして部署の垣根を超え社内のさまざまな人たちとコミュニケーションを取ることで、はたらくことに対して新たな気づきを得て、自分のこだわりや可能性にも気がつく。特に初転職に挑戦する人には、納得のいく決断をするためにも、積極的に“プチ”越境体験してほしいと思います。

②    「転職しない」という選択肢があることも念頭に置く

転職活動をしたからといって、転職しないといけないわけではありません。キャリアに悩んでいるなら、転職活動=“プチ”越境体験をしてみて決めてはどうでしょう。転職するにしろ、しないにしろ、自分と向き合い今後のキャリアについて考える良い機会になるはずです。

編集:パーソルキャリア広報部 

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