心身の健康

心身の健康

パーソルキャリアのヘルスリテラシープロジェクト
「はたらきやすさ」の変化をレポート

パーソルキャリアでは、DEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)の一環、また社員のキャリアオーナーシップを育む土台には「心身の健康」が大事であるという考えの下、社員の「ヘルスリテラシー」の向上に取り組んできた。2023年は女性特有のヘルスリテラシーをテーマに複数のセミナーを開催したり、低用量ピルの購入代金の全額会社負担を試験的に実施したりと、さまざまな取り組みを行った。
今回はこの一連の取り組みで、会社でのはたらきやすさはどう変わったのかをレポートし、今後の課題と解決方法についてパーソルキャリアのDEI推進部の担当者に聞いた。

過去1年間のヘルスリテラシープロジェクト~活動まとめ~

2023年の年初から1年間、下記のような活動を中心に社内での取り組みを行ってきた。

活動概要関連記事
①生理とPMS(月経前症候群)、管理職向けセミナー部下は上司に生理での体調不良を相談しにくい、上司は相談されてもどう対応してよいか分からないという課題を向き合うため、管理職が必要なリテラシーを身につけられる機会を提供。https://www.persol-career.co.jp/newsroom/own_your_career/health/20230303_1012/
②生理とPMS(月経前症候群)、当事者の女性向けセミナー生理やPMSの症状は個人差があり、症状の重さを人と比べることは難しく、病気のサインを見逃してしまうことも。そこで当事者も正しく知識を持ち、対処法を学べるセミナーを実施。https://www.persol-career.co.jp/newsroom/own_your_career/health/20230310_1013/
③コンビニで買える、生理痛・PMSを和らげる食材について学ぶイベント忙しい日々の中でも健康維持・向上につなげてもらうことを目的に、手軽に買える「生理痛・PMS」の症状を和らげるコンビニ食材や、効果的な食べ方について紹介。https://www.persol-career.co.jp/newsroom/own_your_career/health/20230407_1132/
④生理痛・PMSに対する適切なマネジメントを学ぶイベント①での学びをより深めるために、部下から体調について相談されたときの具体的な対応方法について講座・ワーク形式のイベントを実施。https://www.persol-career.co.jp/newsroom/own_your_career/health/20230512_1137/
⑤ヘルスコーチで健康維持健康アドバイザーが社員一人ひとりの体調・体質に合わせて、生活習慣などの改善提案をする全2回のオンラインセッションを提供。https://www.persol-career.co.jp/newsroom/own_your_career/health/20230616_1186/
⑥オンライン診療を活用した婦人科受診と低用量ピルの服薬支援はたらく女性の健康課題改善をサポートする法人向けフェムテックサービス「ルナルナ オフィス」を試験的に導入。 

アンケート結果から見る、はたらきやすさの変化

LIFEM社が提供する女性特有の健康課題への取り組みに関する職場環境アセスメント『ルナルナオフィス チェック』を実施した結果をもとに、今回の取り組みについて振り返る。

(図表1)は、「制度面」「リテラシー面」「コミュニケーション面」「多様性などへの考え方」の4要素で、パーソルキャリアが女性にとってはたらきやすいかを評価したものである。

(図表1)

総合評価

<アンケート取得日>
前回(破線):2023年1月13日~2月6日 今回(実線):2023年11月6日~27日

今回大きく評価が上がったのはリテラシー面だ。各スコアの算出方法(図表2)でリテラシー面の内容を確認すると、評価のための細かい項目がある。「全社教育環境」「女性リテラシー」「男性リテラシー」の3つだ。

(図表2) 

図表2

リテラシー面での各項目の評価について前回と今回を比べたものが(図表3)だ。

(図表3)

図表3

「全社教育環境」が前回の調査では45.0点だったが、今回60.8点に大きく改善していることが分かる。これこの1年間でさまざまな取り組みを行ったことが奏功したといえる。

見えてきた課題「制度面での使いにくさ」

(図表1:再掲)  

