柔軟なはたらき方

キャリアオーナーシップとは?
パーソルキャリアの取り組み「FLASH」を紹介

人生100年時代を迎え、定年が延長されたことにより個人の職業人生が以前よりも長くなっている。そのようななかで重要になるのが、キャリアを自分自身で考え選択していく力、キャリアオーナーシップだ。これからの時代に必須となるキャリアオーナーシップが求められる理由や概念と、特にキャリアオーナーシップを大事に考えているパーソルキャリアでの取り組みを紹介する。

キャリアオーナーシップとは

キャリアオーナーシップは経済産業省 中小企業庁の報告書では次のように定義されている。

 

「個人一人ひとりが「自らのキャリアはどうありたいか、如何に自己実現したいか」を意識し、納得のいくキャリアを築くための行動をとっていくこと」

つまり、キャリアオーナーシップとは自分自身のキャリアに対してオーナーシップを持つ(=主体性を持って取り組む意識を持つことや、行動する)ことを意味する。

キャリアオーナーシップの言葉から、「昇進・昇格」を思い浮かべるかもしれない。しかし、昇進・昇格だけを望むわけではなく、本人の考え方や価値観に基づいて、出産・育児、介護などを含め、ライフステージの変化に合わせてキャリアを柔軟に築いていく。これがキャリアオーナーシップの本質だ。

キャリアオーナーシップが注目されている理由

キャリアオーナーシップが注目されている理由には、次のような背景がある。

  • 少子高齢化・人口減少
  • 人生100年時代
  • 産業構造の変化
  • グローバル化

これらの背景により、個人の職業人生は長期化する一方でスキルの寿命は短期化している。つまり、1つのスキル・経験だけで生き残るのは難しい時代になっているともいえる。そのため、今後ははたらきながら学ぶことが大切になっていく。
「何を、どのように学び」「その学びをどうやってキャリアに活かすのか」を自分で選択する、キャリアオーナーシップという概念が注目されているのはこのためだ。

また、2018年に実施された神戸大学の調査では、所得や学歴より「自己決定」が幸福度を上げることが報告されている。自らの生き方を自分で選択するキャリアオーナーシップを持つことで、人生における幸福度が向上するのだ。

キャリアオーナーシップの5つの中心概念

キャリアオーナーシップを実行するうえで大切な概念が5つある。
これはパーソルキャリアがキャリアオーナーシップに深く関係するであろう「自己論」「主体性」「仕事観」「人生観」などの要素について、書籍24冊を元に独自の視点で研究・構造化したものだ。ここでは簡単にその内容を説明する。(出典:パーソルキャリア キャリアオーナーシップリビングラボ

1. 軸を起点にありたい自分の生き方を構想する
…自分らしく生きるための軸を持つ/未来起点でキャリアを設計する
2. 自己を理解し、仕事を通して自己実現・表現する
…仕事を通して自己実現する/個性を理解し自己を表現する/挑戦することで未来を切り開く
3. 心の内側にある好奇心やモチベーションを起点に行動する
…モチベーションを維持する/精神エネルギーや好奇心を大切にする
4. 新しいものを受容し、自己変容を積み重ねる
…学びを積み重ねる/新しいものを受け止める
5. 自分自身・周囲と調和し、好循環を生み出す
…循環を促し自分自身を整える/会社や環境と調和する

この概念の詳細をまとめた資料をオープンデータとして公開しているが、実際にこれを個人で保ち続けるのは難しいこともある。そこでパーソルキャリアでは、社員の「キャリアオーナーシップを育む取り組み」を重視している。

キャリアオーナーシップへのパーソルキャリアでの取り組み

個人がキャリアオーナーシップを育むためには、企業側も柔軟なキャリアを築いていくための制度を整える必要がある。パーソルキャリアでは、さまざまなキャリアオーナーシップを育む制度・取り組みを設けており、今回はその一部を紹介する。

キャリア開発支援

パーソルキャリアでは、社員が自らの意思でキャリアの開発を行えるよう、下記のような支援を行っている。

制度名             カテゴリ            概要
キャリアチャレンジ制度          グループ内異動制度        公募型の異動制度。パーソルキャリア内はもちろん、国内外のグループ会社間での異動が可能。国や地域、部署や職種の枠を超えたキャリアプランを実現できる
ジョブトライアル           キャリア選択制度         1カ月最大8時間×3ヶ月の間で、別部署の業務を体験できる制度。公募型で、グループ内で募集があればチャレンジできる。募集の約8割がリモートワークによる参加案件のため、勤務エリアを選ばず応募可能
アット@          公募型研修プログラム          社員の主体的な変化・成長の後押しを目的とした公募型研修プログラム。NPOとの協業研修や、地域を舞台にした課題解決型実践研修などを実施
PALMS         e-learningシステム         「いつでも、どこでも、ビジネスに必要なことが学べる」をコンセプトにしたe-learnigシステム。PCスキルやビジネス知識基礎、マネジメント知識などが学べる
Drit(ドリット)          イノベーション強化プログラム社外からも応募可能な新規事業創出プログラム。起案段階から伴走してフィードバックやサポートを行い、事業化をバックアップする公募制度
みんなの部活            グループ内コミュニティパーソルグループ内のコミュ二ティ。200以上の部活に2,000人以上が参加(2023年2月時点)。さまざまな人との交流により、キャリアに対する価値観や考え方を養える

