学び/越境体験

仕事と育児の両立、どうしている?
パーソルキャリアの先輩ママのリアル

パーソルキャリアには、産休や育休を取得し、子育てをしながらはたらく社員を支援するさまざまな制度がある。実際に制度を活用する社員は多いものの、ワーキングペアレント同士のつながりは部署内に限られていた。中には、部署内に同じような立場の社員がいないことから孤独を感じてしまう社員も少なからずいる。そこで、横のつながりを求めるママ社員のニーズに応えるべく、2023年2月16日、子育て中の社員によるオンラインイベント「パーソル先輩ママのパネルディスカッション」を実施。仕事と育児の両立に関して不安や疑問を抱く子育て中の社員や、育休取得中の社員、管理職など幅広い社員が参加した。 

イベント登壇者

1人のママ社員の思い「当事者同士でつながりたい」から始まったイベント

「部署や拠点という垣根を越えて、パーソルキャリアのママ社員同士でつながりたい」
 
本イベントの発起人であり、九州オフィスでCA(キャリアアドバイザー)としてはたらく川村麻喜は、3回の産休・育休を経て職場復帰した経験から、周囲には子育てしながらはたらく社員が少なく、次第に横のつながりを求める気持ちが強くなったという。
 
川村が上司に相談したところ、イベントの開催を勧められた。さまざまな協力者が集まった結果、関西オフィスCAの野口真美、古市紘子、名古屋オフィスCAの山口彩夢の4人でオフィスの垣根を越えたイベントを実施することになった
 
本記事では、イベントで先輩ママたちが語った「仕事と家事・育児の両立」について、「組織の協力体制」「家庭内の協力体制の築き方」「思いどおりにいかないときの考え方のヒント」の3つのテーマをもとにレポートする。

テーマ①「組織の協力体制」と「協力を得るために大切なこと」

仕事と家事・育児の両立をはかる上で重要なこととして、「組織の協力体制」「協力を得るために大切なこと」の2点が挙がった。

1:「組織の協力体制」について

登壇者の多くが、職場の協力を得ながらはたらいた経験があるという。
 
古市は、服飾関連の求人を扱うクリーデンスでCAを担当していたが、第1子の育休復帰後にdodaキャリアアドバイザーの事業部に配属された。現在の事業部とクリーデンスは接点がなかったことから「部署異動というより、転職に近い気持ちだった」と当時を振り返る。不安でいっぱいだった古市に対し、人事や異動先の上司などが親身になって話を聞いてくれ、安心できたと話す。そして、異動先の事業部の仲間たちも、子育てをしながら慣れない仕事に取り組む古市に協力的だった。

古市: 保育園に子どもを迎えに行くので、時間が来たら仕事が終わっていなくても会社を出なくてはいけません。そういうときは、「ここまでやったので、ここから先はお願いします」とチームメンバーを頼りましたが、嫌な顔をする人は一人もいませんでした。

むしろ「大丈夫ですか?」「定時までに仕事が終わらないようなら、こちらに任せてください」などと声をかけてもらうことも多かったという。

▲古市ファミリー

2:「協力を得るために大切なこと」について

古市は、「子どもが体調を崩しそうな予兆を感じたり、子どもの隣のクラスが学級閉鎖になったりしたときは、上司やチームメンバーに早めに情報を共有している」と話す。また、突発的に休んでも周囲が対応できるように、日ごろから顧客情報やカウンセリングのメモなどを分かりやすい形で残すようにしているという。
 
「申し訳ないから」と一人で仕事を抱え込むより、早めに周囲を頼ったほうが、結果的にチームや顧客のためにもなる。
 
2020年に第1子を出産、2022年に育休復帰したばかりの山口は「仕事の優先順位をつけること」「判断を保留せず、即断即決すること」を意識している。ユニットリーダーとしての業務だけでなく、新人の育成もチームメンバーの協力を仰ぎながら進めているという。

テーマ②仕事と育児の両立に欠かせない「家庭内の協力体制の築き方」について

仕事と家事・育児の両立をはかる上で、家庭内の協力体制も重要なポイントだ。
 
山口は、「育休復帰前に、家事・育児の分担について夫婦で話し合っておくべきだった」と振り返る。

山口: 夫は仕事が忙しく、平日はほとんど家にいません。双方の両親は遠方にいるので助けてもらうことができず、基本的に私がワンオペで家事・育児をしています。自分の時間がほしいときに、家庭内で協力し合える体制を作らないまま復帰してしまったことを後悔しました。

育休から復帰すると、限られた時間内で仕事と家事・育児をこなす必要があり、夫婦で話し合う時間が取りづらい。産休・育休中など比較的時間をとりやすいタイミングにあらかじめ分担を決めておくことが大切だという。
 
一方、育児休暇を複数回経て復帰した経験のある川村、野口、古市は、家庭内の協力体制を構築する方法として、次の2つを挙げた。

1:家事一覧表の活用で家事・育児分担を可視化

古市と川村が導入したのは、1マスごとに家事・育児のタスクが記載された「家事一覧表」。夫婦それぞれが担当した家事・育児を色分けして塗りつぶし、それぞれが抱えるタスク量を可視化する方法だ。
 