図表1再掲

一方で、今回評価が上がっていない点として「制度面」が挙げられる。では具体的に何が課題なのかを詳しく見てみた。

(図表4)

図表4

図表4から、「制度の充実度」「利用の簡便さ」が低いことが見て取れる。詳しくコメントを見てみると、今回のセミナーが「生理・PMS」や「女性特有の症状」をテーマに行っていたので、「生理休暇」や「妊娠中のトラブル」などについて多く寄せられた。

<制度へのコメント>
・「生理休暇」という名称が上司に言い出しづらい
・男性だけでなく、同じ女性でも生理痛が軽い人からは休めていいねと思われそう
・生理休暇を半日取得できるようにしてほしい※1
・制度があってもフォロー体制がないので、結局休めない
次世代育成休暇※2はあるが子育て・不妊治療のみの適用なので、妊娠中でも使えるようにしてほしい
・妊娠中の体調不良や生理痛などリモートワークで代替できるようにしてほしい

※1:パーソルキャリアでの生理休暇は1日目が有給、2日目以降は無給。半日取得は不可。
※2:次世代育成休暇は、子育てや不妊治療中の社員が家族を理由に年間最大12日間の有給休暇を取得できる制度(一定の条件あり)。

不公平感を軽減し、全社員が使いやすい制度に向けて

アンケートのコメントでは制度そのものではなく、心情的にも使いにくいことが課題として挙げられた。この結果を受け、各制度の担当部署である人事サービス推進部ライフサポートグループの孫美世マネジャーに話を聞いた。

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孫 美世(そん みよ)
人事サービス推進部
ライフサポートグループ  マネジャー

孫: 現在、担当部署内では、生理休暇や次世代育成休暇のみならず、半日取得を可能な特別休暇や、体調不良などで利用できる休暇を整備してはどうかという議論を始めています。誰しも体調不良にはなりますし、その際休める制度や環境をつくるのも会社として大事だと考えています。

一方で、「生理休暇」という名称が言い出せず休暇を取りにくいというコメントも上がっていたが、それについてはどう思うか聞いてみた。

孫: 実際、社員から直接そういった声も聞きます。もちろん名称の変更も含めて検討は必要ですが、本質的な課題は「名称」ではないと考えています。社員に「上司に言いにくい」という理由を詳しく聞くと、そもそも上司とのコミュニケーションがあまり円滑に行われていないケースもありました。生理や生理休暇がタブー視されるのではなく、社員同士のコミュニケーションが活性化し、開示したことを受け入れられる心理的安全性が保たれるようになることこそが重要ではないでしょうか。

多様性を育む社内セミナーの継続

社内のコミュニケーションがまだ足りていない部分はある一方、今回の取り組みを通じて、セミナーを受講した部門では「体調不良を伝えることを躊躇する」と考える人が減少した。(図表5赤枠)

(図表5)

図表5

また、ほとんどの人が、今回の施策のように「女性の健康課題を考えることに賛成」とする結果(図表6)が出た。

(図表6)

図表6

以上のように、態度変容にも一部寄与した結果となった。そこで、今後の社内のヘルスリテラシー向上への取り組みについてどうしていくのかを、担当部署であるDEI推進部DEI人事推進グループの加藤杏奈に聞いた。

加藤さん

加藤 杏奈(かとう きょうな)
DEI推進部 DEI人事推進グループ

加藤: 2023年のセミナーは部署を限定しての取り組みでしたが、2024年は全社員に拡大します。当事者の女性向けのセミナーは性別関係なく参加は任意ですが、管理職向けの生理・PMSセミナーは全管理職が受講することになりました。こうしたセミナーを通じて学び、正しい知識を持ってメンバーとのコミュニケーションを取れるようになる土台を作っていきたいと考えています。

1年行っただけでは、なかなか浸透とまではいかない。継続的に行うことで身につき、習慣化していく。パーソルキャリアでは、これからも社員のヘルスリテラシー向上に向けて取り組みを続け、一人ひとりがキャリアオーナーシップを育める環境づくりを推進していく。

編集:パーソルキャリア広報部 

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