柔軟なはたらき方

週4勤務でコーチングを副業に
私らしい働き方を実現できるFLASH制度とは

近年、リモートワークや時短勤務、副業など「はたらき方」が多様化している。背景には、職場におけるダイバーシティの推進や新型コロナウイルスの影響、社員のライフスタイルの多様化などがあり、企業には、それぞれの事情に合わせたはたらき方が柔軟に選択できる取り組みや、既存の制度の見直しが求められている。

パーソルキャリアには、就業日や時間を短縮できる制度「FLASH(フラッシュ)」がある。これは、社員が多様にはたらきながら、自身が描くキャリア実現をサポートするために作られたものだ。
今回は、制度運用を担当する人事サービス推進部の孫美世と、週4日パーソルキャリアの業務、週1日副業というはたらき方を選択したエージェント事業本部 組織開発統括部の戸井洋子に話を聞いた。

孫 美世 人事本部 人事サービス推進部 アシスタントマネジャー
戸井 洋子 エージェント事業本部 組織開発統括部

パーソルキャリアの「FLASH制度」とは

「FLASH制度」とは、一人ひとりのライフイベントに応じて社員に時間的ベネフィットを提供することを目的とした人事制度。2016年4月1日に導入され、FLASH制度を申請した社員は、はたらく日数・時間・場所・休業/休職を選択できる。FLASHは下記の5つの頭文字から名付けられた。社員それぞれの希望や状況に応じて、勤続期間など一定の要件を満たせば利用できるという。

「育児や介護に限らず、さまざまなライフイベントを迎える社員が柔軟にはたらくことができ、継続的なキャリア形成をサポートする制度を拡充したい」

制度創設のきっかけについて、人事サービス推進部 アシスタントマネジャーの孫美世はいう。

孫: FLASH制度運用開始後、さまざまな理由で多くの社員が利用しています。また、社員のニーズもあったことから、導入時にはなかった不妊治療での時間調整や休暇を、「Family」に追加するなど、適用範囲を拡大しています。人事制度は導入して終わりではなく、社会の変化や社員のはたらき方の変化やニーズに合わせて見直す必要があります。今後も、対象要件や申請期間の見直しなども含め、柔軟に対応していきたいと考えています。

次に、実際にFLASH制度の「Social」を利用して、副業を始めた社員の声を紹介する。

【社員体験談】「人と会えない」状況が副業への一歩になった

エージェント事業本部 組織開発統括部に所属する戸井洋子は、自社メディアの運営や組織開発などに従事している。2021年10月からは、FLASH制度を使い週4日パーソルキャリアに勤務し、週1日を副業に充てている。

戸井が副業を考えたきっかけは、新型コロナの影響で外出頻度が減り、人と会う機会が少なくなったことだった。

戸井: 以前は社外で開催される、さまざまなセミナーに参加し、異業種の方と情報交換をするのが楽しみでした。休日も友達と食事に行くなど家にいることがほぼなかったのですが、コロナですべてできなくなってしまったんです。

副業に興味はあったものの、現実的に考えたことはなかった。しかし、家にいる時間が長くなったことで「今ならできる」という思いが強くなったという。

「何を副業にするか」を考えたとき、戸井は以前から興味があったコーチングを選択した。現在は、オンラインセッションを通じて、利用者が「本当にやりたいこと」を見つける、3カ月間のコーチングプログラムを企画運営し、コーチとして伴走している。

戸井: 「やりたいこと」は仕事の中にあることが多く、コーチングを通じて利用者の得意分野や活躍したい分野、大事にしていることを、言語化するサポートが主な役割です。現在は、7人のコーチングをしています。

「多様なはたらき方を認め合う土壌」が週4勤務を可能に

FLASH制度では1日あたりの勤務時間を減らして、その分を副業に充てる方法もあるが、戸井は週4日勤務、週1日副業のはたらき方を選択した。

戸井: 私は、一度着手したら最後までやり遂げたいと思う性分です。それを理解している上長から、「戸井さんは、1日の勤務時間を短くしても、途中で仕事を切り上げられないでしょう? それなら、1日休んで副業に充てたほうがいいと思う」と提案され、確かにそうだと納得しました。実際に今のはたらき方はメリハリがあってはたらきやすいと感じています。

週4勤務となると仕事の調整や職場のフォローが必要になるため、周囲の反応が心配だったが、「そうなんだ! 頑張ってね」と、伝えた戸井本人も驚くくらい快く受け入れてくれたという。それは、制度を利用しながら異動した先の部門でも変わらなかった。オフィスには出社せずフルリモートで仕事をするメンバーがいるなど、「はたらき方や場所を柔軟に選択できる」土壌が組織全体に醸成されていることが、チームの協力体制につながっている、と戸井は話す。

