Vision 人材業界(HR)のこれから
人口構造の変化、テクノロジーの浸透、価値観の多様化、世界的パンデミックにより、個人も企業も新たな「はたらく」のあり方を模索する時代に突入しました。
その時代の中で、新たなキャリアの選択や構築に取り組む個人が増え、一方で企業の人的資源の獲得・活用はより難易度が高まっているのです。
ここではそんな社会背景から、なぜいまHR領域のサービスが社会・個人から求められ、注目されているのかを解説します。
先の読めない不確定な時代「VUCA(ブーカ)」への突入
完全自動運転や5Gなどをはじめとする技術革新、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の台頭、経済のグローバル化。さらには新型コロナウイルスのようなパンデミックの発生による社会構造の変動など、世界は現在進行系で目まぐるしく変化し続けています。
「VUCA(ブーカ)」とは、「Volatility(変動性)」、「Uncertainty(不確実性)」、「Complexity(複雑性)」、「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字から成る言葉で、まさしく今「VUCA」が常態化した時代になってきています。わたしたちは、先の読めないこの激動の時代を生き、働き抜かねばならないのです。
「人生100年時代」の到来と人手不足
医療技術の進歩、衛生環境や食生活の改善により、個人が100歳まで生きることは夢物語ではなくなってきました。その分、人口構造としては、高齢者が増え、働きざかりといわれる生産年齢の人口が減少していきます。それに伴い、超高齢化を前提にした人生設計や、新しい人口構造で社会・経済を支えるこれまでとは異なるはたらく仕組みが必要です。
一方で、企業の寿命は短くなっています。2019年の倒産企業の平均寿命は23.7年に。業種別の平均寿命は、最長の製造業でも34.9年、最短の情報通信産業ではわずか16.7年です※1。
このように企業寿命が短命化し、はたらく個人が高齢化している状況下において、生涯を通じて複数の企業ではたらくということは、今後さらに一般的なことになるでしょう。
また、日本社会を支えるにおいて、はたらきたくてもはたらけていない人に機会を提供し、社会全体で適材適所を行うことで一人ひとりのパフォーマンスを向上していくことが重要です。
※1:東京商工リサーチ、2019年「業歴30年以上の『老舗』企業倒産」調査
人口構造の変化により、
生産年齢人口が大きく減少
2030年に向け人手不足はさらに加速していく
「ジョブ型雇用」へのシフトが進む
現在、社会・経済環境の急激な変化によって「日本型雇用(メンバーシップ型雇用)※2」の限界が指摘されています。例えば、組織が高齢化したり、グローバル人材や専門人材を採用することが難しいなどの課題があります。こうした中、組織に必要な仕事内容に合う人材を採用する「ジョブ型雇用」への移行が注目されています。
「ジョブ型雇用」への転換が進めば、はたらく一人ひとりが自らの機会と可能性を見つめ直す必要性がさらに増していくでしょう。つまり、自分自身の「はたらく」をそれぞれで描くことが、より重要になっていくのです。
※2:日本の雇用は「メンバーシップ型」とされ、新卒で入社した企業に定年まで勤務、定期異動によりジェネラリストを育成し、給与は年功的に上がっていくという特徴があります。
「はたらく」と「ビジネス」がテクノロジーで変わる
新型コロナウイルスの感染拡大により、「はたらく」の形が急速に変わり始めました。
場所に縛られないテレワーク、オフィスの在り方の見直し、副業の解禁といった動きが一気に加速。新しい「はたらく」の形が現在進行形で誕生しています。
こうした「はたらく」の進化を支えているのが、インターネットを中心としたデジタルテクノロジー。クラウドによる人事データ管理やAIを活用した採用や人材育成など、「はたらく」の領域ではテクノロジーを活用した新しいサービスが次々と生まれています。
また、企業においてはテクノロジーを活用して業務プロセス、プロダクト・サービスや事業・経営を変革する「DX推進」が注目されています。しかし、大きな障害となっているのがIT人材の不足。IT人材を育て、彼らがより活躍できる適材適所な機会提供が必要となっています。
新型コロナウイルスの影響により、キャリアへの意識が変化
情報化社会に伴い多くの企業がDX推進に積極的な一方で、推進に必要な人材が不足
持続可能な社会づくりに必要な「働きがいと経済成長の両立」
SDGs(持続可能な開発目標)、ESGへの注目が高まる中、健康問題と環境問題についで社会から強く要請されているのが、「はたらく」に関する問題です。例えば、働きがいと経済成長を両立させること。また生産性の高い新たな次世代の働きかたを促進することや、職場でのジェンダー平等を実現すること。こういった社会背景を受け、多くの企業がこういった自社の「はたらく」をよりよくしようと取り組み始めています。
自分自身で「はたらく人生」を選択できるかが、幸福度を左右する時代に
国連の「世界幸福度ランキング」において、北欧諸国が上位を占める一方、2020年の日本の順位は62位(153カ国・地域において)とG7で最下位です。3年連続で順位を下げています。大きな要因の1つに「選択の自由度」があり、「職場での働き方を自由に選択できない」、「表現の自由(報道の自由)が低い」などが指摘されています。
近年、主観的幸福感には、健康、人間関係に次いで、自己決定が強い影響を与えることが分かっています。(※1)意外なことに、所得、学歴よりも影響度が大きいのです。これは、自分自身で人生の選択をすることで、行動への動機付けが高まり、満足度も高まる。これにより、幸福感が高まるということが考えられます。
自身で自らの人生を選び取るということ、つまり、自らの手で「はたらく人生」を選択できるか否かが、その人の幸福度を大きく左右するのです。
※1西村和雄・八木匡「幸福感と自己決定―日本における実証研究」(経済産業研究所 DP18-J-026、2018)
急激な時代の変化によって生まれたこれらの社会背景・課題から、
パーソルキャリアは
“「はたらく」を自分で選べる”機会の創出に
これからも挑戦をし続けていきます。
Vision 目指す未来