サイト上にさまざまな家事一覧表がある中で、古市と川村が選んだのは、「食器を洗う」「ゴミを出す」「子どもを保育園に送る」など基本的な家事・育児に加え、「宅配食材を注文する」「お茶を作り置きする」など、いわゆる「名もなき家事」に分類されるような、細々としているけれど生活に必要な作業まで網羅しているものだ。
 
古市は1人目の育休復帰後、時短勤務をしながら家事や育児をすべて1人で担っていた。睡眠時間も削られる中で、両立は無理だと実感した古市は、夫に現状を理解してもらうために、家事一覧表を導入。夫の担当タスクを赤、自身を青に塗り、ひと目で配分がわかるようにした。さらに、夫婦それぞれの1日のスケジュールをエクセルで作り、分担表と併せて夫に渡したという。
 
「当時の私の睡眠時間を知った夫は『確かに、今のままではまずい』と、ようやく状況を理解してくれた」と、古市は夫婦の家事・育児分担の可視化で得られた効果を挙げた。

2:保育園の緊急連絡先を夫に変更

子どもの発熱や体調不良時に保育園から電話がかかってくるが、その際の緊急連絡先は母親であることが多い。そのため、ママ社員は子どもの体調不良で早退や欠勤を余儀なくされるケースも少なくない。
 
現在はマネジャーとして部下を育成する野口も「1人目の育休明けは保育園からの連絡をすべて私が受けていたので、何かあるたびに調整しなくてはいけないことが多く、しんどかった」と話す。そこで、2人目の育児休暇に入ったころ、保育園の緊急連絡先に夫の電話番号を書いた。

野口: 夫に連絡が行くことで、その後の対応も夫がしてくれる機会が増え、協力体制を築くことができました。

▲野口ファミリー

川村も「保育園から夫に連絡が行くことで、夫が対応できなかった場合も『子どもが熱を出したから、私は早退して病院に行っている』という情報共有ができる」と緊急連絡先を変えるメリットを挙げた。

テーマ③思いどおりにいかないときの「考え方のヒント」について

仕事と家事・育児を両立させる過程では、時間の制約はもちろん、子どもの急な体調不良など、思いどおりにいかないことも多々ある。そんなとき、先輩ママたちはどう乗り切ってきたのだろうか。
 
「子どもに寂しい思いをさせているのではないか」「会社にも貢献できていないのではないか」とモヤモヤを抱える中で、一番の味方であってほしい夫にも状況を理解してもらえないなど、孤独を感じていたという川村。毎晩子どもの寝顔を見ながら「こんなママでごめん」と泣いていた時期もあったが、父親からのひと言に背中を押してもらったという。

川村: 「未来を担う子どもを育てるという何よりも大きい仕事をしているんだから、周りの人への感謝の気持ちを忘れず胸を張って生きなさい」と言われました。

「どうして私は、こんなにつらい思いをしてまで仕事をしているんだろう?」とはたらく意味を見失っていた川村は、父の言葉を聞いて家事・育児の両立に対する考え方のヒントをもらい、心が軽くなったと話す。つらくなったときはその言葉を思い出すなど、今も川村の支えになっているという。

▲川村ファミリー

横のつながりを感じたことでどう変わった? イベント参加者の声

同イベントは、各テーマについて登壇者の発言を聞いた参加者がチャットで反応し、登壇者が気づきを得られるなど、はたらくママ社員同士の交流の場にもなった。アンケートによると参加者の満足度は95%だった。
 
子育て中の社員からは、「登壇者4人の経験談は、実務的にもマインド的にも参考になった」「心強い戦友を得たような気持ち」などの感想が寄せられた。
 
部下にママ社員のいる管理職からは「ワーキングマザーを取り巻く環境が理解できた」、妊娠前の社員からは「子育てをしながらはたらくことに漠然とした不安があるが、みなさんが乗り越えているとわかり、安心した」などの声も上がったという。
 
登壇者から参加者へのエールもあった。

野口: 子どもが元気に笑顔でいてくれればそれが一番。仕事と育児を両立できずに自己嫌悪に陥ることもあるかもしれないけど、子どもの成長とともに霧が晴れるときが来ると思っています。

古市: 社内にはこれだけ多くのママ社員がいます。集まって話をしたり、「しんどい」と言い合ったりして、互いに助け合えたらいいですね。

「部署や拠点いう垣根を越えて、パーソルキャリアのママ社員同士でつながりたい」という川村の思いが形になった同イベント。組織として子育て中の社員を制度面から支援することは重要だが、同じような状況にいる仲間とつながる機会をつくることも大切だと、改めて実感する催しとなった。

「仕事と育児を両立したい」へ向けての努力もキャリアオーナーシップのひとつ

川村は、イベントを次の言葉で締めた。

川村: 未来を担う子どもたちにとって、一番身近な社会人がママ・パパです。私たちが「はたらく」を自分のものにしているお手本でありたいですね。

子育てをしながらキャリアオーナーシップを意識するのは難しいと考えてしまうが、「仕事と育児の両立をしたい」と思うこと、それに向かって努力している状態はキャリアオーナーシップを体現している。そして、地道なキャリアを描き、模索している社員のキャリアオーナーシップを共有しあうことは、ほかの社員のキャリアオーナーシップにつながっていくだろう。

※掲載している内容・社員の所属は取材当時のものです。

編集:藤田佳奈美、パーソルキャリア広報部 ライター:畑菜穂子 (制作:プレパラート)

最新記事キャリアオーナーシップに関する最新の取り組みをご紹介!