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イベント・メディア出演

B Dash Camp 2025に当社執行役員 森 宏記が登壇
~労働力不足の今、AIエージェントをどう活用するか~

スタートアップイベント「B Dash Camp 2025 Spring in Sapporo」において、パーソルキャリア執行役員の森 宏記が「シン・労働力~労働需要から見えるバーティカルAIエージェント最前線~」をテーマにしたセッションにモデレーターとして登壇しました。労働力不足という社会課題を背景に、AIエージェント※1活用の最前線と企業が取るべきスタンスを、スタートアップ・大企業双方の視点から議論。現場目線の熱量あふれるセッションの模様をレポートします。

※1 AIエージェント:人間がすべての手順を逐一指示しなくても、AIが必要な作業を自ら考えて実行するシステム。目標を設定すれば、AIが自ら計画を立て、実行し、環境に適応しながら行動するためさまざまな分野で活用が期待されています。

労働供給制約を乗り越える鍵は「シン・労働力」

2035 年には国内で 384 万人 の労働力が不足する※2と言われています。森は冒頭で「AI エージェントがその解決策になり得ないか?」という視点で、本セッションのテーマである“シン・労働力”の考え方について話しました。

AI エージェントは人材不足を補完するだけでなく、企業の価値創造を支える新しい労働力として組織に組み込むべき存在だと強調。約4兆円にもなるシン・労働力の潜在的な市場規模に対し、AIエージェントの進化はどこまで進んでいるのかを解き明かすセッションがスタートしました。

Allganize Japan株式会社 代表取締役CEOの佐藤氏は、すでに 100を超えるAIエージェントが実務で稼働している現状を紹介し、「業務の半分以上は AI で代替可能」と紹介しました。

一方、株式会社AVILEN 代表取締役 高橋氏は「AGI※3 の到来を論じるより、今この瞬間に顧客体験をどう再設計するかが重要」と述べ、体験価値を起点にした AI 活用の視点を紹介。議論は「人からAIに業務を置き換えるか否か」ではなく、「AI でどう価値提供していくか」へとシフトしていきました。

※2 参照元:労働市場の未来推計2035 - パーソル総合研究所

※3 AGI: Artificial General Intelligence(人工汎用知能)の略で、人間のような汎用的な知能を持つ人工知能のこと。AGIは、さまざまなタスクに対して人間と同様の知識や能力を持ち、独自の学習や問題解決ができる能力を持つとされています。

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企業のAI導入を阻む3つの壁と、それを突破するには?

株式会社BrainPad AAA COOの古角氏は、日本企業が AI を現場に根づかせる上で立ちはだかる壁として ①紙や部門ごとのシステムに分かれて保存されていて、AIが学習に使える形で集まっていないデータが多い、②外注依存でノウハウが定着しない『社内リテラシーの壁』、③ミスを許さない文化が生む『過剰品質志向』の3点を挙げました。

森は突破策として、パーソルキャリアにて取り組んでいる(1) 全社員が生成AIを気軽に試せる実験環境、(2)「全社活用」「業務改善」「顧客体験変革」のAI活用の3つのレイヤーごとの統括体制、(3)経営会議で利用率をKPI化する強制力あるガバナンスを紹介しました。クローズド環境で運用する社内版ChatGPTをパーソルキャリア全社員に開放した取り組みでは、わずか半年で利用率 80%超 を達成。その背景として、プロンプト事例を社内ポータルにストックしながら、役員陣が毎月の経営会議で活用状況をレビューすることで“使わざるを得ない”文化を醸成した点を紹介し、会場からも驚きの声が上がりました。

佐藤氏は「面倒くささを超えるUI/UXと小さな成功体験」、古角氏からは「失敗を許容する学習文化」の重要性が訴えられました。

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AI時代はブランド/サービスの哲学が顧客体験の差に

AI エージェントが汎用化する中で、顧客が体感する“違い”を生むものは何か、という議論では、テクノロジーそのものではなく、各社が持つブランド/サービス哲学であると語られました。高橋氏は「同じ人材紹介業でも、キャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザーが候補者や企業と築いた“間(空気感ややりとりのニュアンス、信頼関係など)”がデータに刻まれ、やがて AI の人格を形づくる」と指摘。古角氏は工場などの現場の作業動画など非構造化データを取り込むことで、企業カルチャーを映す“現場の温度”まで再現できると述べました。佐藤氏は、「利用者の意図を先回りしてサポートする体験を実現するには、プロダクトの裏側にある価値観を AI に浸透させる必要がある」と強調。森は「AI は余剰人員の代替ではなく、“シン・労働力”として企業の価値創造を担う存在。だからこそブランドらしさを明確にし、人と AI の役割を再設計すべき」と締めくくりました。

パーソルキャリアとして社会課題である「労働力不足」とどう向き合うか

「人々に『はたらく』を自分のものにする力を」──これはパーソルキャリアが掲げるミッションです。AI エージェントが「労働力代替」となるという視点は、一見するとこのミッションと矛盾するように感じられるかもしれません。ですが私たちは、AI活用が進む未来の「はたらく」を高解像度で捉えなければ、はたらく人一人ひとりに適切な選択肢を提示できないと考えています。AI は雇用を奪う存在ではなく、むしろ新しい雇用機会とキャリアの形を創出する可能性を秘めている——その前提に立ち、日本の社会課題である「労働力不足」に対して向き合っていきます。

 

B Dash Camp 2025概要:B Dash Camp 2025 Spring in Sapporo|B Dash Ventures

編集:パーソルキャリア広報部 

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