戸井: 外部のコーチ仲間にも副業者は多いですが、私のはたらき方について話をすると、「理想的だね、うらやましい!」といわれることもあります。改めて、私の今の状況はチームメンバーなど周囲の助けがあってこそ実現できているんだなと思います。会社にサポートしてもらっているという思いも強く、パーソルキャリアへの貢献欲求も高まりました。

また、パーソルキャリアの業務でこれまでのようにアウトプットが出せるかということにも不安に感じていたという戸井。実際、勤務日数は1日減っているが、任される業務や裁量は大きく変わっていないという。

戸井: 副業を始めてからは限られた時間内で仕事をしなくてはいけないので、時間に対する意識が大きく変わりました。「この時間まで」と終わりの時間を決めて資料を作成したところ、残業して仕上げたものとクオリティ面でほぼ変わらなかったんです。そこに気付けたこと、生産性の向上につなげられたことが大きかったですね。お休みの日のサポート体制も万全で、本当にありがたい環境で働けていると思っています。

副業で得た「3つのスキル」が本業でも好影響をもたらす

また、戸井は副業で得た3つのスキルがパーソルキャリアの業務にも還元できていると話す。

戸井: 1つ目は、テキストコミュニケーションで培った「文章構成力」です

コーチングでは、利用者の方とコミュニケーションアプリでやりとりをする機会も多く、必要なことをすべてテキストで伝えなくてはならないこともある。そこで、順序やボリュームを考えながら、相手に伝わりやすい文面を作成するスキルが必要となる。この経験のおかげで、伝えたい要素を入れすぎて冗長になりがちな企画書を簡潔に作るコツが分かったそうだ。

戸井: 2つ目は、チームメンバーとの「関係性の構築」です。特に、コーチングのスキルを習得するにつれ、自身の受け身のスタンスを見直すようなりました

以前の戸井は、パーソルキャリアでのチームメンバーには「困ったことがあったら答えるよ」というスタンスだったという。しかし、今はコーチングスキルを活かしてチームメンバーに積極的に働きかけるように気を付けている。戸井自ら声をかけて1on1をするようにし、メンバーともより深く関係性を築けていると感じているそうだ。

そして、3つ目は「モチベーション向上」だ。

戸井: コーチングで実施している振り返りを、パーソルキャリアのチームメンバーとも実施しています。私たちの部署は、成果が数字に表れる業務ではありません。だからこそ、自分たちでモチベーションをコントロールすることが大事だと思っていて。メンバー同士で、業務に対しての「good(良い面)、more(改善点)」をフィードバックしています。今の課題は「more」の精度を上げること。成長意欲が高いメンバーが多く、「more」を欲する声が多いので、今後はメンバー同士でうまく伝える方法を考えていきたいです

ほかにも副業先で自分とは異なる考え方やアプローチを学べること、それを参考にパーソルキャリアの業務で新たな手法を取り入れて試せることなど、パーソルキャリアの業務、副業を行うからこその成長スピードの速さや、得られることの多さを実感しているという。

副業で気持ちの切り替えがスムーズに モチベーション向上にもつながる

副業を経験したことで、自分軸ではたらけるようになったという戸井。マインド面にも2つの大きな変化があったという。

戸井: 1つは、「私は今やりたい仕事ができている」という感覚を持てるようになったことです。これまでは他者の評価を気にしてしまっていたけど、自分で選択したはたらき方だからこそ自分軸で仕事ができていると実感します。
もう1つは気持ちの切り替えがうまくできるようになったこと。パーソルキャリアの業務でうまくいかないことがあると、休日も引きずってしまうことがありましたが、副業を挟むことで切り替えられるようになりましたね。

これからも現在のはたらき方を続けたいと話す戸井。副業の経験やスキルを活かして今後は「コミュニケーションの設計に携わること」に挑戦したいという。

戸井: コミュニケーションのプロとして、トップダウンやボトムアップだけでなく、斜めの関係性を構築できるような社内コミュニケーションの設計に携わることが目標です。パーソルキャリアの業務・副業どちらにおいても、「ここで働いていて良かった」と思う人を増やしたいです。

最後に、利用者の観点からFLASH制度について聞いた。

戸井: FLASH制度は、「自分がやりたいこと」に挑戦できる機会を会社からもらっているようなもの。たとえば、「ほかにやりたい仕事がある」と転職を考えている場合、それを副業でやってみるのも一つの方法だと思います。せっかくいい制度があるので、ぜひ活用してほしいです

副業を機に「公私ともにハッピーになった」と笑顔で答える戸井。彼女を支えるチーム全体にも、モチベーション向上などの好循環が生まれている。1人の社員の選択が、チーム全体のキャリアオーナーシップを育んでいるに違いない。

編集:藤田佳奈美、パーソルキャリア広報部 ライター:畑菜穂子 (制作:プレパラート)

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