学び/越境体験

キャリア支援とは?
会社からの後押しを受けることで得られるメリットを紹介

企業による人材育成策の中で昨今、社員へのキャリア支援が高い注目を集めている。会社が社員のキャリア形成を後押しする際にどのような手法が取り入れられているのか、実際に取り組んだ社員にとってはどのような変化があるのかなど、実際のパーソルキャリアでの支援内容も含めて紹介する。

キャリア支援とは?

企業によるキャリア支援は、厚生労働省によって以下のように定義されている。

 

従業員のキャリア形成に大きな影響を与える企業が、従業員に対し、人材育成方針の明確化、キャリア形成支援体制の整備、キャリア形成の動機づけ、能力開発機会の提供、評価・人事等への反映、さらに、これらを支える職場環境の整備等をおこなうものとしています。

具体的には、企業による社員へのキャリア面談や研修プログラム開催、職種転換の機会拡充、資格取得支援といった取り組み例がある。

キャリア支援が注目されている背景

企業によるキャリア支援が注目されるようになった背景として、社員が自らキャリア開発しながらはたらく風潮が高まってきたことが挙げられる。

終身雇用や年功序列制度が当たり前だった時代は「長年勤務する人材に対して企業が用意するポストを目指す」というキャリアの進め方が一般的だった。しかしそれらの制度がゆらぎ、個人個人が自らの意思で自分らしいキャリアを考えるという流れになってきている。そして企業側は、一人ひとりの希望するキャリアパスの実現に向けたサポートをする役割を担うよう変化してきた。法律面でも2016年に職業能力開発促進法が改正され、企業には社員の能力開発の後押しを強化することが求められるようになっている。

 

労働者は、職業生活設計を行い、その職業生活設計に即して自発的な職業能力の開発及び向上に努めるものとする(第三条三)
事業主は、その雇用する労働者に対し、必要な職業訓練を行うとともに、その労働者が自ら職業に関する教育訓練又は職業能力検定を受ける機会を確保するために必要な援助その他その労働者が職業生活設計に即して自発的な職業能力の開発及び向上を図ることを容易にするために必要な援助を行うこと等によりその労働者に係る職業能力の開発及び向上の促進に努めなければならない。(第四条)

引用元:職業能力開発促進法

キャリア支援活用で得られる社員のメリット

●自己理解が深まる
キャリアに対する志向や考えが明確になることで、自身の生き方などについても熟慮するようになり自己理解につながる。
●新たな視点の創出につながる
各施策を通して新しい知識や経験が積めるため価値観がアップデートされ、新しい考え方を身につけるきっかけにもなる
●能動的に動けるようになる
希望のキャリアプランを実現するために自分のすべきことが明らかになり、より自主的に業務に臨むようになる。

自己理解が深まる

キャリア支援では自身の今後のキャリア形成の展望をベースとしておのおのが支援策を受ける流れとなるため、まず「自分がキャリアをどのようにとらえているか、今後のキャリアをどのように築きたいか」といった考えを整理する作業が必要になる。
そのため「これまでキャリアについて十分に考えずに仕事を進めてきた」という人にとっても、自身のキャリアやはたらき方を真剣に見つめ直すよい機会になる。
 
今後のために必要な資格や知識などもクリアにしておくと、キャリア支援を通して得られる学びや情報を吸収しやすくなる。また、各種支援策に取り組むうちに、自身の思わぬ適性や希望に気づけることもある。

新たな視点の創出につながる

キャリア支援には、自分を見つめ直しキャリア形成のヒントとなる研修やセミナー、資格取得支援プログラムといった施策があり、学びや気づきの機会を多く得られる。また、多くの企業で導入されているキャリア面談は、それまで言葉にできていなかった自身の気持ちや考えを表現するだけでなく、自分の新たな視点を見つけられることもある。

能動的に動けるようになる

自分自身の強みや目標を明確にした上でキャリア支援を受けると目標達成に向けたプランが立てやすくなり、仕事へのモチベーションがアップする。
 
能動的に自身のやるべきことを考えて業務に臨んだり、スキルアップに精力的に取り組み社内評価が高まったり、昇進の機会も増えることがある。そのためキャリア支援策を有効に活用し続けることで、実際に希望のキャリアに近づきやすくなるともいえるだろう。

パーソルグループの公募型キャリア支援研修「@(アット)」

パーソルグループでは、社員のキャリア観(人生観や仕事観など)を見つめ直したり、新しい視点を育んだりできる機会として、2021年からグループ横断で公募型研修「@(アット)」を社員に提供している。これは、通常のキャリア研修とは異なる多様な切り口で自身のキャリア観を探求するワークショップだ。日々の仕事や取り巻く環境、考え方や価値観の慣習などから離れて、普段とは異なる視点でキャリア観を探求することができる。
 
例えば、今あるものや欲を取り払った後に残る本当に大切なものを考える「死の体験旅行」「落語で“生き方と多様性”を考える」など、先進的でユニークなワークショップを行ってきた。また、これまで関わりがなかった人や世界との交流体験を通じてキャリア観の枠を広げる越境学習プログラムもある。行政職員、商工会議所、教育委員会などさまざまな団体と連携して地域課題に挑む異業種交流型プロジェクト、地方都市のSNSを通じたデジタルコミュニティ企画やスタートアップ企業との協働による技術革新・新エネルギー開発関連の実践プロジェクトなど、2023年までに31件を実施してきた。日常と異なる人、場所、世界に触れたり体験したりすることを通じて、通常とは異なる角度や観点から立体的に自分のキャリア観を見つめ直す機会となっている。
 
ほかにもパーソルグループでは、社員が自身のキャリアに向き合い、自律的に考え行動することを支援するための多彩なキャリア支援策を推進している。

これからは企業主体ではなく、個人主体でキャリアを築く時代に

今やキャリア構築の主体は社員個人となっており、企業側には社員の意思に寄り添った支援の提供が求められている。パーソルキャリアは、自分の可能性を信じ、自分の意思でキャリアや人生を選択する「キャリアオーナーシップ」を育む社会を創造することをめざしている。

 

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