キャリアオーナーシップを持ち、仕事を含めどういった人生を送りたいのかを明確にするためには、まず自分に向いていることや好きなこと、興味があることを知る必要がある。これらを知るためには、自分を見つめて何をしたいのかを見極めることが大切になる。パーソルキャリアでは、上記のように自分を知り、自分の挑戦を形にできる機会を豊富に用意している。

ライフステージに合わせたはたらき方の選択肢

キャリア観はライフイベントによっても左右され、特に結婚・妊娠・出産・介護・病気によって仕事への考え方が変わる人も多い。キャリアとライフイベントは密接に関係しており、状況によっては仕事を辞めざるをえない人もいる。パーソルキャリアでは「はたらいて、笑おう。」というグループビジョンのもと、社員がライフイベントによって「辞めたくないのに辞める」状態にならないよう、人事制度「FLASH(フラッシュ)」を設けている。

  • Family(育児・介護・不妊治療)
  • Learning(留学・通学)
  • Avocation(リフレッシュ・趣味・余暇活動など)
  • Social(地域活動・社会活動)
  • Health(医師の指示による療養・治療)

制度名は、「長い人生の中で一瞬(FLASH)は、立ち止まる時間も必要だ」という趣旨で、5つのシチュエーションの頭文字をとって「FLASH」とした。次項から各シチュエーションについての詳しい内容を説明する。

■Family(ファミリー:育児・介護・不妊治療)

Familyは、育児や家族の介護、不妊治療に伴う休業が必要な社員が利用できる時短・休暇制度だ。2016年にFLASHを導入するにあたり、次のように内容を変更した。

制度名導入前導入後
育児時短勤務小学校就学まで中学校就学まで
介護時短勤務最長93日最長1年
育児休業最長で子が1歳6カ月になるまで最長で子が2歳になるまで
介護休業最長93日最長1年
不妊治療なし最長1年(※2018年に追加)

 

主な変更内容は利用可能期間の拡大だ。また、休業を含め、柔軟なはたらき方ができることによって、自分や家族の環境を整えることができる。

■Learning(ラーニング:留学・通学)

Learningは仕事の成果につながる勉強や新たなインプットをしたいと考えている社員のための時短・休暇制度だ。対象者要件を満たせば最長1年間の時短勤務、あるいは最長2年間の休業が可能。留学・通学など、スキルアップ期間として活用できる。

■Avocation(アヴォケーション:リフレッシュ・趣味・余暇活動など)

Avocationは、勤続年数の長い社員のうち、趣味や余暇活動に時間を割きたい社員や、リフレッシュしたい社員向けの時短・休暇制度だ。対象者要件を満たせば、理由を問わず最長1年間の時短勤務、あるいは最長1年間の休業が可能となる。

■Social(ソーシャル:地域活動・社会活動)

Socialはボランティアや地域の活動などに参加したい社員向けの時短・休暇制度だ。対象者要件を満たせば、最長1年間の時短勤務、あるいは最長1年間の休業もできる。また、副業での週4日勤務などにも使用可能。


 

■Health(ヘルス:医師の指示による療養・治療)

Healthは、けがや病気などによりやむを得ず休職や就業制限が必要になるケースに適用される。

キャリアオーナーシップを意識してはたらくことのメリット

これからの時代、必須とされるキャリアオーナーシップ。自分自身がキャリアのオーナーとなり、はたらくことには次のようなメリットがある。

自分の市場価値を高める
前述のとおり、これからは1つのスキルや経験で生き残るのは難しいことも多くなる。会社に頼りきらず、能動的にスキルや資格を取得していく必要がある。そのためには、今の立場で求められているものや、自分に足りないものを見つめ直し、強化していく必要が生じる。これは自分の市場価値を高めていくことにもつながる。市場価値が高まれば、昇給やヘッドハンティングなどの可能性も出てくるため、さらにキャリアの選択肢が広げられるはずだ。
ワーク・ライフ・バランスが取りやすくなる
前述の通り、キャリアオーナーシップはキャリアアップだけを意味するわけではない。たとえば、子育てや介護などを機にフルタイムからパートに勤務形態を変更することもキャリアオーナーシップの一つだ。大切なのは、自らの意思でキャリアを選択することにある。

ただし、状況によっては勤務形態や時間の変更が難しく、退職を考えることもある。パーソルキャリアの「FLASH」は、まさにはたらき方を変化させる制度であるため、長期的に仕事を続けられる環境を大切にしている。

キャリアオーナーシップで自分らしく“はたらく”選択肢を

自らの意思で行動し、キャリアを築くことを指す「キャリアオーナーシップ」。しかし、ライフイベントに伴うキャリア変更など、自分の意思と行動だけではどうにもならないときがある。パーソルキャリアの「FLASH」では、育児・介護・不妊治療や病気などのさまざまなライフイベントに対応することで、社員一人ひとりのはたらき方・生き方をバックアップし、よりキャリアオーナーシップを持ちやすい環境づくりに取り組んでいる。

編集:パーソルキャリア広報部 

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